昔、「どうしてブログ、ノーギャラなのに書いてるの?」と言われたことと、慣れることでお金の払い方が変わること
「ブログ」というものが流行り始めた大昔のこと。
ある大御所編集者さんが、「林さん、あのブログってどうしてみんな書いてるの? だってあれノーギャラでしょ。ノーギャラなのになんであんなに一生懸命書いてるの? まあ素人が発表したいっていうのならわかるけど、結構有名なライターもノーギャラでブログ書いてるじゃない。あんなことやってると、出版社もそのライターにお金出したくなくなっちゃうんじゃない?」って仰ったんです。
なるほど、確かにそう言われてみればそうですよね。
「うちの雑誌には5万円で書いているのに、同じような内容の記事を無料でインターネット上で読めるようにしているってどういうことだ」って感じでしょうか。
昔は同人誌とかじゃないかぎり、「原稿」には「ギャラ」があるのが普通だったんでしょう。「そのルールを壊すな」って気持ちだったんだと思います。
それでまあ、僕はこんな風に説明しました。
「ブログって宣伝になるんです。例えば僕が色々とブログで書くと、それを読んでお客さんが来るんです。芸能人とか有名人もブログを書くと、イメージが良くなったり、ファンがたくさんついたりして、結局は得するんです。
あと、全部、無料でアップしても、後でそれをまとめて書籍にすることも可能なんです。
インターネットって、基本的に無料の場所で、その後、リアルの方で仕事が発生したりして、お金が入ってくるんです」
まあもちろん、みんながブログを書く理由は、「後でリアルで得したいから」だけではないのは知っているのですが、とりあえずその大御所編集者さんを「納得」させようとそんな説明をしたわけです。
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でも、その大御所編集者さん、もちろん今は「ネットは無料」っていうの、受け入れていると思います。
というのは、こういう感覚って「それがあたりまえ」になってしまえば、なんとなく「慣れ」てしまって、受け入れてしまうんです。
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cakesが始まったとき、周りの多くの人が「有料のネット上のコンテンツって難しい」って言ってたんですね。
cakes/note社長の加藤貞顕さんって、渋谷の出版関係者がよく集まるバーみたいなところで、有名な人なので、「加藤さんが、cakesっていうの始めたらしいよ。あれ、どう思う?」みたいな感じで話題になってたんです。
あまりにも僕たちは「ネットは無料」に慣れすぎましたよね。
ネットのコンテンツには「エロ」か「お金儲け」にしかお金は払わないって有名です。
※
ところで、ツイッターで、僕のcakesの記事に対して、僕のところにメンションで「cakesの記事を読んだ感想」みたいなのが飛んでくるんですね。
以前は「え? この続きを読むには金を払えってこと? なんだかなあ」って感じのツイートがしょっちゅう来てたんです。
そういうのが飛んでくるたびに、「そうだよなあ。そりゃあ、この文章には払えないよなあ。ごめんごめん」とかって思ってたんですね。
それが最近、そういうの全然なくなったんです。まあしばらくの間は無料っていう風になったからだとは思うのですが、でも「なんだ、有料記事かよ」みたいなの、飛んでこなくなったんです。
そして、最近、多いのは、結構過去の記事で、もちろん有料なのですが、それを普通にツイートしてくれるんです。
これ、やっぱりみんなが「ネット上の有料コンテンツ」に慣れてきたんですよね。
いろんな裏技を使ったり、すごく時間をかけたりして、「そんなにパッとしない無料コンテンツ」を見たり読んだりするより、「ああ、これは面白いかも。このクオリティでこの金額なら払おう」って感じで、「購入」をクリックする方が面倒くさくないし、時間もとられないから「お得」っていう状況に慣れてきたんです。
「サブスク」って言葉もよく目にするようになりましたしね。
いや、本当に、人って「便利」と「慣れ」には流されますね。
冒頭の大御所編集者さんがブログ登場の時に感じたように、「お金のルール」って結構、壊れにくいものだと僕も思ってたんです。
でも、意外と簡単に「新しいお金の払い方」にみんな慣れるものなんですね。
noteも購入するの、これからみんな慣れてくるかもしれないですね。
お酒やバーについての僕の本です。『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』 https://goo.gl/QGdp48
bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。
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