ちょっと昔に書いたインターネットのことをnoteに再掲します

インターネットが普及し始めた頃に、編集者のお客様がこんなことを言いました。

「林さん、インターネットの文章って、見るPCの画面によっては段落とか改行が違う風に表示されるって知ってた? 例えば自分は1行18文字のつもりで編集しても、人によっては1行20文字で見ることがあるから、最後の行が『す。』だけとかってこともありえるらしいんだよね。もう世の中が信じられないよ」

今となっては「なんてナイーブな」という笑い話のような会話ですが、その時期、多くの編集者が「今まで自分が信じてきた美学のようなものが変わっちゃう」って不安になったんだと思います。

10年くらい前に「ブログ」が登場してきた頃、僕もブログを書いていたのですが、ある日、コメント欄に編集かライターか何か出版系の文章を仕事にしている人だろうなって人からこんなコメントが残されました。

「あなたの文章はとても興味深くて面白いのですが、『、』が多すぎるのが残念です」

僕はPC画面で文章を読む場合、「字がベタベタ」と並んでいるより、適度に「、」が入った方が読みやすいかなと思って、「、」を多用したのですが、その「コメント氏」には耐えられなかったようです。でも今、「、」って多いですよね。

あるいは、この文章のように、ドンドン一行あけて、ブロックごとに読みやすくするのって、印刷のみの時期にはありえなかった表現方法ですよね。でも、今は逆にこの方が読みやすくて、印刷物の方にもこのスタイルが採用されるようになりました。

あるいは、「モテる」とか「ドンドン」とか本来はひらがなじゃなきゃダメな言葉をカタカナにしているというのも最近は多いですよね。たぶん、その方が目に飛び込んできやすくて、文章にリズム感が生まれるからなのでしょう。

または「僕思うんですけど」とか「それ違うよね」という風に「は」を使わないような文章もすごく見かけるようになりました。「てにをは」が消えていくって、僕らが信じていた日本語が大きく変化している瞬間ですよね。

僕はそんな風に「みんなが信じている伝統的なモノ」がガラガラと崩れていく瞬間がすごく好きです。

そして、自分に何のこだわりも一貫性もなく、その時その時にあわせて変化出来るようになりたい、と常に思ってます。

#コラム

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