アドリブがきかない話

※土曜日は読む人が激減することが判明したので個人的な話を。

妻が最近、落語にはまってまして、必然的に僕も休日はほとんど落語会に行って、落語を楽しんでいます。

落語家の中にももちろん「上手い人」と「下手な人」というのが存在して、上手い人っていうのはやっぱり、「その場の雰囲気をつかむ能力」とか「優秀な俳優と同じようなそのキャラクターが憑依する能力」とか、あと結構大きいのが「アドリブでやりこなす能力」のようなものが大きいんだなということがわかってきました。

そういう人前で、身体を動かしたり、表情で喜怒哀楽を表現したり、いろんな種類の人間の個性を口真似で言い換えたりするのって、実は結構、人によって「あらかじめ向き不向きが関係する能力」なんだなあといつもいつも思います。

もちろん毎日走ったら、走るスピードは上がるけど、オリンピック選手になるには「生まれつきの能力」が必要ですよね。

落語の「演じる能力」も、かなり生まれつきなのでは、とすごく感じます。

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ところで僕はそういう「話芸のようなものの能力」がそんなにないんだなあ、と最近、毎日のように痛感しています。

もちろんこういう職業をしているので、まあちょっとした冗談とか、ちょっとした軽いやりとりのようなものは可能なのですが、やっぱり結構口下手で不器用だなあと思います。

たまに編集者さんから、カウンターで、あるいは時間をとって開店前に「林さん、こういう企画はどうですか?」みたいなことを言われるのですが、その瞬間は「うーん、良い結婚の条件って言われてもよくわかんないなあ」とか「初対面の人を安心させる会話術ですかあ、僕はいったいどういうことを意識してるかなあ」とかイマヒトツ、その瞬間にアドリブで出てこないんです。

あるいは「最近、彼が仕事が忙しいって言って会えないんですけど、付き合い始めの頃は忙しくてもしょっちゅう会ってセックスしてたんですよ。もう私に飽きてるんですよね」とかって言われることもあるのですが、「うーん、まあそうなんですかねえ。彼に会わないとよくわかんないですねえ。うーん」って感じになって、その瞬間にアドリブで良い返事が出てこないんです。

でも、僕はこういう文章を書いているので、「林さんはそういう人間関係のことを聞けば、スラスラと出てくるに違いない」と思われているんですよね。でも、対面で話していると「うーん、一度喧嘩した人と仲直りをする方法ですかあ。うーん…」ってなっちゃうんです。

これ、やっぱり落語家のような話芸とアドリブ能力がないんですよね。

僕としては、そういう案件は、一度「今度、初対面の人と楽しく会話する方法というタイトルで2000字で書いてください」と言われて、家に持ってかえって、パタパタとキーボードをたたきながら考えるんです。

そうなんです。書きながら考えて、アイディアをまとめるんです。

ですので、色々と企画や質問を「ポーン!」とふられても、「うーん、どうかなあ…、うーん」となっちゃいます。そんな場合はメールを下さい。そして1日下さい。そしたら2000字くらいにして「考えたこと」を送信します。

よろしくお願いいたします。

#コラム

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