「まけて」という人

友人のお店で「まけて」って言うお客様に困っているという話を聞きました。

そのお店、海外買い付けもあったり、友達の作家さんの手作りもあったりと、色々と個性的な商品構成のお店なんですね。

で、たまに「まけて」って言うお客様がいるらしいんです。

ちなみにbar bossaでは、2年に一回くらいいます。びっくりですか? まあ直接「まけて」と言われるわけではないのですが、「それはサービスで出して」とか、ご注文いただいた銘柄のワインを切らしていて、「こちらが似たタイプのワインなのですが」って持っていくと「じゃあまけて」と言われるわけです。

ちなみに、コンビニで「まけて」って言うお客様っていないですよね。それって、まず店員に「まける権限」がなさそうだし、バーコードやレジがキチっとしているから、どう見てもまけてくれそうじゃないからだと思うんです。

例えば、海外旅行で市場に行ったら、僕らも「まけて」って言いますよね。それって、「高くふっかけられてる」という可能性もあるし、「なんとかなりそう」だからなんですよね。

たぶん、冒頭の友人のお店もbar bossaも「高くふっかけてそう」で「なんとかなりそう」だから、お客様は「まけて」って言うんだと思うんです。

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ちなみに、「ホテルのアメニティもの」や「飛行機の備品」、あるいは「飲食店の灰皿やグラスといったグッズ」をもって帰る人っていますよね。

あるいは、お店の従業員で、お店の商品をもって帰ったり、売り上げからお金を抜く人っていますよね。

これらはもちろん明らかに犯罪なのですが、本人たちはそんなに罪の意識がないそうなんです。

というのは、例えばホテルや飛行機は「そんなに高くないはずのに、金額をのせ過ぎじゃない? もっと割引している時もあるじゃない」って感じた、その差額分をもって返るらしいんです。

そして、お店の従業員は「俺、結構、給料以上の働きしているはずだからもっと貰って良いはずだろ」と感じている、その差額分をもって返るらしいんです。

だから「正当性」を感じていて、あまり罪の意識がないそうなんです。

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それで、「まけて」のお客様の話に戻ると、「まけて」という方は、ちょっと値段に「?」と感じているんですね。

だから僕はその言葉を言われたら、どうしてこの商品がこのくらいの値段になるのか、そして、もううちとしては精一杯の安値で、これ以上下げてしまうと赤字でお店が存続できないという話を丁寧に伝えることにしています。

お店をされている方で「まけて」のお客様に困っているあなた、結構。腹を割って、こちらの正直な気持ちを伝えると、お客様も納得してくれますよ。

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