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超短編恋愛小説

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2016年4月の記事一覧

バンド仲間との恋

紀子さんがbar bossaに来店してこんな話を始めた。

「私、学生の頃からバンドでボーカルをやってたんです。彼がギターで曲を作って、私が歌詞を作って、下北沢で二人で同棲して、二人で下北沢の居酒屋でバイトしながら活動してました。

ドラムやベースのメンバーもずっと学生の頃から同じでした。

インディーズからですけどCDも2枚出して、評論家からも評判は良かったんです。

でも、ボーカルの私のルック

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女子生徒との恋

樋口さんがbar bossaに来店してこんな話を始めた。

「林さん、僕、女子高の教師をやってるんです。

女子高の男性教師ってモテると思いますよね。もちろん僕みたいな不細工な男でも、たまにチョコレートを貰ったり、親しくなる女の子もいたりするんです。

でも、絶対に「恋愛はご法度」なんです。もしそんなことをしてバレてしまったら、その人の教師人生は終わりなんです。

もうどの学校でも使ってくれなくな

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部下の女性との恋

田村さんが来店してこんな話を始めた。

「会社の部下ですごく可愛い女性がいるんです。僕今48歳なんですけど、彼女、12歳下で36歳なんですね。

彼女が24歳の時にうちの部署に入ってきたので、もう10年以上も一緒に働いているんです。

彼女と初めて会ったときには既に僕は結婚していましたから、ずっと彼女の恋愛の相談相手になってまして、『今度はこういう男なんだけど、どう思いますか?』とか『失恋したんで

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星になった女の子

今日は「星の女の子」が来店した。

彼女はキールを飲みながらこう言った。

「夜空からこのバーでみんなが話しているのを見ていると、私も久しぶりに誰かと話したくなって、降りて来ちゃいました」

「久しぶりにということは、以前は星じゃなくて人間だったんですか?」

「いえ。人間ではなくて魔法使いだったんです」

「魔法使い。それがどうしてまた星になったんですか?」

「じゃあ今日は喋っちゃおうかな」

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これが最後かもしれないと思うこと

浩子さんがbar bossaに来店してこんな話を始めた。

「林さん、今、すごく好きな人がいて、たまにデートもしているんですけど、彼、絶対にいつか私のところから去っていくだろうなって今からわかっているんです」

「どうしてですか?」

「なんとなく最初から私とつりあってないんです。違う世界の人間というか、小さい頃はヨーロッパでいたから外国人とも普通にやりとり出来るし、会社をいくつか持ってて私にはわ

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