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noteで面白かった話

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noteの中で良いなあと思った作品をまとめます。
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2016年8月の記事一覧

惜しむのは季節がゆくことじゃなく

【詩】

 

惜しむのは季節がゆくことじゃなく

惜しむのは世界を覆うひかりじゃなく

全力で闘えていないことなんだ

時は正確に春を連れ去り

夏を南の海へと追いやる

そうして秋も冬もひとまわりして

また春を連れてくる

惜しむのは季節がゆくことじゃなく

全力で闘えていないことなんだ

だから夏のせいじゃない

蝉の鳴き声がひぐらしへと変わり

夕闇の野に虫の音が騒がしく

夜空の月が明

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「あれ、Kindle Unlimitedで読めるんだ?」と思った本20選

「Kindle Unlimited、いくら読み放題だからって、たいして興味のない本ばっかりだったら意味ないんだけど」という人が多いのではないかと思います。かくいうワタシもUnlimitedに並ぶ本の99%に興味がないタイプです。小説を読まないし、ビジネス書も美容本も自己啓発本もプログラミング本も興味がない。もっとサブカルチャーっぽい本をよこせ!と思いました。それで見つかった本の途中経過ですね。20

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2000光年先の星の消滅

【詩】

 

はるか昔

2000光年離れた宇宙の果てで

ひとつの星が消滅した

ありきたりな話ではある

けれどそうして

在るものは消え失せ

そしてまた生まれる

幾度も幾度も幾度も幾度も幾度も

胡蝶の夢のそのまた夢のように

世界は不確かで、脆い

僕の憂鬱も君の恐れも

僕の苦悶も君の憂いも

あまりに不確かで、脆い

だから、勇者のように力強く

いま、この瞬間に全力で

在るこ

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ピアノ、ピアニッシモ。

ピアノ、ピアニッシモ。

木立ちの足元に、
無数の小さなピアノが生えていた。
秋になるとピアノは収穫され、都会の市場へ。
町の花屋がピアノを仕入れ、
鉢植えにして店頭に並べた。
孤独な男がピアノの鉢植えを買い、
部屋のテーブルに飾り、
夜、少し、弾いた。
#短編 #おはなし #小説

ひとは歳月で歳をとらない。

ひとは歳月で歳をとらない。

北の果てのある村では、
ひとは歳月で歳をとらず、
なにか大事なものを失った時に歳をとる。
その時、白い花とキャロットケーキで
お祝いするのが習慣。
なにかを失ったひとは、
口数が減って、
いいうたがうたえるようになる。
だからお祝いする。
#短編 #小説 #おはなし

Demon in the pool (666字)

Demon in the pool (666字)

プールで泳ぐときは水に集中すること。でないと悪魔の餌食になる。プールサイドには悪魔がうようよしているのだ。
「なんだよ、深刻な顔してさ」
見知らぬ女の子が僕に言った。かわいい唇。肩が白く輝いている。きっと悪魔に違いない。悪魔はたいてい女の子の形をしている。
「ここはプールだぜ? ブラームスでも聴いてるのか?」
悪魔はそう言って僕の耳からヘッドフォンを奪った。もちろん僕はヘッドフォンなんてしていない

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ワルシャワで横山起朗さんに出会いました

ワルシャワで横山起朗さんに出会いました

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先日、永福町のソノリウムで行われた横山起朗&Tomasz Betkaの完全オリジナル・ダブルビル・ピアノソロ・コンサート「Piano Solo Portraits」に行ってきました。

当日は、私のnote記事やツイッターがきっかけで来てくださった方もいたようで、若くて才能のある横山さんの活動に少しでも力になれたのかな、と嬉しかったです

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