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#未来はファッションを通して予測できる

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ファッショントレンドの話ではなく、【現在と未来を読み解く一種の方法論】を提示した連載です。 アフターコロナのその先まで、一緒に見てみませんか? 章ごとに、毎週日曜20:00に公… もっと読む
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#fashion

【プロローグ】 未来は“ファッション”を通して予測できる 〜NORMCOREは“流行”ではなかった〜

今の流行から、未来が予測できる パンデミック前から、パリコレなどを代表とするファッションシステムは、既に崩壊し尽くしている。ラグジュアリーブランドのデザイナーが、人が、消費されている。そしてそれは、現存の社会システムが崩壊し、大きな変化を遂げることを証明している。 「私はファッショントレンドに興味がないから、どうでもいいや」。そんな声が聞こえてきそうだが、侮るなかれ。本稿はファッショントレンドやスタイルに関して書いているわけではない。今回提示したいこと、それは現在と未来を

【1章】 「NORMCORE」は、社会変革を象徴する?

誰も考えなかった?本来の意味NORMCOREは“流行に関する言葉”ではない。「流行が生み出される、既存システムの崩壊」を象徴している言葉なのだ。 NORMCOREを知っているあなたも、知らないあなたも、頭に?が 浮かんだかもしれない。これらの理由を詳しく、そして解りやすく説明するために、まずはNORMCOREの言葉の起源を辿る。意外にも“本来の意味”は知られていないから。 そして、何より未来の社会像を分析するには、これを把握することが鍵なのだ。 ≠NORMCORE!!??

【2章】  理由①究極の消費によるネタ切れと疲労

前章で「NORMCORE」がどのような現象か説明した。ではなぜ「NORMCORE」というファッションスタイルが流行したのか。実のところ理由は明白、大別すると2つある。そしてその根拠を把握するには、ファッション史を無視することはできない。かけ足で見てみよう。 お手軽現代ファッション史ガイドファッション産業は、異なる流行スタイルを提案し、スタイルチェンジを世間に促すことで成立してきた産業だ。 そのスピードが急激に加速し始めたのは90年代。ラグジュアリーブランドの合併/買収が進み

【3章】 理由②“着飾る意味”と社会構造の変化

ファッションシステムが、“究極の消費”をするフェーズにまで来ただけでは、きっと「NORMCORE」は流行らなかった。物事が流行る背景には、社会状況が深く絡み合っている。つまり、人々の身なりを分析することで社会構造が明らかになるのだ。 富の象徴、社会性の証拠ではなくなりつつある従来は「着飾らない=貧しい」と認識される社会だったが、現在は「着飾らない≠貧しい」という風潮になった。 着飾ることは豊かさの象徴であり、下流階級と差別化をする行為だった。しかし、社会において威厳を保ち、

【4章】 過去×現在の課題=未来予測ができる!?

問題解決に次ぐ問題解決。未来の行方は?「NORMCORE」が流行したということは、行き過ぎた消費が限界まで来たこと、そして今社会システムが抜本的に変化するターニングポイントであることを示唆している。 それでは近い未来、ファッションシステムはどうなるのだろうか? そして社会システムは?結論から話すと、オーダーメイドとプレゼンテーション、リコメンド機能が掛け合わさったシステムが普及し、人々が適量生産適量消費をする“適度社会”になる。そしてこれらから、さらにその先の未来社会像が予

【5章】 次のファッションシステムはこうなる

あらゆる人が手間をかけずに、自分にぴったりの衣服を手に入れる。受け取りまでの時間もあっという間。消費者も、生産者もwin-winで、資源、労力などのロスが少ない。前章でまとめた、人々が抱いていた本来の目的と状況を踏まえると、今の課題を解消する次のファッションシステムはこのようなものだろう。本章では、そのシステムの詳細を分析し、次章で、さらにその先の未来へ話を進めてみようと思う。 新たな「オーダーメイド」適量生産、適量消費へ消費者にとっては、こんなシステムではないだろうか。

【6章】 さらにその先の未来

前章までのように、“ファッション”を鍵に未来の予測をすることは可能だ。では、さらにその先の未来を見てみよう。自分にぴったりの服が手軽に手に入るようになった後、社会はどのようになるのだろうか。 着飾ることや整えることが手軽になり、皆があまり着飾らなくなるのが先か。それとも、仮想現実(以下VR)での生活が普及するのが先か。どちらが先なのか、どちらもほぼ同時に起こるのか。1つずつ可能性を考えてみる。 動画キャプション:今でこそ、zoomでSnap Cameraで化粧のフイルターを

【7章】 遠い未来は過去へ戻りつつある

人間は課題解決を繰り返す大きなスパンで歴史を見ると、社会システムは古代まで原点回帰をしている。前述の通り、人々が何を目的として課題解決をしたのか歴史を振り返ると、一歩先の未来を予測できる。人類は何千年にもわたって“課題解決”を繰り返したことで、周りまわって元の社会システムに戻りつつあるのだ。 大量生産大量消費社会は終わりを迎え、適量生産適量消費をする社会へと戻る。“とりあえず生産する”のではなく、個々のニーズに合わせてものを生産する。このシステムが十分に普及した後、キトン(

【プロローグ】 未来は“ファッション”を通して予測できる 〜NORMCOREは“流行”ではなかった〜

今の流行から、未来が予測できるパンデミック前から、パリコレなどを代表とするファッションシステムは、既に崩壊し尽くしている。ラグジュアリーブランドのデザイナーが、人が、消費されている。そしてそれは、現存の社会システムが崩壊し、大きな変化を遂げることを証明している。 「私はファッショントレンドに興味がないから、どうでもいいや」。そんな声が聞こえてきそうだが、侮るなかれ。本稿はファッショントレンドやスタイルに関して書いているわけではない。今回提示したいこと、それは現在と未来を読み