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夢の話

高校生の時、部活にブルーハーツ好きの先輩がいた。その先輩が3年生になって、部室のBGM主導権を握るようになった頃、ブルーハーツやハイロウズの曲が、ヘビーローテーションで流れるようになった。

ちょうど、HONDAのCMで、ハイロウズの「日曜日よりの使者」をBGMに、白いロボットが歩いていた時代の話だ。あの歩き方を真似した人も多いんじゃないかな。

おそらく彼らのジャンルはロックかパンクロックか、それは今でもよく分からないけれど、その手の音楽に興味のなかった僕は衝撃を受けた。

子供でも分かる簡単な言葉を使い、それでいてメッセージ性が強く、深みのある幾多の言葉たち。裏表なく真っ直ぐ脳内に直撃して、後々まで中毒のようにこびりつく、ヒロトの強くて優しい声。

先輩がよく流していた曲の一つに「夢」という曲があった。cmやドラマで使われたことも多かったから、サビの部分を覚えている人も多いはずだ。だけど、僕が一番記憶に残っているのは、曲の冒頭部分で。

「俺には夢がある 両手じゃ抱えきれない 俺には夢がある ドキドキするような」

あの頃は、人生の中に「夢」があるのが当たり前だった。僕も友人も、ブルーハーツを流していた先輩も、みんな思い思いに無責任で「ドキドキするような」夢を語っていた。

あれから短くない年月が過ぎて、あの頃の夢がどうなっただとか、そんな野暮なことはどうでもよくて。ブルーハーツを聴くと、あの頃こそが夢のような時間だったんじゃないかと、そう思う。

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