- 運営しているクリエイター
2021年9月の記事一覧
井上陽水『心もよう』びんせんの青に映り込むはかなさ
「季節はめぐりあなたを変える」が無情です。変わるのは適応すること。そうなることが、その人にとって良いことで、きっと世界でうまくやる術。あらゆるものが、うごめくように、変わり続けている。
THE BLUE HEARTS『ラブレター』はなぜ美しいか 要所の3度のハーモニー
コードの平易さ、言語の平易さを守った上で独創性を発揮するのは至難の技であり、それを実現しているのがTHE BLUE HARTSの尊敬すべきところのひとつだと思っています。草野マサムネが語った提起に驚き。
YMO『君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-』純愛と肉欲の不等号
柄にもなく純情な気持ちで胸をときめかせている主人公とは裏腹に、お相手のほうは肉汁したたるモーションだったとしたら……この絵図にはおかしみがあります。音楽精通者グループの最後期にまさかの胸キュン。
岩崎宏美『すみれ色の涙』 現実の無情の滴り
ブルー(青)に、現実の無情が滴り落ちると「すみれ色」に。一般と固有、淋しさの本質、平行調へつながるⅢ7、編曲:萩田光雄の妙技……知る・思うこと満載でした。原曲はジャッキー吉川とブルー・コメッツ。
ジッタリン・ジン『プレゼント』 情動の贈答
ちょっとクセのある具体物を歌詞に込めつつも、聴き手それぞれに固有の体験を想起させるのがジッタリン・ジン『プレゼント』の秀逸なところです。メロのほとんどを同じモチーフの反復のみで聴かせてしまえるすぐれたアイディア。
宇多田ヒカル『Automatic』生恋愛発動機
カタい響きを持った“自動的”を恋愛の表現に用いたのは、歌のことばとしては稀。宇多田ヒカルの独創きらめく語彙の振れ幅です。Fmを主調に、Bメロで平行調のA♭を感じるコードの動きが酸っぱ甘い。光陰のゆらぎと生感を魅せる響きです。