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bandshijin 音楽ブログ

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音楽ブログ『∴bandshijin∵』の記事を紹介する記事集。
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2021年5月の記事一覧

Close to You 遙かなる影 カーペンターズ 寄せる思い

Close to You 遙かなる影 カーペンターズ 寄せる思い

思いを秘めること。それは理性だと思います。理性のきく人、私は好きです。伝えてもいいんだけどね。それも大事。歌い出しのコード、サス・フォーして長3度から短3度に色彩を変える。せつない情感、移ろう響き。

天然の人たらし? Can’t Help Falling In Love 好きにならずにいられない エルヴィス・プレスリー

天然の人たらし? Can’t Help Falling In Love 好きにならずにいられない エルヴィス・プレスリー

のぼる前に下げるボーカルポジションはヒステリックにならずに高揚を演出。エルヴィスのビブラートは実は消化を促進。楽器編成と定位は意外とチャンポン。気づき多き名曲。

ナイトクルージング Fishmans 大海のブイ

ナイトクルージング Fishmans 大海のブイ

ふわっふわに浮いたサウンドに精度高く心を射抜く言葉がゆらめく。余白を活かしたベース。漂流して蒸発してしまいそうなすべてのパートを、タイトでくっきりした輪郭で心の真ん中につなぎとめるドラムス。

I Just Called to Say I Love You 心の愛 スティーヴィー・ワンダー 恒常の振れ幅

I Just Called to Say I Love You 心の愛 スティーヴィー・ワンダー 恒常の振れ幅

何事もいつかは終わりがくる。劇的な変化が訪れる。端境がやって来る。いえ、そうした波も含めて恒常なのかもしれません。Ⅵ♭→Ⅶ♭のドラマを経て、Ⅰに帰結。思ったときに思ったことをヒョイと伝えるのも愛。秘めるのもまた愛。悩ましい。

Take Me Home, Country Roads カントリー・ロード ジョン・デンバー ぼくの故郷 本名陽子のカバー

Take Me Home, Country Roads カントリー・ロード ジョン・デンバー ぼくの故郷 本名陽子のカバー

このまま遠くへ行く孤独。回顧に安心があるのか、安心自体は記憶に刻まれたものなのか。本名陽子のカバーを透かしみる世代の私。ジョン・デンバーのオリジナル素晴らしい。

つじあやの『風になる』 ためいきは春風のもと

つじあやの『風になる』 ためいきは春風のもと

ためいきを自覚したときには、自分に言ってやりたい。それは、春風なんだぜってね。理屈を敷いてもガッチリはまると気づいて感銘を深めました。コード進行も名曲量産パターンのカノン進行。いい響きを導いて築いた美しさです。

https://bandshijin.com/kazeninaru/

原田真二『キャンディ』 一対の甘美

原田真二『キャンディ』 一対の甘美

抽象ありファンタジーありのサウンドと言葉の世界。相当にセンセーションなデビューだったのでは。70年代を10代の女性として過ごす人生が私にあったら、原田真二に狂喜していたかも。そんな想像もまた、まぼろしのキャンディ・フレーバー。

大滝詠一『幸せな結末』リスニング記 〜理知の愛歌〜

大滝詠一『幸せな結末』リスニング記 〜理知の愛歌〜

歌詞はラブソングですが、無機質な印象。“今夜君は僕のもの”と、グイっと熱いことを言っているのにどこか神目線。言葉が「意味」を超越したものを伝えている証拠ではないでしょうか。歌詞は、どこまでも音楽なのです。

美空ひばりとジャッキー吉川とブルー・コメッツ『真赤な太陽』 バンドとボーカリストの理想モデル

美空ひばりとジャッキー吉川とブルー・コメッツ『真赤な太陽』 バンドとボーカリストの理想モデル

演奏(バンド)と歌唱(ボーカル)の関係の理想モデルのひとつでは。両者がどちらに著しく譲るでもなく、双方が魅力を高めあっています。ノンビブラートから、伸ばすトーンでビブラートを強める移ろいが見事。

真心ブラザーズ『消えない絵』 童心の軌跡

真心ブラザーズ『消えない絵』 童心の軌跡

童心でここまでロックンロール。感動しました。『宇宙兄弟』作品への比喩を散りばめつつ、媚びを見事に遠ざけ切っていて爽快です。シングル版はポップ、アルバム版はロックンロール。アプローチが違ってどちらも魅力です。

THE COLLECTORS『世界を止めて』 明日を眺める甘美な時間

THE COLLECTORS『世界を止めて』 明日を眺める甘美な時間

Dメージャーから半音も全音もとばしてFに飛躍してしまう転調がアクロバット! 加藤ひさしのボーカル、シンプルな4人バンドサウンドの魅力、堪能。彼らの志向と普遍が響きあった名曲ではないでしょうか。

矢沢永吉『もうひとりの俺』 苦味のむこうのきらめき

矢沢永吉『もうひとりの俺』 苦味のむこうのきらめき

現在・過去・未来がカクテルされた矢沢永吉の自己愛、その苦味のむこうにきらめきを感じる、とても好きな曲です。一夜のブルージーな感情がコンパクトに詰まっています。

BUMP OF CHICKEN『天体観測』 ずっと追う、ほうき星。

BUMP OF CHICKEN『天体観測』 ずっと追う、ほうき星。

言葉がぶわっとたたみかけてきます。音中心に聴いていた十代でしたが、言葉を一度とり出して鑑識し、その上で音と一緒に味わってみると内省の深さ・音の厚さ・エモーションがぐわっと一緒に来てウルウルします。

かぐや姫『神田川』 刹那のロング・ブレス

かぐや姫『神田川』 刹那のロング・ブレス

こまかくみると、Gメージャーに解決しているところがけっこうあるのです。悲喜こもごもが音楽で表現されている。人生の刹那を切り取ったからこそ、かえって曲の息を長いものにしている。その呼吸は現在の私に届いています。