上村聖季

農業の分野で取り組みを行う株式会社kikitoriの代表。青果流通現場のDXをサポート…

上村聖季

農業の分野で取り組みを行う株式会社kikitoriの代表。青果流通現場のDXをサポートする業界特化型SaaS"nimaru(にまる)"を開発・運営。リアルの分野では、東京都中央卸売市場の買参権を取得し、文京区内にて"KAJITSU"を2店舗を運営している

最近の記事

農業界の巨人、JAグループを解説①

今回のnoteでは誰もが一度はその名前を聞いたことのある"農協(以下「JA」)"についてです。私が代表を勤める株式会社kikitoriも2021年はじめにJAグループから資金調達を行い、会社で進めている農業流通現場の新しいインフラを目指す"nimaru"においてJAグループとの事業連携をスタートしました。 事業連携により、JAグループ及び全国のJAとの接点をたくさん持たせて頂くことができたと同時に、JAという存在についてかなり理解を深められたように思っています。現時点でこれ

    • 食のインフラを影で支える黒子集団〜卸売会社で働く人たち②〜

      <卸売会社の仕事とそこで働く人々>  実際に卸売会社で働く人々はどのような仕事をしているのでしょうか。私自身、業界大手の卸売会社の社内にデスクをもらって仕事をさせて頂いたり、弊社が提供している青果流通特化型SaaS"bando"を通じて、全国各地の青果流通現場で働く方々からいろいろとお話しを伺ってきました。そんな卸売会社の仕事を一言でいうと肉体的にも精神的にも"すごく大変な仕事"だと思っています。  一口に卸売会社の仕事といってもその業務内容は多岐に渡り、卸売会社の中で様々

      • 食のインフラを影で支える黒子集団〜卸売会社の役割りについて①〜

        <生産を活かすも殺すも流通次第!>  今回のnoteでは一般的にはほとんど知られていない"卸売会社(おろしうりがいしゃ)"とそこで働く人たちについてお伝えします。  ”食”や”農”が語られる際に、まずみなさんの頭に浮かぶのが”生産者さん(農家さん)”の存在だと思います。私たちの食をつくってくれているのは生産者さんであり、生産者さんのおかげで食べ物を口にできているというのはまがいのない事実です。  一方で、そうした生産者さんたちが作ってくれた農産物をみなさんが食卓や飲食店で

        • "農家さん"を一括りにしてしまうことの無意味さ

           以前noteで書いた、市場流通と産直流通どちらが良いのか!?青果流通の仕組み<概要編>において、"市場流通"と"産直流通"のどちらが良いのか?という問いに対して、"それぞれの生産者と消費者次第!"と述べました。  この、"それぞれの生産者と消費者次第"という結論の"それぞれ"という部分が、青果流通、そして農業の分野を正確に理解する上で非常に重要だと思う一方で、実は世間一般の人たちにはあまり正しく理解されていないのではないかと思うことが最近多かったりします。  そこで、今

        農業界の巨人、JAグループを解説①

          知能と感性、肉体をフル活用せよ!八百屋が教える市場仕入れその④〜セリ取引編〜

          <AM7:00〜AM7:30 競売を活用して目玉となる商品をつくろう>   7:00になるとセリ(=競売)が始まります(セリの時間は市場によって若干異なります)。前回のnoteでも述べましたが、すでに青果取引の大半はこれまで説明してきたような売り子さん(卸売会社の担当者)と1対1で値段や取引数量を交渉して決める相対取引となっているものの(東京都の中央卸売市場の場合、相対取引の割合は95%以上と言われています)、市場の公共性という側面によるフェアなプライシング機能を担保するため

          知能と感性、肉体をフル活用せよ!八百屋が教える市場仕入れその④〜セリ取引編〜

          知能と感性、肉体をフル活用せよ!八百屋が教える市場仕入れその③〜実践、相対取引編〜

           これまでの〜八百屋が教える市場仕入れ〜シリーズでは、市場仕入れの基本知識である卸売市場の売場の種類や取引形態、事前注文取引などについて説明してきました。  ここからは数回に分けて、実際八百屋がどのように市場で仕入れを行なっているのかについて、具体的な八百屋の一日のスケジュールと一緒に解説していきます。  八百屋(青果店八彩)の一日のタイムスケジュールは下記の通りです。 <八百屋の一日のスケジュール> AM4:30  起床 AM5:00  市場到着、相対取引で仕入れ開始

          知能と感性、肉体をフル活用せよ!八百屋が教える市場仕入れその③〜実践、相対取引編〜

          担当者に嫌われたら試合終了!?八百屋が教える市場仕入れその②〜相対取引と事前注文取引について〜

           卸売市場(以下、市場)での仕入れについて、前回は市場内に卸売場と仲卸売場という2つの売場があること、卸売場での仕入れのためには買参権が必要であることをお話ししました。  今回は、実際に市場での仕入れの仕組みがどうなっているのかを理解する上で重要となる"相対取引"と"事前注文取引"について解説します。 <セリの割合は1%以下?現在の市場取引について> 市場の仕入れといえば買参人が混沌とする中で繰り広げられるセリ(競売)!買参権を取得後、そう意気込んでいたのですが、実際に仕

          担当者に嫌われたら試合終了!?八百屋が教える市場仕入れその②〜相対取引と事前注文取引について〜

          市場でどうやって青果を仕入れているの?八百屋が教える市場仕入れの方法その①〜売り場の種類と買参権について〜

          <市場で仕入をするとは?> みなさん、市場と聞いて何をイメージするでしょうか。おそらく大半の人が築地市場(現豊洲市場)の魚のセリをイメージするのではないでしょうか。  ここでは魚ではなく、青果(野菜やくだもの)の卸売市場(以下:市場)での仕入れについて解説するのですが、結論から言うと、上記のような一般的な市場での仕入れのイメージと実際の市場での仕入れはけっこう違います・・・  市場仕入れの実情・方法について話をする前に、このnoteでは、そもそも市場仕入れとはどういう形態

          市場でどうやって青果を仕入れているの?八百屋が教える市場仕入れの方法その①〜売り場の種類と買参権について〜

          市場流通と産直流通どちらが良いのか!?青果流通の仕組み<概要編>

          <業界内の人間がなぜ青果流通について書こうと思ったのか> 普段当たり前のようにスーパーや八百屋に並んでいる野菜やくだもの(以下:青果物)。当然ですが、これらの青果物が消費者の手に届くまでには、産地の畑で青果物を育てる"生産"、畑から消費地まで青果物を運ぶ"流通"というプロセスが存在します。  私自身、中学生の頃から将来は農業、特に青果流通の分野で仕事がしたいと考え、新卒で就職した商社を3年で退職し、起業。実際に業界の中に入ってみて思ったことは、驚くくらい業界の中の情報が外の

          市場流通と産直流通どちらが良いのか!?青果流通の仕組み<概要編>