学級崩壊の構図

学級崩壊という言葉があります。
最近はあまり聞かなくなりましたが、文科省の調査を参考にするなら、

「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し,学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」

となります。主に1990年台の後半にマスコミに取り上げられ、大きな話題となりました。

筆者の話になりますが、小学生の頃、クラスが先生と対立して授業が成り立たなくなったクラスがありました。

先生自体に問題がなかったとは思いませんが、一部の発達に課題がある子どもが授業中に立ち歩き、先生がその子にかかりきりになって、他の子どもも真似をして学級崩壊になったように思います。

なぜ学級崩壊は起こるのでしょうか?

学級って何?

学級崩壊という現象は主に、小学校で起こると言われています。
理由は、中学や高校で起こるのは、学級崩壊ではなく、授業崩壊や、そもそも学校全体が荒れている学校崩壊だからです。

学級という単位が強く機能するのは、小学校となります。

特に小学校では、学級が成り立たない=授業も成り立たないとなります。
授業が成り立たないと、先生や学校も困りますが、保護者や子ども自身も困ることとなります。

話がそれましたが、学級とはなんでしょうか?学級とは、学級王国という言葉にもあるように、同じ担任教師に同じ30〜40人のクラスメイトが同じ空間で生活する、小さな共同体だといえます。

逆になぜ見ず知らずの子どもが集まって知らない大人の人が1人で運営できるのか、なぜ授業中にみんな座っているのか不思議ですね。

なぜみんな座るのでしょうか?

学級の権力

学級の中でなぜうまくいくのか、それは先生や学校に権力があるからです。

権力というと悪い言葉に見えるかもしれませんが、例えば交通ルールを守るのは、自分にとって守ると安全だから守ろうというだけでなく、違反すると罰せられるからやめようという力が働くからです。

そのため、学校で授業中に、よくわからない先生の話でもとりあえず座っているのは、単純にこの話が自分にとって役に立つからというだけでなく、座らないと怒られるとか、先生の言うことは守らないといけないと言う規範意識が働くからです。

こうした複数の要因が元で、学級というものは成り立っています。もちろんここには教師と生徒の信頼関係といったものも働きます。

学級崩壊の要因

ということは、学級崩壊は成り立つ要因が崩れると、起こるということです。
そのため、ベテランや新人の先生に関係なく、起こることが指摘されてきました。

それでは学級崩壊の要因を簡単にみていきましょう

・教師の権威の低下(規範意識の低下)
・親の高学歴化
・子ども集団の対立
・教師との信頼関係の崩壊

教師の権威の低下
学校に行って先生の言うことを聞かないといけないと言う強い権力は次第に薄まってきています。
一つは、学校の対応の悪さ(いじめ自殺や体罰、不登校への対応)で強くマスコミを通じてバッシングを受けたり、親や生徒から反抗されるようになってしまいました。
また、昔ほど大学に行けば良い就職ができ、幸せを得られるという、「立身出世」の見込みも薄くなっています。
裕福な時代ですから、そこそこでいいかと思う風潮が強くなると、より良い収入を得るために真剣に勉強をしなければならないという規範も低下していきます。

親の高学歴化
これも学校での規範意識の低下に関わりますが、かつては学校の先生というのは大学を卒業している、高学歴集団でした。
特に田舎に行けば、大学を出ている人はほぼいなのいので、学校というのはその地域でもっとも学歴の高い人たちが運営しているともいえました。
しかし、現在親世代が大学を卒業していることも多く、そうした学歴の高さによる優位性はなくなってしまいました。
しまいには、保護者の方が勉強をし、学校教育の批判を展開してくることもあります。学校の権威は低下していきます。

こども集団の対立

これは、例えば幼稚園と保育園でやっていることが違うため、40分座るといったことが幼稚園行った子はできるけど、保育園に行った子はできないという、大きく学級で分断されてしまうことがあります。
特に高学年で、中学受験をする子どもたちとしない子どもたちで、する子どもたちは既に塾で勉強をやっているので、授業中は寝ているといったことが起こると、子どもたちの集団もギクシャクしてしまいます。
特に幼保小の連携の不備や、中学受験をする子どもたちをどうするかといった問題は今後の課題となるでしょう。

教師との信頼関係の崩壊

最後になりますが、最終的には信頼関係が崩壊し、学級崩壊になるのでしょう。
権威が低下していても、教師と生徒にそれなりの関係性ができていれば、座ってくれます。
かつては、信頼関係などなくても座ってくれたのかもしれませんが、現在はおそらく成り立たないでしょう。
前書いた記事に「教えるー学ぶ」関係をまとめたものがありましたが、「教えるー学んだふりをする」というパターンもあると書きました。

学んだふりをするぐらいには、力があったもしくは信頼関係があったのにも関わらず、こうした力関係が失われて、崩壊してしまうのです。

まとめ

学級崩壊は一つの理由だけで起こるものではありません。その教室教室で様々な理由が混ざり合います。
なので、もし保護者の方で子どものクラスが学級崩壊をしてしまった場合、保護者が学校を攻撃してしまうと、崩壊は止められません。
子どもにとっても保護者にとっても先生にとっても良い結果にはならないでしょう。

まずはどんな要因があるのか

1人立ち歩く子がいて、他の子も真似し始めたのか、保育園から来た子が座るのが苦手なのか、受験のためギスギスしてしまったのか、教師がエコ贔屓し子どもたちの不満が溜まってしまったのか。
どんな理由があるのか、探ってみる必要があるでしょう。
その時には、管理職の先生などに入ってもらい、どんな原因なのかを協力的に探れれば、良いかと思います。


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