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竜とそばかすの姫、すごく良かったと言いたい。感想。

竜とそばかすの姫、あんまりにも歌(と映像)は良いけど、ストーリーは…という感想が多すぎて、いや、ストーリーも良かった!と言いたい。

以下、たぶんネタバレありで、つらつらと。ただの感想。

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私の中ではこの作品、鈴が竜を救うことで自分自身も救われる物語。

なお、美女と野獣はモチーフとしてあるけれど、ベルと竜の間にあるのは恋ではないと思う。どちらかと言うと、母と子どもかなと。

鈴=母は、見ず知らずの子どもを救うために身を投げ出した自分の母、竜=子どもは、川の向こうに取り残された見ず知らずの救う対象としての子ども。

ただ、母を亡くし、傷を抱え、救いを求め、Uという仮想世界でもうひとりの自分になることで渇望する姿になれる、鈴と竜にはそんな共通点もあり、だからこそ、竜を救うことは鈴自身を救うことにもつながるイメージ。

近いものを感じるからこそ、その痛みをほうっておけなくて、傷ついた心を包んで癒やしたくて、それはまるで恋する相手を知りたいと考えてしまう状態のようで、だけど恋よりむしろ母性的な愛に近い。

救おうとする中で、傷を抱えながらもがき進もうとする姿を見て、外から見ることで視界が広がり、自分自身も変わろうとし、結果自分も救われることって、あると思う。

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あと、舞台装置としての、リアルとネットを凝縮したような、現実と仮想世界U。

正しさの主張による自己肯定。同調圧力。合わさることによる行き過ぎた正義感。安全圏からの攻撃。リアルでもあるけれど、生身の自分じゃないからこそ加速するネットの世界。

正義警察みたいな人たちにとって、竜はわかりやすく正義を振りかざして叩ける目立った相手だっただけで、そこに深い意味はないんだと思う。

これらは、問題提議としてのネットの負の側面。

だけど、そんなネットの世界で、ベルと竜のような救われる出会いもあるということが、ネットの世界の希望を見せているんじゃないかな。

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たしかにね、最後らへんの鈴がケイくんたちの元に向かうシーンは、いろいろツッコミどころ満載だし、描かれていない物語のあと、たとえばリアルバレした鈴大変なんじゃ…とかも、たしかにとは思う。

だけどさ、ファンタジー要素ありの創作物ってそういうご都合主義もありきだと思うし、描かれていない物語のあとの世界は、置いといたら良くない?と思ったり…。

切り取られた物語の世界の始まりから終わりを、楽しめばいいのだと思うので。あと、物語のあとの世界が問題だと思うなら、自分の想像の中で幸せな展開にしてあげたらいいじゃないかと。

私はストーリー込みで、すごく素敵な映画だと思う。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました( ˊᵕˋ* ) よかったら、また読みに来てください!