飛び降りないで
今日も先輩は屋上にいる。お弁当を食べに来ているんだったらいいんだけど、そうではない。お弁当を食べるのに、金網の外側に出る必要はないからだ。
そんな先輩に、今日も俺は声をかける。
「先輩。屋上で何してるんですか?また、自殺の予行練習ですか」
彼女はいじめられているわけではないというの学校側の意見。
だが、本当にそうなのかは彼女のみが知るのだろう。
「ま、俺には関係ないけど、自殺者出ると学校休みになっちまうんで……」
そう言葉をかけつつ、俺は近づいていく。そして、金網を掴む相手の手に自分の手を添えて。
「ああもう、はっきり言えば飛び降りるなって言いたいんだ」
そう言って、添えられた手は、彼女の手を掴んだ。
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