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第九コミュニケ:サパティスタの新しい自治構造

原文(西語):https://enlacezapatista.ezln.org.mx/2023/11/12/novena-parte-la-nueva-estructura-de-la-autonomia-zapatista/
原文(英語):https://enlacezapatista.ezln.org.mx/2023/11/13/ninth-part-the-new-structure-of-zapastista-autonomy/
西語原文掲載日:2023年11月12日

(訳註:上記画像はFreedomより。翻訳に際しては、英語を基本に、西語を参照すると共に、こちらを参考にさせていただきました。
2023/11/26付記:スペイン語の「Parte」にコミュニケの意味があると分かったため表題を変更しました。)

2023年11月

兄弟、姉妹、同志達へ

 これから私達が自治を再編する方法--つまり、サパティスタの新しい自治構造--について説明しよう。詳細は後ほど説明する。もしくは、これ以上説明しないかもしれない。実践こそが問題だからだ。もちろん、君達が記念日にやって来て、演劇・歌・詩、私達の闘争の新段階に関する芸術と文化を見てもらっても構わない。来なくても、テルシオス゠コンパス(訳註:サパティスタのメディア機関)が画像と動画を配信する。別な機会に、MAREZ(サパティスタ叛乱自治地区)とJBG(善政フンタ)の良かった点と悪かった点について私達の批判的評価をお伝えしよう。ここでは新しい構造を示すに留める。それは以下のようなものだ:

第一:主たる基部は、地元自治政府(LAG、スペイン語ではGAL)であり、ここで自治が維持されるだけでなく、GALなくして他の構造は機能できない。サパティスタ支援拠点が存続するコミュニティ毎に一つのGALがある。サパティスタの様々なGALは、あらゆる自治の中核である。各々のGALは自治区代理人・委員が調整し、町・ランチェリーア・コミュニティ・エリア・地区・エヒード・コロニーなどその住民がどのように呼ぼうとも、そこで開催される議会に従属する。各GALはその自治区の組織資源(学校や診療所など)とサパティスタではない兄弟町との関係を管理する。適正な支出用途の管理もする。同時に、あり得る管理ミス・汚職・過失を見つけ、報告する。さらに、サパティスタ当局になりすまし、私利私欲で支援や援助を求める人々にも注意を払う。

 従って、以前は数十のMAREZがあったが、今では数千のサパティスタGALがあるのだ。

第二:様々なGALは、それぞれのニーズ・問題・進歩に応じて、サパティスタ自治政府コレクティヴ(ZAG、スペイン語ではCGAZ)に参集し、議論し、集まった各々のGALに関わる事柄について合意を交わす。そのように決定されると、自治政府コレクティヴはそれぞれのコミュニティ当局者議会を召集する。ここで、保健・教育・農業生態学・司法・通商など必要事項に関する計画とニーズを提起し、議論し、承認・否認する。CGAZレベルには各エリアの調整役がいる。調整役に権限はない。その任務は、GALが求めた仕事、もしくはコミュニティ生活に必要だと見なされる仕事を確実にこなすことである。例えば、予防医学やワクチン接種キャンペーン・風土病キャンペーン・講座と専門訓練(検査技師のような、X線検査・超音波検査・マンモグラフィー・その他私達が習得し続ける検査の)・識字率向上と高等教育・スポーツと文化イベント・伝統的お祭りなどである。各地域やCGAZには統括責任者がおり、喫緊の問題や複数のコミュニティに影響する問題が生じた場合に議会を召集する。

 つまり、以前は善政「フンタ」が12あったが、今ではそれが数百あるのだ。

第三:次は、サパティスタ自治政府コレクティヴ議会(ACZAG、スペイン語ではACGAZ)である。以前はゾーンと呼ばれていた。ただ、ACZAGは全く権限を持たず、CGAZに従う。そして、CGAZはGALに従う。GALとCGAZの求めに応じて必要な場合にACGAZは召集され、ゾーン議会を主宰する。ACGAZはカラコレスを拠点とするが、様々な地域間を移動する。つまり、ACGAZは、民衆の要請に応じて動くのである。

第四:実践で見るだろうが、「自治の指揮・調整」はJBGとMAREZから、様々な町とコミュニティへ、GALへと移管されている。諸ゾーン(ACGAZ)と諸地方(CGAZ)は、町が統治し、町に対して説明責任を負わねばならず、保険・教育・司法・食料のニーズ、そして自然災害・パンデミック・犯罪・侵略・戦争・その他資本主義システムによる様々な不幸がもたらす緊急事態に起因するニーズを満たす方法を見つけねばならない。

第五:EZLNの構造と配置を再編するのは、侵略・攻撃・伝染病・自然を食い物にする企業の侵入・部分的または全体的な軍事占領・自然災害・核戦争が生じた場合に、町と母なる大地の防衛と安全を強化するためである。私達は、互いに孤立しても町が存続できるよう準備してきた。

第六:これを咀嚼するのは難しいかもしれない。しばらくの間、理解に苦しむだろう。私達はこれを考えるのに10年掛かり、10年の内3年は実践の準備をしていた。

 また、自分の思考が混乱している気がするだろう。だからこそ、理解のチャンネルを変えねばならない。遠くを見、前後を見て初めて、現段階を理解できるのだ。

 これは新しい自治構造であり、私達も学んでいる最中であり、上手く行くまでにはしばらく時間が掛かると理解していただければ幸いである。

 実際、この声明は、サパティスタの自治は継続し、前進していると伝えようとしているだけだ。私達はこれが、人々が生活している町・コミュニティ・居場所・地区・コロニー・エヒード・ランチェリーアにとって、つまり、サパティスタ支援基盤にとって、より良いものになると考えている。これは、各々の考えと提案・批判と自己批判を考慮して、それぞれが決定したのである。

 また、今後目にするだろうが、こうした自治の新しい段階は、ヒュドラの最悪の部分、その悪名高き野獣性とその破壊的狂気と対決すべく作られた。その戦争・ビジネス・軍事侵攻と対決するのである。

 私達には国境もなく、遠い地域もない。この惑星の隅々で起こったあらゆることが、私達を憂慮させ、傷つける。私達の力は微々たるものだが、私達は、肌の色・人種・国籍・信念・イデオロギー・言語に関わりなく、困窮する人間を支援する。私達は多くの言語を知っている訳ではないし、多くの文化や風習を理解しているわけでもない。しかし、システムが引き起こす苦しみ・痛み・悲しみ・誇り高き怒りを理解する方法を知っている。

 私達は同胞の心を読み、聞く方法を知っている。彼等から・彼等の物語から・彼等の闘争から学ぼうと努力し続ける。何世紀もの間この問題に苦しめられ、それがどのようなものか知っているからだけではない。何よりも、この30年間がそうだったように、私達は命懸けで戦っているからだ。

 確かに、私達はこうした歳月の中で多くの過ちを犯してきた。確実に、次の120年でもっと多くの過ちを犯すだろう。しかし、私達は諦め「ない」、生き方を変え「ない」、身売りし「ない」。常に、批判的な目で闘争を・時勢を・やり方を見直していく。

 私達の目・耳・頭・心は、多くの点で異なっていても、同じ懸念を持ち、民主主義・自由・正義への似通った願望を持つ人々から常に学ぶ準備ができている。

 そして、私達は常に、私達の諸民族にとって、姉妹コミュニティにとって、最善を追及する。

 だからこそ、私達はサパティスタなのだ。

 この惑星のどこかに少なくとも一人サパティスタがいる限り、私達は叛乱で抵抗する。つまり、戦うのである。

 敵も味方も、自分の目で確かめてほしい。どちらでもない人も。

 今のところ、以上だ。

メヒコ南東部の山岳地から。

叛乱副司令官モイセス。
2023年11月、メヒコ。
10年、20年、30年、40年、500年以上先へ。

追伸。以下の図を見れば、少しは理解できるだろう。

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