2024年7月11日フィンランド1人旅 【トゥルク】

3日目

酷い二日酔い。しかも雨が降っていた。

とりあえずシャワーを浴びようと浴室に入る。ユニットバス形式なのだが、あまりにも人の家でどうにも落ち着かない。

サッとシャワーを浴びてまたベッドに戻る。うすらうすら眠気を感じながらも12:00チェックアウトまでに間に合うよう準備した。

一旦部屋から出て挨拶をしようと一階へ降りる。案内してくれた女性に挨拶をしてどうしても聞きたかったことを聞いてみた。

「自分の家に知らないバックパッカーが泊まるのって怖くないの?」

「いいえ、ここに来る人はみんな良い人だから。」

え〜〜〜〜〜〜と思いつつ返事をした。
そこの家には犬がたくさんいた。ちょっと撫でてみようと思い手を伸ばす。これはBECKの泉ちゃん方式である。手でグーを握って犬に近寄らせる。一応実家では犬と10年以上触れ合っている経験がある。自分は犬がめちゃくちゃ好きだ。なぜだ。めちゃくちゃ歯を剥き出しに噛まれそうになる。足早に部屋に戻る。その家にいた犬はチワワとシーズーと、もう1匹はわからなかった。

チェックアウト時、下に降りるとその女性は出かけていて、旦那が対応してくれた。気のいい人だった。もし良ければと写真を撮らせてもらった。


おっちゃん

家を出てからコンビニに入ってご飯を買う。外で食べ、タバコを吸って住宅街を眺める。フィンランドはレストランでもバーでも室内は完全に禁煙。けど、屋外は喫煙禁止の看板が貼ってあるところ以外ではどこでも吸っていい。灰皿もよく見かける。
曇り空でそこまで暑くはない。外では親子で自転車に乗ったり、婆さんがカートを押しながら散歩していた。途中、家の窓を補修している家があった。なんとなく住居を注目してみると、こっちの住宅ではハシゴ付きの家がたくさんある。さすがサンタクロース発祥の国。


住宅街


住宅街2


住宅街3



住宅街4

海の近くにある観光地に向かう。行ったっていう事実を作りたいだけなんだけど。
落ち着いた住宅地を抜け、川沿いに出ると路地でおばちゃん二人が井戸端会議をしていた。1人がケガで生まれるアザだらけだった。

景色が変わらない、まっすぐな道を歩いてると、急に体調が悪くなってきた。二日酔いと、10キロ以上ある荷物を背負って1日20000歩以上歩く生活に身体にガタが来てたんだと思う。決めてとなったのは、沿岸沿いにある観光地に40分ほど歩いて向かっていると、橋が無く、引き返して対岸の道をまた同じく歩かなきゃならない事に気付いた時。物凄く気落ちしたし、近くのベンチで休んでしまった。


住宅街5


お前、、、こんなとこにいたのか、、

とりあえず歩こう。
別に動かなくてもいいんだけど、何故か動かなきゃと思ってしまう。

引き返して橋まで来つつも、その時はもう観光地に行く気にもならず、駅に向かった。橋には恋人達が付けたであろう南京錠などカギの類いが付けられていた。文化は違えど、人として見る恋人の価値観、表現方法は変わらないかもしれない。

そこから1時間以上かけて駅まで歩いた。着いたはいいけど、目的地の場所まで出る電車が2時間先だった。次の場所はタンペレかユヴァスキュラという街にしようと思っていた。けど、ユヴァスキュラはおろか、タンペレに向かう電車が2時間に一本ぐらいのペースでしか走っておらず、思わず駅構内のベンチに腰を降ろし、その場で30分ほど休んだ。人が少ない。電車が少ないからどこかに出掛けているかもしれないけど、そんなに見るところあるか?と思いながら駅構内を見つめる。


駅の隅の方

靴が壊れかけていた。いつも履いていたVANSにもガタが来ていた。つま先が剥がれかけてる。
フィンランドには夏の間、国内での電車が片道ずつ乗り放題のチケットがある。値段は高いけど、旅する目的だったら相応に格安ではあるからそれを買おうとするも券売機に表示されない。

iPhoneから調べると出てくる。どうやらフィンランドで使われている支払い(日本だとPayPay)にしか対応されていなかった。

バスからならどうだろうか。重い腰を上げて市街地中心にあるバス会社のインフォメーションまで歩く。ちなみに乗ろうとしてた鉄道はJRみたいな会社で、電車と高速バスの管理をしている。この時訪ねたバス会社は常磐交通みたいなものだった。

行き先はここと受付の方に伝えたところ、あと20分ぐらいで出ると教えてもらった。けど、移動する気になれなかった。
めんどくせ〜〜〜〜〜〜。
ちょっと考えるね、と外に出る。
タバコを吸ってボーッと街を眺める。




よし、もう一泊しよう!ゆっくり宿で休んで飯でも食いに行こう!めんどくせ!なんとかなるっしょ!

時刻は16:00過ぎ。検索したら日本円で10000円ちょっとのシングルルームの部屋がヒットした。相部屋なんてやってられっかよ寝たいんだよ!

その部屋を予約。
とりあえず落ち着いたので何か飯を食おう。
なにを食おうかと思っても、メニューは読めないし読めても高い。というか、海外にきて思ったけど郷土料理に興味がない。
日本国内だったら割と食べるんだけどな。
とりあえずインフォメーションの近くにあったケンタッキーに入ってみた。
日本だと滅多に行かないケンタッキー。腹一杯食うには高いと思ってしまう。ラーメン食べたいし。
けど、フィンランドのケンタッキーは日本と同じぐらいだった。要するにフィンランド内では格安の値段。
タッチパネル式の券売機からメニューを選ぶ。
なんかよく分からんからハンバーガー系統のメニューから選ぶ。
恐らく400円しない程度。安い。チェーン店及びスーパーと、レストランとの値段の差が広すぎる。

レストラン<<<<<マーケット<<<チェーン店、スーパー
みたいな体感。

ぱっと見、ここらへんの客層は日本とあまり変わりないかもしれない。
カウンターに座って街を眺めながら日本との違いを探してしまう自分はまだ観光気分なのかもしれない。

届けられたハンバーガーを食べる。美味い。仕事終わってから夜マックのドライブスルーを思い出す。これで良い。

外に出ると、自分が座ってたであろうカウンターの窓は外側から見たらケンタッキーの看板だった。MM号かよ。


ホテル

もうこの街の場所もなんとなく分かってきたのですぐにホテルに辿り付いた。二階建てのビルの二階。その二階全てがホテルの作りなのだが、入り口がナンバーキーになっている。いやいやこれどうやって開けるの?

後でわかったことだけど、このホテルに直接予約するとメールが届き、そこにナンバーなどが送られてくる。自分は日本のホテル代理店から予約したから、その後送られてくるはずであろうドアナンバーが届いて無かったってことだった。

それも分からず立ち往生する自分。
なんとかならないもんかと、そこの階下でアートスタジオみたいな運営をしていた人に声をかけてみた。そしたらすぐにそこに電話してくれて、キーの番号を教えてくれた。まじキートス。
時折???みたいな表情してもちゃんと教えてくれた。
奥にいた弟子みたいな人と目が合った時、フン、と言いたげな顔でそっぽ向かれた。

ドアを開けて二階に上がると受付に人はいなかった。受付の面会ガラスにフィンランド語でたくさんの説明書きが貼られていた。一つ一つ写真を撮り、翻訳してみても手掛かりになるような事が書いてなかった。どうすりゃいいんだ。

階段を上がってすぐに置いてあるソファに座っていると、奥から黒人の男性2人組が歩いてきた。Helloとお互い声をかけ、外に出ていった。
静かなホテルで携帯をいじってると突然「ファイブミニッツ!」と音声が鳴り出した。なんだ、と思って身を構えるも、その後アナウンスは無かった。

しばらくすると先ほど通りがかった2人組が酒を何本か持ってきて部屋に戻って行った。目の前のスーパーで買い物してたのかな。数分経ち、奥からドアを開ける音がした。
先ほどの黒人の1人が自分の目の前まで迫ってきた。
なんだなんだと身を構えると、携帯を出し、Google翻訳の画面を見せてきた。「あと5分で来るらしいです。」わざわざ伝えにきてくれたのかよ!ありがとう!サンクス!と伝えるとニカっと笑って奥に戻っていった。
それにしても俺が日本人ってよくわかったなと今では思う。

階下のドアが開く音が聞こえた。声を掛けてきた感じ、受付のスタッフだった。もう癖のようにGoogle翻訳を出して説明するも、??みたいな反応をされる。英語で翻訳しても違う。彼女はロシア人だった。今の情勢を顧みても、ここで生活してて大丈夫なのか?と疑問に思った。スーパーやコンビニに入るとロシアの大統領がデカデカと写った新聞をよく見る。そんなこと考えつつ、彼女は凄く元気に部屋に案内してくれた。そして何やらジェスチャーで伝えてきた。伝わったかは分からないけど、洗濯板に洗濯物をゴシゴシしていた。
いや、やっぱりわからない。全然わからなかったので、オッケー!とだけ返事したら外に出て行った。

丁寧に整えられた部屋だった。部屋に入った瞬間、ベッドに横になった。疲れすぎて携帯を充電する気にもならない。


「もう動けない」の図

しばらく経った頃、ドアがノックされた。ちょっと怖かったので1回スルーする。そしたら間をおいてまたノックされた。恐る恐る開けてみると、スタッフの人だった。フロアの奥を指さして「あそこ、コーヒー、水」みたいなことを英語の単語で伝えにきた。そこはスタッフが来るまで待ってる間に散策して見ていた。オッケー、イエス。と伝えた。そしたら笑顔でドアを閉めた。

しばらくして水が飲みたくなったから部屋から出て、忙しそうにしているスタッフの人とすれ違うと笑顔で声をかけてきた。そして、水を汲んで戻る時に「Have a nice day!」と大きな声で言ってまたすぐ外に出ていった。


ホテル内。奥に台所がある。

廊下には2人で座る用の小さいテーブルと椅子が数脚あった。なんだろう、妙に落ち着く。フィンランドに発つ前、友達と飲みに行って泊まらせてもらった部屋の洗面室が物凄く落ち着いたのと同じような感覚。これ読んでてほしい。

写真を撮ってから部屋に戻り、腹一杯何かを食べたかったから、目の前のスーパーでソーセージとパスタとヨーグルトとドリアみたいなのを買った。
帰りがけ、ブーツを手に裸足で帰ってる人を見かけた。

ホテルの電子レンジでまずパスタを温めて食べてみるとこれが凄く美味しかった。ヨーロッパの飯がマズイって言ったの誰だ?スーパーの飯でこんなに美味いのか。ラーメン以外全部美味い。

食べ終わったその容器にソーセージを温めてみる。これはしょっぱすぎたけど、全然美味い。フィンランドはソーセージとかハムとか、所謂加工肉が安い。と言っても日本と同じぐらいの値段だけど。
ドリアだと思って買ったモノを開けてみたら、パンにかけるソースみたいなモノだった。食えるわけねーだろ!とキレつつ数口食べた。チリビーンズとかなんとか。


こんな感じ


食べ終わったらシャワーを浴びて、テレビを着けてみた。もちろん当たり前だけど全部フィンランド語で何を言ってるかわからない。これがこの国に住む人の普通なんだよな。物凄く当たり前なんだけど。一通り回したらテレビを切り、微かにあるWi-Fiを頼りにYouTubeを見たりした。日本でいつも見てるチャンネルを眺めてた。とことん何もしない夜。

時間が経ち、昼頃には止んでた雨がまた降り出した。この国で初めて見る夜の雨だ。こういったことにも新鮮さを感じる。ブラインドの間から外を覗く。
雨に打たれるか、カッパを着るか、フードを頭から被って移動してる。「北北西に雲と住け」という名作マンガに「ここの国の人は傘を差さない」というコマがあるのだけど、もしかしたらヨーロッパがそうなのかもしれない。傘を差して歩く人が少ない。

部屋の電気を消して外を眺める。時々タバコを吸いに外に出て、雨を眺めてすぐに戻る。
暗くした部屋から雨が降ってるフィンランドの街並みをずっと眺めてた。

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