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壊れるものがリアル

きのうアップした「ひらり」を、パートナーのオッサンに見せてみた。オッサンはアートに詳しい。

リアルな作品にしたいと思ってると話したら、「小さな額に入れて、家の中に飾ってもいいよ」と言ってくれた。

それじゃあ…と、調子に乗って100均で額を買ってきた。パソコンで題名と絵と詩をあれこれ工夫して配置してみたけど、これが結構むずかしい。余白をある程度もたせようとすると、絵がどんどん小さくなっていく。絵はあまり小さくしたくない。それでも、バランスを見ながら少しずつ絵を小さくしていった。リアルな世界には常に枠(わく)というものがあるのだ。

絵の下に詩を中央寄せにして配置したら、ひらりと軽やかな感じがなくなってしまった。むむー、モヤモヤする。詩も風に舞うようにしたい。試しに一行ずつずらしてみた。モヤモヤが「そうそう、そんな感じ」と言う。プリンターで印刷して、はがきサイズにチョキチョキ切って小さな額におさめた。

これが僕のリアルな世界での作品第1号。これまでネット上に作品を残してきたけど、ひとつも「リアル」な形を持っていない。僕にとってデータはリアルではない。質量を持たないものはリアルではない。お化けに近い。枠のない世界は魅力的だけれども、永遠の命のように虚しさがつきまとう。壊れるものがリアル。コピーできるものはリアルではない。

自己満足してたらオッサンが注文をつけはじめた。

「額は100均じゃなくてちゃんとしたものがいいよね」
「ちゃんとした額は、壁に掛けるためのヒモが裏についてるものだよ」
「紙も質感のある凹凸のある感じのいい紙で、黄ばまないのがいいよね」
「インクの色はどのぐらいの期間きれいかな」
「業者で印刷したほうが、色の持ちがいいだろうね」
「できれば絵をもう少し小さくして余白がもう少しだけあるといいよね」
「漠の名前の消しゴムはんこ作ってポンと押したら?」
「だって、ホンモノ感ほしいし」
「この家をアトリエにするなら、プラス月5万入れてね」などなど…

最後のは冗談だろうけど。

オッサンはオッサン、僕は僕。自分としては「自分の作品」と言えるリアルな作品が欲しかったので、すでに満足度100%。でも、もしこれからも作り続けることができるなら。いつかは詩集にして個展を開きたい。

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