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今もどこかで

Skypeにログインできない…。

アカウント名とパスワードを入れても、「古い Skype パスワードは今後使用できません。Microsoft アカウントのパスワードでお試しください。」と真っ赤なエラーメッセージが表示される。

在宅ワークで使ってる共有アカウントなので、他の人もログインできないか聞いてみたところ、「おかしいね、できないね」「あれ、私も」と返事がきた。

それじゃ、もう僕の責任じゃないよね。Skypeのせいだよね。ここで、「俺知~らね」となりたい。でも、このままじゃ自分の仕事が進まないから、システム障害が出てないかとか、いろいろ調べてみたりしてる。

本当は俺知~らね、って言いたい。何が起きてるのか分からない。今、家の周りでは何も変化していない。空は普通に曇っていて、近くの町工場の機械音が聞こえる。いつものように普通に時間が過ぎていく。twitterで「Skype」とか「Skype システムトラブル」とか「Skype ログインできない」とか検索して情報を漁ってみても、最近のめぼしい情報は何も出てこない。普通に「Skypeはじめました。話さない?」的なツイートが流れていく。

でも、依然として僕の使ってるSkypeアカウントはつながらない。

今もどこかで人が生まれて死んで、夫婦で怒鳴りあってる人もいるんだろうけど。僕の耳には誰の泣き声も、怒鳴りあう声も聞こえない。僕が「Skypeにサインインできないぞぉぉぉ!!!」と、どんなに頭を抱えてパニクっても、相変わらずネットには何の情報も出てこない。今この瞬間も、旭川動物園のカピバラさんは、僕の焦りとは無関係にのんびり沐浴なんかしてるんだろう。

Skypeがつながらないのは僕の責任じゃないのに、責任が手放せない。これが自分のいけないところだと分かっていても手放せない。腹の中でモヤモヤが膨れ上がる。このモヤモヤを無視してはいけない。席を立って休憩すべきだ。この世界のほとんどが、僕とは関係なく動いている。世界は僕と関係なく回り続けている。その回転を止める権利もなければ義務も責任もない。なのに、なぜ僕は立ち上がれずにいるのだろう。

ピコン!と音がして、ヘルプメールを出していた上司から返信が来た。

「ほんとだ。対応します」とのこと。

よかった。責任を手放せる。とりあえず、コーヒーでも飲むか。。

※写真は7年ぐらい前に行った旭川動物園で会ったカピバラさん。今も元気でいるだろうか。

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