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「マイケルジョーダン:ラストダンス」

プロスポーツ史上最強のチームは?この魅惑的な問いかけは、古今東西のスポーツファンを騒がせ、百家争鳴の議論をまたない。かくいう私も、このテーマでならば朝まで語り明かすことを苦にしない。

マイケルジョーダンが率いた1990年代のシカゴブルズは、間違いなくその一つだ。8年間で6回の優勝回数(逃した2回は、ジョーダンが仮引退中だった)もさることながら、ジョーダンの神のような美しいプレーと、悪魔のような勝負強さの記憶は今も鮮明。その全盛期を当時NHK-BSでリアルタイムで視ることができたのは、実に幸運だった。

その時代を振り返るドキュメンタリーをNETFLIXで視た。当時の試合映像とオフショット、直近のインタビューを組み合わせた全10回の大作で、偉大なチームを振り返るに相応しい歴史的価値のある作品だ。

衝撃を受けたのは、ブルズの選手同士の仲が、実はとんでもなく悪かったこと(GMとはもっと)。チームワークこそ、勝利への必須条件と信じる我々日本人の想像など、遥かに越えていく様は、個人主義の国アメリカでも珍しいのではないか。凄いのは、この「仲の悪さ」を試合での強さ(特に接戦時)に昇華させていることだ。普通の人間ならば人に嫌われたくないし、嫌いたくもない。だが、当時のブルズにはそれを是として受け入れてしまう(つまり普通の人間ではない)マイケルジョーダンという神がいた。彼が本当に凄いのはそこだったのだ。

強すぎたブルズが解体に向かう最後の1年<ラストダンス>は、栄冠と終焉ーその両方に同時に辿り着くという皮肉な結末。

1998年以降、シカゴブルズはNBAファイナル進出を逃し続けている。

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