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10代の女の子のために、今かっこつけて言おう。「媚びて売るほど、私の時間は安くない」

私はママ起業家と言われるのが嫌いだった。
すごくすごく嫌いだった。
ママであることは事実だし、ママの視点を活かしたビジネスが多いし、ママだからこそ得られるチャンス(パネスディスカッションの女性枠や賞のノミネートなど)もあるということは重々承知している。

それでも嫌だった。
この言葉を使われる時、「バカにされている感」を受け取ってしまうからだ。相手に悪意はないのかもしれないが、この切り口で話す方とあまり良いやり取りができた経験がない。

今回、その経験をあえて発信したいと思う。

不快な体験をした当時に発信しなかったのは、こんなことを言われるのは、私がママだからなのか、私が女性だからなのか、私が実力不足だからなのか、私のキャラクターなのか、私に会社という後ろ盾がないからなのか、わからなかったから。
原因が分からない状態で「今日、営業でこんなこと言われました。。」みたいな発信をしたら、「こんな扱いをしてもいい人なのか」や「文句ばかり言う人だ」と自分のブランドを下げてしまうリスクがあったからだ

よく言われたこと①
「子どもがかわいそうですね」

今も出張に向かう新幹線の中でこれを書いている。
今回は、友達の家でお泊りして、預かってもらっている。
これを「かわいそう」と言われる。
ご飯を作るスキルも元気もなく、お惣菜の日が増える。
これを「かわいそう」と言われる。
旧姓で働いて、苗字が子どもと違う。
これを「かわいそう」と言われる。

私はいつも両腕に二人を置いて腕枕をして「大好きだよ」と言って眠る。
彼らはいつも笑顔で「行ってらっしゃい。お仕事頑張って」と言ってくれる。

これがうちの幸せの形なのだ。
普通と違うだけで、「かわいそうな子ども達」と「自分勝手な母親」というレッテルを貼られるのは不快だった。

よく言われたこと②
「なんで働いているの?お金に困ってるの?」

「働くことは苦しいことで、働くのはお金のためである。」
この前提で働いている人からすると、なぜママが働くのかを理解できない。

このような方に「自分のミッションのためです」と言っても全く伝わらない。(もちろん、何度も言葉を変えて働く理由を説明した)
全く伝わらないどころか、「かっこよく言っているだけでつまり趣味ってことね。仕事ってそんなに甘くないよ」と嘲笑される。

「ママって近所のパン屋さんで3時間くらいパートできたら満足なんでしょ」と言われた。いや、そういう働き方が幸せな人もいるし、そうじゃない人もいる。「ママ」と呼ばれる人も1人の人間で価値観や生き方は当然ながら全て違う。が、分かってもらえない。

あまりのかみ合わなさに、話す気力を失う。
帰りの山手線で下唇を嚙みながら涙をこらえた時のことを今も鮮明に覚えている。

よく言われたこと③
「うちのダメ嫁にも、見習わせたいですよ(笑)」

自分のパートナーを下げて、私を上げようとしてくれるのだが、見習わせたいとは全く思っていない。
そもそもパートナーのおかげで、今あなたはこのように働けているのに、なんで見ず知らずの私に大切な人の悪口を言うのだろうか。なぜか続く、相手への愚痴を聞くのが不快だった。

「うちの嫁はずっと家でいて何もしていない」というので、「私はずっと外にいて、家のことは何もしていません。家は汚いし、ご飯はまずいです。」と答える。そしたら、相手は苦笑いをして、その話が終わる。

よく言われたこと④
「僕の言うこと聞いてたら、うまくいくのに」

良く分からないが、なぜか「自称コンサル」的な男性がコンタクトを取ってくる。創業当時はよく分からず、人脈は大切だし、縁を大事にしないといけないと思い、お会いすることが多かった。

自分の経歴とともに名刺入れから大手企業の方の名刺や偉い肩書の方の名刺を出してきて、「僕はこんなにすごい人たちとつながってる」と言いたいようだった。

そしてよく分からない方とランチをセッティングされた。私の話は全くされず、ただ、その場にいるだけだった。
ああ、私はこの人にとって自己顕示のアクセサリーなんだ、と思った。
「頑張っているママを僕はサポートしているんだよ。育ててあげているんだよ。そして、僕が呼べばいつでも来るんだ」と相手に見せたかっただけなのだ。

それが分かったので、断り始めた。すると「僕の言うことを聞いていればいいのに。離れたら、失敗するよ」と言われた。
「何一つ私の事業の話したことないのに、なんでだよ。」と思いながら距離を取った。

よく言われたこと⑤
「笑っていればいいから。」

融資の話をしに銀行に行ったら、支店長に「家のローンをうちにしませんか?ご近所の奥様方にも宣伝してよ」と言われた。
私は自分の事業を話にいったので、意味を理解できなかった。
フリーズしている私に、ご紹介してくださった横にいた方がそっと「笑っていればいいから」と言った。
さらに理解ができなかった。

様々な場で「笑っていること」が求められた。
そっちの方が得するんだと思ったが、笑えない場面も多々あった。

ママになった瞬間、ビジネスの世界は景色を変えた。
新人の時はこんなことなかったのに。
今まで培った実績もスキルも「ママ」という属性の前に価値を持たず、ただ「笑っていることくらいはできるでしょ」と言われているようだった。


10代の女の子が新しい価値を出したくなる社会にするために言おう。「媚びて売るほど、あなたの時間も安くない」

私は男性になったことがないので、女性(ママ)だからこんな体験をしたと言えない。男性だって、色んな壁にぶち当たっているはず。それに、会社に勤めているのか、創業するのかで、環境は変わってくるし、時代の変化もあると思う。だから、あくまでも上記は私に起きた出来事であり、一般化するつもりはない。もう過ぎたことなので、今さら思い出したくもなかった。

では、なぜ今、発信したのか。

10月に経産省の自治体職員向け女性創業支援研修でお話をさせてもらって、地域における女性創業に関わる方々にお話をする機会をもらった。また、6年目の素晴らしいメンバーたちが流山市女性創業ゼミナールを卒業し、総勢150名に達した。

私はありがたいことに多くの人に自分のメッセージを発信できる立場にいるのだと、今さらながら気が付いた。

私が5年間言えずにいた「媚びて売るほど私の時間は安くない」という言葉は、5年前に言っても間違いではなかったと確信している。
なぜなら、私に原因はないからだ。

10代の女の子たちが、いや、チャレンジする全ての子ども達が自分で新しい価値を生み出したいと思う社会にするために、私達は今伝えるべきだ。

笑いたくないのに笑わなければならない時間も、誰かのアクセサリーになる時間も、愚痴に付き合う時間も、あなたたちには必要ない時間だ、と。

下に見られる理由はあなた方にはない、と。

「媚びて売るほど、私の時間は安くないし、媚びて売るほど、あなたの時間も安くない」と。

チャレンジした女性たちがこれを堂々と子どもたちに伝えていくことがすごく大事だし、地域で創業を支える職員の方々もチャレンジする方にこう伝えてほしい。
みんなが言えば、社会はもっと早く良くなる。言葉で社会は変革できる。
私も、超かっこつけて、この言葉をすべての子ども達に言い続けようと思う。私が影響力を持ちたいのはこのためだから。

嫌なことを言われている時は言い返せなくて。
言い返せるようになったら、嫌なことを言われなくなる。
だから、言わなくなる。
でも、それだと結局大切な言葉は言えないまま。
言えるようになった人が、言わなくても良くなった人が、あえて言葉にすることが大切なんだと思う。

<補足>流山市の6期目の女性向け創業事業の最終発表会の様子が記事になりました。


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Backcasting Lab.編集長の尾崎えり子です。(株)新閃力の代表をしています。日常のちょっとしたことを「Backcasting(未来から考える)」ることで面白いアイディアをたくさん生み出したいと思います。

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