誕生日答弁

国会中継です。今日はSNSによる誕生日おめでとう合戦による質疑が行われております。

野党からの質問です。

ー野党議員ー
まず本日1月20日、総理の誕生日ということでたくさんのお祝いのメッセージが届いたという報告を受けております。それについてどうお考えか、まず総理の見解をお聞かせください。

「内閣総理大臣」

ー総理ー
本日、時計の針が午前零時を指した事を皮切りに、LINE、メール、TwitterならびにFacebookなどのSNSでそれこそたくさんの方々から、お祝いのメッセージをいただきました。
普段から懇意にしている方、それこそ先ほどまで会っていた方、のみならずもう十数年間も会っていない友人知人そして、まだSNS上でのつながりで実際にお会いしたことのない方にいたるまで、数え切れない方々から「おめでとう」「よい1年となりますよう」とのお言葉をいただきました。
私(わたくし)はそのひとりひとりの思いのこもった言葉をしっかりと受け止めて、まさにアラフォー世代を清々しい気持ちでスタートさせていただくことができました。
35歳、みなさまのあたたかい気持ちに応えるべくしっかりとこれからの人生を歩んでいこう、そう決意した次第で、あります。

「質疑応答に入ります」

ー野党議員
ご答弁ありがとうございます。ぜひそのようにあってほしいものであります。それについて総理に質問です。このたくさんのお祝いのメッセージ、総理はどのようにお応えしていくつもりでしょうか?

ー総理
これはですね、まさにおひとりおひとりがご自分の時間を割いてまで私(わたくし)のためにメッセージをくださったわけでございますから、最後のおひとりにいたるまで、きちんと着実にコメントをお返ししていく。こういう所存でございます。

ー野党議員
はい。まぁ、ご立派なことだとは思いますが、でもですね、総理、さきほど「自分の時間を割いてまで」とおっしゃいました。これが、私は問題だと思うわけですよ。個人的なメッセージならいいですよ。でもね、今は情報社会です、ネット社会です。SNSでは毎日のようにつながりのある誰かの誕生日であるわけです。
わざわざね、儀礼的に「誕生日おめでとうございます」というメッセージを送る。毎日。一回ごとはたいした時間じゃないですよ。でもね、これが毎回の積み重ねとなると、どれだけの時間を割いてると思いますか?
仮に1日1人にお祝いのメッセージを送るとしましょう。まぁ20秒ほどでしょう。これが365日で換算すると7300秒。約120分。年間で2時間という時間が消えてしまってるんです。これはね、さすがに不毛ではないかと、私は思うんですがねえ。
さらには、それに対して今回総理のように誕生日だった場合、メッセージを受けた側にとっても、わざわざお礼の返事をしなければならない。これはね、する側される側でもお互いに無駄な時間を費やしてしまってるわけですよ。
その消えた時間、他の事に使っていれば、もっと有意義に過ごせたのではないかと思いますが、総理の見解をお聞かせください。

ー総理
これはですね、まさに価値観の問題であるわけでして、私(わたくし)は不毛だとも無駄だとも思っていないわけでありまして、【儀礼的】と先ほどおっしゃいましたが、それでもよいのではないでしょうか?
SNSでつながりがあるといってもなかなか会ってお話をする機会もない。といって普段からなにか連絡を取り合うという事もない。そんな知り合いとでも「誕生日おめでとうございます」というひとつのメッセージで、お互いがお互いを認識し、「おめでとう」「ありがと
う」というささやかなコミュニケーションをとることができる。それだけでも私(わたくし)は有意義な時間であると思うわけであります。
また、「された側にも返事しないといけない」
という事についての質問がありました。これもですね、先ほど申しました通り、これも価値観の問題であるわけであり、私(わたくし)はただ「返事をしたい」という私(わたくし)の価値観でやらせていただくわけであり、これはけして義務や強制ではないということを、お伝えしておきたいと、このように思います。

ー野党議員
そうはいってもね総理、挨拶されたら挨拶を返すのが常識だと言われるように、SNSでもコメントされたらコメント返さないと、送った側からしたらよい気分にはならないと思うんですがねぇ。

ー総理
気分のよしあしについては、それはお門違いではと思います。あくまでも「おめでとう」という祝福の気持ちを伝えたくてメッセージを送ったわけであり、けして返事が欲しいから「おめでとう」と言ったわけではないのではと、私(わたくし)はこのように、思います。
また、コメントとしての返信が苦手であれば、「いいね!」でもよいわけですし、または自分の投稿として「みなさまたくさんのお祝いメッセージありがとうございました!」という方法でもよいではありませんか。それは受け取った側の価値観で対応すればよいのでは、ないでしょうか?
重ねて申しますが、「おめでとう」はお返しを押し付けることではない、ということです。

ー野党議員
あの、こちらが聞いてもないようなことまでペラペラと言われてますが、では総理がおっしゃいました「おめでとう」という気持ちを伝えたいからという点についてです。こちらをごらんください。

(フリップを出す)

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誕生日ぽんぽこぴー\( ̄▽ ̄)/

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ええ、これは総理のある知人の誕生日に、お祝いのメッセージとして総理自身が送られた言葉です。誕生日ぽんぽこぴー・・・

「ぽんぽこぴー」

なんですかこれは!?
おめでとうのひとこともないではないですか!人様の誕生日に、おめでとうとも言わずにぽんぽこぴー・・・もうこれはね、ふざけているとしかいいようがありませんよ。なんなんですかぽんぽこぴーとは!!?

ー総理
ええ、ぽんぽこぴー、その言葉自体の指し示す意味としてはですね、特に深い重要な意味はございません。確かに他の方から見ればふざけているとしか見えませんよぽんぽこぴーは・・。ですが、ですがですね、そのいわゆるぽんぽこぴーを送られた私の友人と、私との信頼関係または親近感の度合いを鑑みますと、「ぽんぽこぴー」が一番ふさわしいお祝いの言葉であると判断し、そう送った次第であります。

ー野党議員
ぽんぽこぴーじゃなきゃ駄目ですか?

ー総理
もちろん、ぽんぽこぴー以外にも候補はありました。しかし、この場でいくらそれを議論しようとも、私とその友人との距離感は他の方々には計り知ることのおよそできないものでございますから、それについての答弁は控えさせていただきたいと思います。

ー野党議員
出ましたお得意の【価値観ですから】で逃げようということですね。では総理は、この毎日のように訪れるSNSでの誕生日おめでとう合戦は、無駄ではないと考えている、という認識でよろしいでしょうか?

ー総理
はい、そういう認識でよろしいかと思います。

ー野党議員
これ以上は長くなるから申しませんが、私はねやはりもっと他にすることがないのかなぁとも思ったりもするわけなんですよねえ。それについてどうお考えかということを、私の最後の質問とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

ー総理
なんども申しますが、私(わたくし)はけして無駄ではないと思っております。また、それが無駄な時間ということであったとしても、それこそが人生の醍醐味ではないでしょうか?幸せとは、そういう無駄と思えることを有意義に過ごせることでもあると、私(わたくし)はそう思う次第でございます。

なにより、本当に不毛で無駄なことは、この誕生日メッセージの件に関わらずですが、【一生懸命やっている人を否定しこけおろす】これこそ、不毛で無駄なことかと私(わたくし)は思います。

国会中継を終わります。

おしまいまで読んでいただいてありがとうございます( ̄▽ ̄)