身の程弁えないかくれんぼ

お迎え行くと、

「ぱぱー！ぱぱー！」

とかけてきてくれるおはなちゃん

おうちでは「おとうさん」なのに外ではなぜかパパ呼ばわりする、何を意図して使い分けているのかは現在調査中

それはさておき、園児たちが待つ広間とお迎えに来た父兄が待つ玄関とは現在ビニルカーテンで仕切られている（理由は言わずもがな）

「ぱぱー」

と言いながらビニルカーテンを開けてあたしのところへ来たおはなちゃん

ふと見ると、ビニルカーテンの向こう側におはなちゃんと同じくらいの男の子

「あ、ゆうしんくーん！ゆうしんくんばいばーい！」

ちなみに「ゆうしんくん」という名前の子はこの保育園には存在しない

おはなちゃんは何かしらの名前を間違えて発音しているらしい

が、ここではおはな語にあわせてゆうしんくんで統一するものとする

ゆうしんくんもおはなちゃんに気づいたようで、同じくビニルカーテン越しににこにこしてバイバイする

するとおはなちゃん、何を思ったかビニルカーテンと靴箱の隙間に入り込んでかくれんぼを始めた

バイバイと言った舌の根も乾かぬうちにである

そして

「もーいーかい？」

と言い出した

隠れている身の分際でである

するとゆうしんくんも、ビニルカーテンと本棚の隙間に隠れて

「もーいーかい？」

と言い出した

こちらも隠れている身の分際でである

身の程知らずとはまさにこの事ではなかろうか

お互いに

「もーいーかい？」

「もーいーかい？」

「もーいーかい？」

「もーいーかい？」

の応酬がエンドレスで繰り広げられる

けらけら笑い合っているので、2人の中ではこれはこれで遊びが成立しているらしい

が、着地点の見えないかくれんぼ

しびれを切らしたあたしと先生は同時にこういった

「もういいよ」