緊急手術
車椅子に乗り、手術室に向かう途中、なんと旦那と父にあった。
駅前で旦那を見かけたので一緒に戻ってきたという。
「いってきます...」
と、声をかけて手術室に向かった。
病院の裏側を見ながら手術室に進んだ。
何が起こるかさっぱりわからない。
不安で仕方がなかった。
手術室に入り、背中を丸め、下半身に麻酔を入れてもらい、手足をベルトで固定され、ドラマでよく見る大きなライトが光った。
何が一番怖いかと聞かれたら、手術をしているところが聞こえるというところであろうか。
頼むから寝かせてくれと何度も思った。
カチャカチャという器具の音と、先生たちの会話が所々聞こえてくる。
これが一番怖いのである。
だが、手を握ってくれた看護師さんはとても優しかった。
実況のような感じで今このステップ。次はこれ。
と、いうように何が起こっているか教えてくれつつ、優しく話しかけてくれてた。
経営している飲食店の話や、旦那の話など。
ポツリポツリと私も話しつつ、手術はおよそ1時間ほどで終わった。
手術後は頭がポワポワとしていた。
麻酔の影響だろうか?
手術台で少し休み、異常がないことを確認してから、父と旦那が待っている病室へ向かった。
部屋に戻る途中の待合室で旦那と父が話しているのを見つけた。
「無事に終わったよ。」
と、いった瞬間、旦那も父も安心したような顔をしたことを覚えている。
少ししたら、S先生が手術の報告と術後の対応について説明してきてくれた。
手術自体は成功、30mmまでは距離が稼げたというが、それでもまだ短いので、
絶対安静、入院中は24時間お腹の張り止め、炎症を起こさないように抗生物質の点滴とさらにもう一本の点滴と、血栓防止のお薬やお通じが柔らかくなるような飲み薬の処方などが出された。
そして、入院中は面会ができないことが告げられた。
もちろんコロナ禍であり、それは理解しているが、それが一番怖かった。
だが、荷物の受け渡しはいつでも誰でも大丈夫だと言われた。
(こちらの病院では入院日、退院日は同居している家族1人だけ部屋に入れるというルールであったが、今回は緊急の事情であったので、許可をいただいた。)
説明は一通り終わった後、父は明日もまた荷物を持ってくるといい、先生と共に病室を出ていった。
旦那さんはもう少しいていいですよと言われたので、お言葉に甘えていてもらった。
いつもより冷たい旦那の手をいまだに覚えている。
手術室がドラマみたいだったこと。
痛みはないこと。
お腹の赤ちゃんは無事だということをポツポツと話した。
そして、緊急入院でいつ退院できるかわからない。
明日に控えた顔合わせのコースの人数を1人減らさなくてはということを旦那に伝えた。
「そんなこと気にせずに今は安静にしてて。他にほしいものがあったら追加で買ってくるよ。」
そこから先の会話はあまり覚えていないが、今でも覚えていることがある。
足と腰の痛み、下半身への違和感、そして自分に繋がれた点滴の数の多さ...