daily 秘密と関係性

 秘密は悪になり得る。映画や本に育てられた私は物語の世界に憧れている側面があって、恋人でも友人でも誰かと絶対的な関係を結びたいという思いが昔から強い。そんな私にとって、秘密は関係を壊しかねない悪のように映っていた。 

  私は人に弱みを見せないタイプで、悩みを相談される事はあれど、相談する事なんてほとんどない。そんな生活の中では、弱み、汚い感情、辛い過去等、ネガティブなものは全て意図せずして私の秘密となってしまった。

 誰かと親密な関係を築く過程で、もはや私の秘密であるそれらを伝えない選択肢はなかった。それも含めて私なのだから、むしろ伝えなければならないとさえ思った。しかし秘密を相手に教えた所でその関係は上手くいかなかった。理由は簡単。私の秘密はネガティブなものばかりだから、秘密について話せば話すほど、会話の内容も私の心も日に日にブルーになっていく。そんな関係は持続し難い上に、私の求めていたものには程遠かった。


 その経験は私の考え方を刷新した。必要であれば、どんな秘密だって教えられる関係、信頼さえ育めば、秘密は悪にならない。大切な人に秘密があってもいいんだ。相手の事を大切に思っているなら、秘密を悪にしないで済む。 

  秘密とは、心の中に埋めたタイムカプセルみたいだと思う。時が来るまで開けないで、ドキドキを残しておく。もしかしたら開けられる事はないかもしれない。それでもいい。



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