徒然日記~梶よう子『東都の藍』を追いかけて

最近のマイブーム、と言って良いのかどうかはわからないが、エンタメ系文芸誌のバックナンバーを図書館で探しては捲っている。

きっかけは、絵師(画家)を主人公にした小説が読みたいと思ったから。
そういえば、梶よう子さんが『東都の藍』で広重を書いていた、ということをふと思い出して調べてみれば、すでに連載自体は終わっている。
が、単行本になるのはいつか・・・が、まだわからない。
その時点で、待てない、と感じた。
今すぐ読みたい。
ならば、バックナンバーを見るしかない。
それも、連載開始号から。
幸いにして該当する号は、家の近くの図書館で取り寄せられた。
到着を確認すると、早速出向いて引き取った。
ほくほくした思いが押さえられない。
広重は、先日私も書いた。

が、小説ではどう書かれているか。

「絵を描くのが好き」「もっと上手になりたい」という気持ちを抱えながらも、武家の長男として、敷かれたレールを取り敢えず歩かざるを得なかった広重。
家族など私生活の部分がドラマとして書き込まれ、人物に膨らみを与えているのは、小説ならではと言おうか。
この小説『東都の藍』の広重を眺めていての感想は・・・奥さんが大変そうだな、と(笑)
絵師としてなかなか芽が出ず、良さそうな仕事にありつければ、捕らぬ狸の皮算用で受かれる旦那。
そもそも本業の火消同心も給料は僅かだし、ゆくゆくは義理の祖父が後妻に生ませた子に家督を譲って出ていかなければならない。
北斎爺さん(彼もこの作品に登場する)も、なかなかエキセントリックな人だが、この広重も大概だなあ、と苦笑いするしかない。
上の記事を書いた時は、それなりに現実を受け入れていく、地に足のついたイメージだったのに。
そういえば、魅力的なキャラクターを作るには、長所と短所がそれぞれ見えるシーンをできるだけ早く入れること、と以前シナリオ講座でも言われた。
小説とコラムでは書き方も目的も違うとはいえ・・・人の書き方、踏み込み方が、まだまだ私には足りないのかもしれない。

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