映画館

映画『華麗なる激情』(DVD)感想覚え書き

 年末年始をきっかけに、前から見ようと思っていたDVDの一つ『華麗なる激情』を見終わったので、簡単な覚え書き。

 チャールトン・ヘストンがミケランジェロ、レックス・ハリソンが教皇ユリウス2世を演じる。

 映画のストーリーは、ルネサンス3大巨匠の一人、ミケランジェロが教皇ユリウス2世の命で、「いやいやながら」、あの名高きシスティーナ礼拝堂の天井画を手掛ける話。

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ダニエラ・デ・ヴォルテッラ、<ミケランジェロの肖像>、1544年頃、メトロポリタン美術館


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  ラファエロ、<ユリウス2世>、1511年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー

 ミケランジェロが主人公ということで、見ないではすまされまいとは思っていたが…評価としては微妙なところ。

 まず、ミケランジェロの生涯について延々と見せられる、教材ビデオのような冒頭の10分間は正直いらない。あれで、出鼻をくじかれた感もある。

 私なら、石と格闘しているシーンをクローズアップで始める。

 道具を揮う手、目の表情、そして石の中から徐々に表れてくる「像」…。

 そこから石切り場へと場面を換える。

 その後も、何となく全体がもったりとして、盛り上がりらしい盛り上がりに欠ける。2時間という全体が妙に薄く引き伸ばされているかのよう。

 せっかく、「神のごとき天才」ミケランジェロと、個性派ぞろいのルネサンス教皇の中でも、強烈な個性を持つユリウス2世(肖像画を見ても、雷親父、という言葉が似合いそうだ)、と題材は良いのに。

 でも、天井画の要となる<アダムの創造>を前に、教皇とミケランジェロが静かに語り合うシーンは好き。

 何だかんだで、お互い信頼したり理解しあっている部分もできてきているんだな、と。

 むしろ、今ミケランジェロの映画かドラマかを作るなら、どのように作るだろう?

 キャスティング、演出、脚本…。

 同じ時代に生まれ落ち、烈しい個性を持ってそれぞれの立場を生きた二人の情熱を肌で感じられるものになれば良い。

 歴史に名を残す「作品」が生まれてくる、そのプロセスを十二分に見せてほしい。

 もしも、私がこの二人を書くなら、どうする?

 そんな問いかけを投げかけられる作品だったとも言えるだろうか。

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