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Under the moon playlist

先日の満月の夜のお散歩で、心が踊った曲たちを、プレイリストにしてみました🌝

素敵な曲を聞くと、それを作った人や奏でる人のことを知りたくなる。そして知ることで、より深くその曲を味わえるので、一曲ずつレビューも書いてみました。せっかくだし、MVもじっくりみたりして。

「この曲いいよね」とか「こんな曲あったんだ」というきっかけになったらとても嬉しいです!

1.Full Moon, Plant a Tree (feat. Lee "Scratch" Perry, Addis Pablo, Marcus Urani & Don Camel)/Sly & Robbie

ジャマイカはキングストン生まれのリディム・ツインSly & Robbie。70年代から現在に至るまで常にレゲエシーンを牽引する最高のリズムセクションですね。この曲は昨年にリリースされた『The Final Battle: Sly & Robbie vs. Roots Radics』に収録されたもので、ダブの神さまLee "Scratch" Perryをフィーチャーしています。
Augustus Pabloの息子、Addis Pabloが奏でるmelodica(鍵盤ハーモニカ)のノスタルジックなメロディーから始まるこの曲は、ヴォーカルが咳き込むところから始まる感じがいい。Sly & Robbieの紡ぐリズムは間違いないし、Lee "Scratch" Perryのアレンジが、満月の夜の幻想的な感覚をより高めてくれるし、それでいて、熱帯夜のような心地よい気だるさが漂っていて。
個人的には1:17あたりのピアノアレンジがもう、たまらなく好きです。鍵盤楽器って本当に官能的で刺激的。
今の時期よりも、夏の蒸し暑い夜に聴くのがいいかも。ジャマイカ、いつか行ってみたいなぁ。。

2.Nothing Burns Like The Cold (prod. by Christian Rich) ft. Vince Staples –/Snoh Aalegra

イランにルーツを持つスウェーデン人のシンガーSnoh AalegragがレーベルメイトのVince Staples(NO ID率いるARTium Recordings所属)をフィーチャーした一曲。Snoh Aalegragの歌声、すごく美しくて好きなのですが、顔も美人。女神みたい(でも同い年だった)。サンプリングの元ネタは70年代ソウルミュージックの革命児、Isaac Hayesのクラシック「Ike's Rap 2」。シネマティックな雰囲気とSnoh Aalegragの声、そして気だるい感じのVince StaplesのRapが、90年代のR&B好きだった私にはたまらないです。聴きながら歩いていると、周りの景色がまるで映画の1シーンのように見えてくる曲。ちなみにタイトルの「Nothing Burns Like The Cold」は「寒さほど燃えるものはなし」って意味らしい。歌詞を見る限り、恋愛ソングですね。深い。

3.Lilies Of The Valley/Jun Miyake

日本のジャズ・トランペット奏者、三宅純さんの楽曲です。これは、昔音楽関係ではない取材の際に、たまたまこの映像が資料に使われていて知ったんです。ブラジルのサンパウロで行われた坂本龍一さんと三宅純さんと、ブラジルを代表する音楽家・モレレンバウム夫妻による豪華な面々のコンサートの映像です。この映像を機に知った曲ですが、ヴェンダース監督の『Pina(ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち)』で使われていることでも有名だそう。そう言われてみると、確かに踊り子に合う…。妖艶な雰囲気と腰にくるウッドベースの低音がたまらない一曲です。なんだか小さな頃に憧れた「大人の世界」を覗き見した感じになれます。

4.Idle Hands/Harlem River Drive 

NYのサウス・ブロンクス出身のEddie Palmier率いるバンドHarlem River Driveの一曲。ラテンファンク、かっこいい!ベースのうねりとホーンの音にうっとりしちゃいます。70年代、私が生まれる前の時代のハーレムにはこんなかっこいい音が響いていたなんて…。ドラムはBernard Purdie、ギターはCornell Dupree。正真正銘の黒いグルーヴですね。音楽から溢れ出る生命力というか、やっぱりBlackMusicの持つパワーって凄いなって思える一曲です。

5.We Walk with Lions/SMOKIN'theJAZZ

日本のジャズ・ヒップホップ・ユニットSMOKIN'theJAZZが2019年にリリースしたアルバム『SOME JAZZY STEEZ』に収録された一曲です。SMOKIN'theJAZZ、これまで知らなかったアーティストなんですけど、かっこいいですね。ブラジリアン・ジャズ・バンドImmigrant's Bossa BandのパーカッショニストNOBUdaDREAD(SMOKIN'theJAZZではターンテーブル/プログラミング他を担当)を中心に結成されたトリオだそう。ループとジャズの融合が耳心地良くて、まさにお散歩にぴったりです。ピアノサウンドをバックに、ポエトリーとサックスの音色が自由に踊ってる感じ。聴いてて楽しい一曲です。

6.Nebaluyo (feat. Oumou Sangaré) /Jacob Collier

25歳にして2回もグラミー賞に輝いている若き天才Jacob Collierが2019年にリリースした『Djesse Vol. 2』の収録曲。同じくグラミー賞を受賞したマリを代表するアーティストOumou Sangaréをフィーチャーした曲です。もうね、イントロからアフリカに飛ばされちゃう。Oumou Sangaréの声に内包されたアフリカの風とか風景とか、頭の中に一気に広がります。Jacob Collierといえば、自宅のBed roomから配信した多重録音のアカペラと楽器演奏によるYoutube動画から人気の火がついたという、ザ・ミレニアル世代のアーティストですが、その手法の特異性じゃなく、その音感と技術力。作曲もアレンジもプロデュースも、もちろんパフォーマンス(楽器演奏&歌)もするし、本当にマルチプレイヤー。彼の凄さは、Red Bullのこの記事がわかりやすいかも。ロンドンの音楽一家に生まれたそうで、子供の時から楽器があるのが当たり前な環境だったんだとか。もうね、楽器が身体の一部。演奏と脳が繋がってるんですね。
この曲ももちろん、Oumou Sangaréのヴォーカル以外は彼が担当。後半の予測不可能なアレンジは昇天しそうになる。ルールのない音楽の自由性をたっぷり堪能できます。今、ライブが一番見てみたいアーティスト。TEDでのパフォーマンス動画も視覚的に面白いのでぜひ!

7.Midnight In Peckham/Chaos In The CBD

夜の公園を散歩してると、だんだん踊りたくなっちゃうんですよね。だから次はダンスミュージックで。ニュージーランドの兄弟ハウスユニットChaos In The CBDの人気曲です。ジャズ要素のあるハウスミュージック、とても好きなのですがこの曲はまさにそれ。タイトル通り「Midnight」感があるのですが、怖い暗闇ではなくて、何か神聖で美しい生き物が潜んでいそうな森にいるみたいな感覚になる。すごく綺麗な曲なので、空気の綺麗な森とかで聴きたいですね。

8.Detroit PartⅡ/Shigeto

デトロイト在住、日系アメリカ人のShigetoの一曲です。これも散歩しながらこっそり踊るのにオススメ。夏の蒸し暑い夜のあの空気感とかにピッタリはまります。パーカッションの軽快なリズムと太いベースラインと低音ボーカルとテナーサックスが、なんか都会の夜の風景とピッタリはまります。これがデトロイト感・・(なのか?)。ドライブにもいいかも!

9.Truly/Floating Points

イギリスのエレクトロニックミュージシャン、Sam ShepherdことFloating Pointsの2009年リリース『Vacuum EP』に収録された一曲です。マジカルでトリッピーで、ファンクネスで、寝る前に聴いたら楽しい夢が見れそう。特に後半の盛り上がりは、地から足が浮いてしまいそうなほど気持ちがいいです。
Floating Pointsの曲って「この人本当に音遊びが好きなんだなぁ」って感じるから好きです。去年VENTで公演をした際にReport書いたので、楽屋で彼と少しだけ話したんですけど、その時も「昨日は大阪でレコード屋に行ったよ!」ってニッコニコな笑顔で楽しそうに話してくれました。さらに「泊まっているホテルは朝、ケーキを持ってきてくれるんだ!」って嬉しそうに話してて可愛すぎて好きになりそうでした。こちらのRAのインタビューを読むとわかるのですが、Floating Pointsは純粋かつストイックに音楽に向き合っているからこそ、繊細で美しい音楽でいつも楽しませてくれるんだなって思います。

10. Tarraxo Everyday/Dj Marfox

今私が最も行きたいポルトガルのレーベル「Príncipe」のボス・DJ Marfoxの曲です。「Príncip」はポルトガル・リスボンの都市から隔離された移民のゲットー・コミュニティ。6年前の記事ですが、彼らのことはRAのこの記事に詳しく書いてあります。
タイトルの「Tarraxo」はアンゴラのダンスミュージックのジャンル名だそうですが、ちょっとレゲトンに近いのかな?でもレゲトン特有のチャラさはないです。間違いなく西洋の音楽ではなく、アフリカ由来のリズムが感じられるのですが、土っぽさはなく洗練されているというか「新しいサウンド」だなって思います。
JazzやFunk、HIPHOPとは違う文脈で紡がれている黒いグルーヴ。音楽の可能性って無限大だから面白いですね。
今、ポルトガルはベルリンから移住する人も多いくらい人気だそうですが、Príncipクルーの紡いでいる新しい音楽を生で体感したいし、ぜひとも行ってみたい国!

11.You Wish/Night mares On Wax

名門Warp Recordsの最古参、ダウンテンポ・マスターNight mares On Wax先生のおなじみの一曲。好きなんですダウンテンポ。Trip Hopとかたまらなくタイプです。スモーキーでダビーでどこかノスタルジックなんだけど、ハイファイで都会的。なんかね、昔の8mmFilmに記録されたどこかのお家にいる感じでもあるし、都会の夜を歩いている時のちょっとした哀愁?孤独感とかもあるし、色気もある。そのバランスが絶妙でいつ聴いてもかっこいいんですよね。PV初めてみたけどなかなかトリッピーだな(笑)。

12.月、欠け feat.ACO

日本が世界に誇るポストロックバンドtoeの2012年リリースの曲です。toe、好きです。すごく綺麗で繊細で、1/f揺らぎを感じるから。
ACOをフィーチャーしたこちらの曲は、ギターのオーガニックな音色とACOの透明感あるウィスパーヴォイスがすごーく気持ちいい。パーカッション、ドラムとリズムがだんだんと入り込んできて、全身マッサージされているみたい。toeの曲ってすごくエネルギッシュでもあるのだけど、優しくて暖かくて、人の温もりみたいなものを感じられます。このプレイリストの順番、一応散歩開始から帰宅するまでの流れをイメージしているんですけど、これは帰り道用。歩き疲れた身体に沁みます。生のライブ、まだ観たことがないので、いつか観に行きたいな。

13.A Hundred Moons/GoGo Penguin

UKジャズの先駆者、イギリスのピアノトリオGoGo Penguinの2018年リリースの『A Humdrum Star』収録の一曲です。シャンシャンと鳴る鈴?(なんていうのだろうこの楽器)と優しく叩かれるドラムの音で始まるこの曲は、夢と現実の狭間にいるような、不思議で幻想的な空間に誘ってくれます。少しトライバルな雰囲気もある中で、凛としたピアノが映えるんですよね。辺りの空気が浄化される感じ。GoGo Penguinは、冬によく聴くのですが、ジャズをベースにしながらもクラシック・アンビエント・エレクトロ要素もあり、なんだか空気が綺麗なところで聴きたくなる曲ばかり。エネルギッシュなジャズもいいけど、繊細で美しいこういうジャズもすごく好きです。

14.Tonight/Sam Wilkes

いよいよ最後です!ラストソングに選んだのは、最近お気に入りのLA出身のベーシストSam Gendelによる2018年リリースの『Wilkes』収録のTonightです。Sam Gendelは、前述のJacob Collierのサポートメンバーでもあります。なんかね、この曲は霧がかかった夜の中で、サックスの音色が自由に舞っているような、美しくて幻想的な風景を描いているようで。長い一日を振り返っていい気分で眠れそう。
この曲が収録された『Wilkes』は2018年のベストディスクとして、バイヤーやライターからピックアップされた名盤でもあり、全部の楽曲が素晴らしいです。晴れた日の朝にも、ハマると思うのでぜひ聴いてみてください!

以上、煌々と光る満月をみながらお散歩した夜に選んだ曲たちでした!

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