勉強感のない英語習得の道について引き続き考える (その必要性について)

先の記事で、誰もが英語を習得できるようになるために、「勉強感のない、誰でも取り組めて成果を出せる英語習得の方法」について、考えてみました。そしていくつか、英語学習基礎レベルの勉強感のないマテリアルを提案してみました。
(文法に関しては追ってまた書きたいと思います)


ここで話題にしたいのは、アメリカの大学に行く、英語で就職したい、というレベルに向けて英語を頑張っている人ではなく、むしろ「自分は英語とは無関係」と思ってしまっているかもしれない人や子どもたちの英語習得についてです。

正直に言うと、アカデミックに英語を身につける場合も、「習得するためには1日8時間机に向かう!空いた時間は単語帳!」と聞くような、一部の特級の努力を続けられた人のみができること、、という考えにも違和感があります。もちろん、外国語もスポーツも、ある程度以上のレベルに達するには相当のコミットメントが必要となることは間違いないと思いますし、その努力をしてきた方はすごいと思います。それでも、アカデミックな英語習得も、もっと誰でも達成できる方法や道筋を見つけたい、、そう思います。
でも、それに関しては今回は触れずに。。

ここでは、私の言うレベル3(日常のやりとりができて文章が読める)レベルの英語力を、特別な努力をしなくても、基本的にすべての日本人が達成する方法を考えています。


でもまず、これを考える中でひっかかっていることが数点あります。
以下の点です。

(1) 自動翻訳の性能が上がる中で、楽な方法を探してまですべての人がそれを習得するべき道筋を考えることの意味
(2)世界には色々な言語があるのに「英語」と限定することを問題とすることで、英語習得に背を向けてしまう人がいる
(3) 何かを習得するには、やはり一定期間コミットして繰り返し行うことが不可欠
(4) すべての人が英語に興味をもっているわけではない


これらの点についてクリアにしながら、誰でも英語を身につけられる方法を整える必要性について、考えてみたことを綴ってみたいと思います。

英語にやる気がある人はいま日本にたくさんいて、そういった人たちのためのサービスや、単語帳やワークブックは、たくさんたくさんあります。頑張って勉強する意志のある人には、ぜひアカデミックに通用するところまで、海外で学んだり就職したりする英語力をつけて欲しいと思います!

でも、私は「あまりやる気はない」人も最低限の英語を使えるようになる日本社会・日本の教育であって欲しいのです。

そうであれば、インバウンドとして外国から日本を訪れる人もより良い体験ができるようになるでしょうし、いままで日本語のみで暮らしていた人も、世界が広がることで今まで思っていなかった可能性が開かれることもたくさんあるはずです。

なにより、英語の習得が一部の経済的に恵まれた人だけ、あるいはすごい努力をした人だけが達成できることだと、例えば地方などで自分の所属する集団にそんな人がいない場合、自分にもできることだとは思わずに年を重ねてしまうと思うのです。
日本の中にもある教育機会の格差を覆すには、英語とICTの教育環境を、特別に求めた人だけでなく全ての人が同等に享受できるようになることが必須だと思います。

それから、これらはあくまで一つの見方ですが、2言語以上を話す人は脳のメモリーや働きがよいとう研究もたくさんあるようです。それに、多くの人が、外国語を話す時の自分は母語を話す時とは少し違う人格のように感じる、新しい自分を発見できる、とも言います。いろいろな角度から物事を捉えられるようになるため、モノリンガルの時よりも、多様性への受容力も高まるかもしれません。

もし、そんなに負担なく第一外国語として英語を習得できるとしたら、個人としても、日本全体のことを考えても、やりたくない、という人はだいぶ少なくなるのではないかな?と思います。

これが、

(4) すべての人が英語に興味をもっているわけではない

という引っかかりへの私なりの答えです。
(興味がないという人の中にも、できたらいいなあと思っている人も多いように感じます!)

しかしながら。

今までの日常で英語を使うことはないので必要性を感じなかった人は、例えば、今後自分の町に外国人が訪れるようになったとしても、日本語とジェスチャーで意思疎通をすれば十分、と言うかもしれません。(たしかにこの場合英語を話さないお客さんのこともあり得ますね)

あるいは、翻訳アプリを文字にかざしたり、通訳アプリで話すことを訳してもらえば意思疎通くらいはできるだろう、と考えるかもしれませんね。

(1)自動翻訳の性能が上がる中で、楽な方法を探してまですべての人がそれを習得するべき道筋を考えることの意味   

について考えてみます。

翻訳アプリの精度は日々凄まじいスピードで向上しています。
例えばで私が書いたこのくらいの文章も、瞬時に英語やその他の言語に翻訳してもらうことができます。DeepLではこんな感じ。

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それでも。

それで十分だったら、実際に外国語を学ぼうとする人はもっと減っているはずですよね。
翻訳の精度があがることはたしかに役立ちます。資料や本などを翻訳する時にはかなり有効です。けれど、目の前にいる人と心を通わせるコミュニケーションをするツールとしては、、心もとないです。

自分が言おうとしていることが確実に正確に翻訳・通訳されているかどうかを知る由はありません。ちょっとした文脈やTranslateの誤差で、相手が機嫌を悪くしたとしても、あなたはその理由に気がつくことができません。
それに例えば、日本では、「あなたは何人ですか?」というような質問もOKな文化ですが、これは海外にでると失礼な質問にもなり得ます・・・。
日本語以外のコミュニケーションについて学んだことがないのに、面と向かって海外の人と、通訳・翻訳アプリだけを頼りに楽しく交流することが可能だとは、なかなか思えません。

同時通訳の方などは、事前に相手のことや業界のこと、禁忌となりそうな言葉なども調べ上げた上で通訳に入ってくれているので、意識的・無意識的に、たくさん文化間の問題の調整をしながら翻訳しているのだと思っています。AI通訳も優秀でしょうけれど、間違いが起きて欲しくないレベルの交渉ごとでは特に、やはり双方を理解してくれる「人」がまったくいないのは不確かさが増す気がします。(でもある意味忖度なく率直ななやりとりができるのか?)

コミュニケーションにおいては、翻訳機も通訳も介さない、自分の頭で考えて自分の口から出てくる"Hello"や「こんにちは」だからこそ、相手の感情へ届く部分も、ある気がします。

それに、自分自身で英語が理解できることの大切さは、実はコミュニケーションに限った話でもないと思うのです。

後に述べますが、インターネットで日本語で検索して得られる内容はウェブサイトのうち3%以下です。英語だとその4倍の25%の情報が得られます。
何か知りたいことがあった時、翻訳アプリを通じで検索するのは面倒でも、自分でさっと検索ができて眺めて情報が得られるなら、きっとやりますよね。そもそも、英語のサイトをアプリで全翻訳できたとしても、そのサイトへ行き着くためにググる英語力が必要です。難しいことではないのですが、完全に翻訳頼りだと、おそらく欲しい情報にはなかなかいきつけませんよね。

ここからは、

(2) 世界には色々な言語があるのに「英語」と限定することを問題とすることで、英語習得に背を向けてしまう人がいる   

に対して言えることです。

世界にはいろいろなな文化や言語があって、それらの全てを学ぶことは到底できません。でも、そんな多様な人が共通で操る言語が英語になっているのが今の世界の現状です。

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世界で母語として話されているのが多い言語は、ダントツで中国語です。
でも、第二言語として話している人の数を加えると、上のチャートのように、英語が世界で一番多くなります。

公用語に英語を採用している国の数も、世界でどの言語より多く、50ヶ国を超えています。

国連の公用語は英語とフランス語です。

そして、先にも出しましたが、インターネットの利用者は英語話者が最も多く、英語で書かれているサイトが全体の25%超だそうです。

世界のインターネットユーザーの言語別グラフ⬇︎

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円グラフにされている方がいました(データもとは上と同じ Internet World Stas)。

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このネット言語に関してはいろいろなグラフや数字が出てくるのですが、ユーザーベースでなく書かれている言語で言うと、 www. ページの75%ほどの言語は英語だという調査結果もありました。

ところで、世界にあるたくさんの言語、ツリーにするとこのようになるようです。

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やはり、世界のみんなが学びやすくて簡単な言語は英語だし、多くの人が英語を共通語として話しています、と言われれば、そこに寄り添うほかないのではないでしょうか。
(ちなみに、上のツリーで、日本語は日本語のみのルーツって、なんだかちょっと不思議で面白いです)

それに、英語は、他の言語を学ぶとわかりますが、実は比較すると、結構簡単な言語と言えそうです
単語に男性女性の区別がないし(多くのヨーロッパ言語では冠詞もそれぞれによって変わります)、動詞の活用(語尾が変わる)もほとんどありません(三人称単数だけ残っていますが)。
私はスペイン語を一通り学んで理解しましたが、発音はたしかに簡単ですが、時制ごとに、主語に対して全て活用する動詞を覚えるのは大変でした(そして使わなくなって活用はほぼ全て忘れました💦)
娘はロシア語のさわりを学んでいますが、ロシア語はさらに激しく活用するので😅 より覚えるのが難しいと感じます(そもそもキリル語から読めるようにならないといけませんし)

ご参考までに:
英語
I speak English.
You speak English.
He speaks English.
We speak English.
They Speak English.
I spoke English.
You spoke English.
He spoke English.
We spoke English.
They spoke English.

スペイン語
Yo hablo inglés.
Tu hablas inglés.
Él habla inglés.
Nosotros hablamos inglés.
Ellos hablan inglés.
Yo hablé inglés
Tu hablaste inglés.
Él habló inglés.
We hablamos inglés.
Ellos hablaron inglés.
(ちなみに I was... の継続の場合はまた全て違う活用ですし、さらに完了形もまたそれぞれ新しく活用します・・・・)

ちなみに名詞と冠詞には女性男性があるので、形容詞もそれに応じて変化します。でも慣れるとその辺は当たり前に感じてくるのですが。a は un/una、the は el/la と名詞によって使い分けます。

余談ですが、ヘミングウェイの「老人と海」では、「海は el mar だけれども、私は la mar だと思う。海は女性のようだ」というくだりがありますよね。机は la mesa なのに車は el coche.... どういう風に決まっているのでしょうね。

ですから、なぜ英語?と言わずに、英語を学ぶべき要素は揃っていると認めて取り組んでみてもよいのではないでしょうか😉


さて、まだ答えられなていない引っかかりは、

(3) 何かを習得するには、やはり一定期間コミットして繰り返し行うことが不可欠

ということです。
これは真理ですよね。でも、前の記事であげたような、勉強感のないマテリアルを毎日少しずつやっていったら(そして少しずつレベルをあげていったら)、英語は十分身につきます。

つまり、毎日、誰でも確実に、触れてもらう方法が必要です。
やはり、そこは公教育なのだと思います。

未就学、あるいは小学校1年生から、簡単なマテリアルを繰り返し楽しみながら、毎日少しずつ進める。それだけで良いのです。

全ての小中学校に、成績をつける教科でない形で、英語の時間を組み込むことが必要だと考えます。

マテリアルは、基本のものから、先生によって指導の差が生じないに、同じものをオンラインで提供した上で、セミナーなどで一定の認定をもらった人にサポートに入ってもらう必要があります。
デバイスに向き合ってのアプリ学習のみで終わらずに、教室内で英語を話す環境を持つことも必須にしたいところです。

このような一見無機質なマテリアルは、ただ見て学ぶのではなく、良いインストラクターのサポートが入ると学びがとても充実するのです。

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いろいろと書いて長い記事になってしまいました💦
(誰か読んでくれるのかしら・・・😅)

なぜ私が「勉強感のない英語習得の方法」を考えているのか。
それは英語に積極的でない人も含めて、
すべての日本人に英語を習得して欲しいから
その理由と、それを目指すためにある引っかかり


について、整理してみました。

つらつらとした長い文章になってしまったのにお読みくださって、ありがとうございました!

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