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19-20サッリユーヴェ大解剖

2019-2020総括を書こうとしたら、開幕2週間前になってしましました。

自分の悪い癖の後回しにしてたら1か月近く過ぎ、サッリが解任され新指揮官に未経験のピルロが就任し、来期は期待と不安のシーズンになりそうです。

スクデット9連覇、コパイタリア準優勝、CLベスト16というほろ苦い成績のサッリユーヴェでしたが、今季のサッリユーヴェを4つのフェーズに分けて分析していきます。

レナートバルディさん/片野道朗さんの著書「モダンサッカーの教科書」から「チーム分析のフレームワーク」を援用して分析しています。

今季の布陣

今季のユーヴェは前半戦は4-3-1-2、後半戦は4-3-3を使って戦った、総合的に見たら4-3-3が今季の最適解だと思う。

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正GKとして安定感抜群のシュチェスニーがスタメンを張り、カップ戦やプロビンチャとの試合は帰ってきた伝説ブッフォンがゴールマウスを守る。

第3GKのピンソーリョはロナウドと仲良し。

CBはボヌッチを中心に相棒をデミラル、デリフト、ルガーニが務めた、長期離脱したキエッロの穴を、若い2人が埋める働きを見せたのは今季の収穫。

デミラル、デリフトの新時代を予感させる一年だった、対照的にルガーニは出場すると批判にさらされる一年。

SBは右WGからコンバートされたクアドラード、左はサンドロが労基に訴えるレベルの酷使っぷり。その控えを左右できるダニーロが務め、デシーリオはどこへ行ったのか・・・

アンカーには司令塔のピアニッチと本適正は動的IHのベンタンクールが務めた。

左IHには前半戦はマトゥイディ、後半戦はラビオが台頭した、右IHにはベンタンクールを中心に怪我がちなケディラとラムジー。

左WGはロナウドの聖域、右WGには攻撃的なコスタと守備的なベルナルデスキ。

CFには0トップで起用されるディバラと純粋なストライカーのイグアイン。

攻撃の局面(ビルドアップ)

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ユーヴェのビルドアップ4バック+アンカーで行う、両SBが低い位置を取りアンカーを起点に前進を試みる。

今期はセリエ屈指の司令塔ピアニッチに対して、各チームがピアニッチ封じをしてきた。この時両IHのラビオ、ベンタンクールは推進力を武器をする選手なので、器用にビルドアップを手伝えるタイプでは無かった。

ピアニッチを封じられビルドアップのキーマンとなるのが、右SBのクアドラード。

WG出身を生かしたボールキープを生かして、相手プレッシングの逃げ場所となり前線にボールを供給した。

ビルドアップの出口となったのが0トップとして下がってくるディバラ、主に中央、左右のHSに下がって得意の反転からマークを剥がしスイッチを入れる。

攻撃の局面(ゴール前での崩し)

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サッリユーヴェのゴール前での崩しはオーバーロードアイソレーション

主に右サイドのクアドラードを起点に右IH、右WG、下がってくるディバラの4人でダイヤモンドを作る。WGが大外に張る時はSBがインナーラップ、WBがカットインする時はSBがインナーラップ。

ディバラが右HSに落ちてくる形が多いので、空いたスペースにIHが飛び出し攻撃に厚みを加える。

右サイドにボールを集めて相手の守備陣に意識を向け、仕留めるのは左サイドから中に入ってくるロナウド。

左サイドでは左SBのサンドロがオーバーラップで幅を作り、左IHはマトゥイディが得意としてるHSへの飛び出す。

イグアインが最前線に入る時は相手CBに引き付けてゴール前で勝負、その空いたスペースを2列目の選手が有効に使う。

ディバラが負傷の影響で離脱し、逆転負けを喫したミラン戦では、攻めの流動性を欠きディバラの重要さを感じられた。

ロナウドーディバラ問題が論じられているが、ディバラが0トップとして覚醒してくれるのが、ロナウドとの共存問題を解決してくれるだろ。

ネガティブトランジション(攻→守の切り替え)

試合の中で攻撃の次の局面は、攻撃から守備への切り替え通称ネガトラ(ネガティブトランジション)

ネガトラには2つの形がある、一つはボールを奪われた後に即時奪取を狙うゲーゲンプレッシング、2つめはボールを奪われたら自陣に退却し、ブロックを作り構えるリトリートがある。

ユーヴェのネガトラは、前者の即時奪取を試みるゲーゲンプレッシング。

右サイドに密集して崩そうとするが、ネガトラ時にも利点がある。それはボールを奪われた後に即時奪取を狙うことができる。

この時ピアニッチもゲーゲンプレッシングに参加するので、カウンター対応は2CBにかかっている。

広大なスペースを2人のCBに任せるので、CBの対人能力と身体能力(フィジカル、スピード)は必須条件となる。この条件に当てはまるのがデミラルとデリフトの2人。

前半戦の問題点であった、ネガトラ時のピアニッチの強度不足を解決したのが、ベンタンクールのアンカー起用であった。

動的IHのベンタンクールをアンカーで使うのはもったいないが、動きすぎる点とカード癖以外は今季のMVP候補の活躍であった。

守備の局面(プレッシング)

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プレッシングは開始地点によって3つの呼び方がある。

1つめはペナルティエリア前から行う「超攻撃的プレッシング」、2つはバックラインのパス回しからプレスを始める「攻撃的プレッシング」、3つめはハーフライン付近から開始する「守備的プレッシング

主にユーヴェは「超攻撃的プレッシング」と「攻撃的プレッシング」を使い分ける、ロナウドは気分で守備に参加するため、実質9人でプレッシングを行うことになる。

前線3枚はディバラが中盤へのパスコースを消しながらCBを制限する、右WGが大外のコースを消しながらSBを担当する。

この時浮いた相手右SBに対しては左IHが飛び出して対応する、左IHがいたポジションにはアンカーがスライドして対応。

この時アンカーの選手が飛び出して、下がった相手中盤選手をマークする形もある。

前半戦の敵地でのイタリアデルビーでは、4-3-1-2を使いトップ下で起用されたベルナルデスキを中心にハイプレスでリズムを作り出すことが出来た。

守備の局面(組織的守備)

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ユーヴェの組織的守備は、サッリ特有のボールを基準とする「純粋なゾーンディフェンス

この時左IHが左SHにスライドしアンカーの選手と右IHの選手の2枚で中央を固める。右SHには右WGに選手が下がって来て4-4ブロックを組む。

右WGに入るベルナルデスキの運動量を生かした上下動で成立するシステム。

前半戦は4-3ブロック+トップ下の形だったが、後半戦はバランスよく守れる可変式4-4ブロックに変更した。

この可変式4-4ブロックには弱点が3つある、1つ目は前線の2トップが守備に関与せず前残りするため、実質4-4-0-2ブロックの形になってしまう。

4-4ブロックと2トップの間のスペースを自由に使わられて、結果的中盤の選手が釣りだされてしまう。

2つ目は左IHがサイドにスライドした時にライン間のスペースを狙われる、代表的なのがアウェイで逆転負けを喫したミラン戦のケシエの同点ゴール、

サイドチェンジでユーヴェの中盤をスライドさせて、対人に難があるピアニッチを上手く狙ったシーン。

3つ目は大外のクロスに対する対応、例を挙げるとラツィオやアタランタのように3バックを使いWBが幅を使う相手を苦手とする。

構造上相手の5枚に対してユーヴェの守備陣は4枚なので、大外がフリーになってしまう。

この4-4-0-2問題をピルロがどう解決するのか楽しみ。

ポジティブトランジション(守→攻の切り替え)

守備→攻撃への切り替え通称ポジトラ(ポジティブトランジション)は守備のフェーズに分類される、ボールを奪った後の何をするかがポジトラである。

ポジトラは2つの形に分けられる、前者はプレッシングや相手のビルドアップミスでボールを奪った時=「ショートトランジション」と、自陣の組織的守備からボールを奪った時=「ミドル/ロングトランジション」に分ける事ができる。

ポジトラからの攻撃は選手のタイプ、能力によって左右されることが多い。

ユーヴェの「ミドル/ロングトランジション」は自陣、ハーフライン付近でボールを奪った時に、高精度のロングフィードを武器とするボヌッチを起点に、前線の3枚が裏抜けからカウンターを狙う。

特にベルナルデスキが果敢に裏へ飛び出し、相手の守備陣を下げる。

もう一つは推進力に優れた両IHの持ち上がり、ラビオとベンタンクールは長い距離ボールを運ぶことができる。

再開後のミラン戦では、ポジトラからラビオがハーフラインからボールを運び、見事なゴラッソを叩き込んだ。

エピローグ

シーズン終了から1か月後にシーズンの振り返りを書いてると、流石に試合の内容を忘れてしまうのでYouTubeのハイライトや、過去の自分の記事を詠みながら書いてたら、こんな時期になってしまいました・・・

noteを書き始めて1年近く立ちますが、一年間読んでくださって本当にありがとうございました。

開幕戦まで来季の展望を書きたいので、今週か来週あたりに出せたらうれしいです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。来季もFino Alla FIne Forza JUVE



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