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「聞く」コツ

続・インタビューは恋のはじまり

私は仕事でインタビューをしています。年間5,60名の方にお話しをうかがっています。今日は「聞く」コツについてお話しをします。

インタビューは会話です

インタビューをする、取材をするってなんだか凄そう、難しそうですよね。言葉だけ聞くとそう感じますが、この記事を読んでくださっている人の多くは毎日インタビューをしています。

今日何食べたい?
昨日何時に寝たの?
週末は何して過ごしたの?

インタビューをする、取材をするというと構えがちですがインタビューは「会話」です。むしろ、会話以外のなにものでもないとおもっています。

会話上手がインタビュー上手?

インタビューが会話なら、インタビューをする人は会話上手なのでしょうか?

そうかもしれませんが、そうとは限らないと思います。ちなみに私は会話あまり上手ではありません。インタビューも上手かはわかりません。ただインタビューは大好きです。

会話は上手じゃないのになぜインタビューが好きなのか。
理由は、インタビューは相手の話を聞くからです。会話はインタビューのキャッチボールです。聞いて聞かれて会話がなりたちます。私は自分の事をきかれるのが実はすごく苦手です。インタビューは恋のはじまりにもかきましたが、人間、語れない人なんていないので私にも語れることはあります。あります。笑(大事じゃない事だけど2回言います。)でも、自分の話をするのが得意ではありません。

逆に、お話しをうかがうのは大好きです。3歳児のように「なんで、どうして」と目がキラキラ、聞きたいことが溢れてきます。
けれども普段、人にそんなに踏み込んであれこれ聞かないですよね。正直知らなかった方が良かったみたいなこともあるし、台所事情や家庭内の事、人間関係や想いをなかなか質問しづらいものです。なので普段の会話ではその探求心はひっそり体育座りをしているのですが、いざインタビューとなるとワクワクと顔をだします。

会話上手で楽しくユーモラスな話をたくさん聞かせてくれる方がインタビュー上手かと問われたら、それもまた違うと思います。ご自身のお話しが上手な人、人の話を聞き出すのが上手なひと、どちらも会話上手ですが、インタビュアーに向いているのは後者だと思います。

上手な質問

お話を聞くのが大好きで探求心旺盛であっても、インタビューをするときはドキドキしますし、そのドキドキと比例して事前準備量が変わります。

どんなインタビューでも何が聞きたかったのという軸がないと散らかってしまいます。なので構成や想定質問はとても大事な事前準備だと思います。

インタビューを受ける方は「どんなことを聞かれるんだろう、何を話したらいいんだろう」とご準備をしてくださいます。売上や人員数、達成率などの数字をお伺いする場合、事前に聞きますねとお伝えしたほうが、社内確認もしていただけるのでインタビューがスムーズにすすみます。

インタビューを始めたばかりのころは、すごくがちがちな想定質問を作っていました。

1.会社について
 1-1 事業内容
 1-2 創業はいつ
 1-3 従業員は何名
2.事業について
 2-2 メイン事業はなんですか
 2-3 抱えてた課題は何ですか etcetc

それを順番通りに、慎重にインタビューしていました。インタビューが終わるとへとへとクタクタ。聞き漏れたことは無いか、全部聞けたかハラハラドキドキでした。

でもあるとき、これってインタビューを受けてくださっている方は楽しいのかなと思ったんです。例えば下記の想定質問を用意していたとします。

<想定質問>
カラーコーディネーター〇〇さんはどんな人
1.人物について
 ①すきな色
 ②ごはんの好み
 ③休日の過ごし方
2.お仕事の話
 ①カラーコーディネーターになったのはなぜ
<インタビューA>
好きな色は何色ですか?
「青」
お食事は普段どのようなものを召し上がりますか?気を付けている点やこだわりは?
「おにぎり」

色の話からご飯の話、質問を受けている人も、「好きな色は何色?」と聞かれたタイミングで脳内に”子供の頃に青い服が似合うねって言われた情景”が浮かんでいると思います。そこに「今日何食べた?」と聞かれると、情景をいったん遮断して、「えっとー、朝ごはんは」と情景の差し替えが必要になるんです。そうすると、なんだか躓いた感じや、和気あいあいと会話がもりあがった達成感がなく、聞かれたことに答えた、上手に答えられたのかなという感情だけが残ります。

<インタビューB>
好きな色は何色ですか?
「青」
なんで青がすきなんですか?
「子供のころに青い服を着てたらたくさんの人にほめてもらって、それから青が自分に似合ういろなんだって意識しはじめて好きになったの。」

<インタビューB>は会話がスムーズにつながっています。回答に沿った質問をしているからです。その場合、②③の質問はあとからしてもいいので、そのまま幼少期のお話から、カラーコーディネーターになったきっかけのエピソードにお話しをつづけさせていただくと、インタビューがスムーズにつながります。

もちろん中には一問一答を好まれる方もいます。

お答えいただく方の雰囲気を読み取って、インタビューという時間の空気感を作っていくのも、上手なインタビューの方法なんだと思っています。

肝要ワードは答えの中にある

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構成・想定質問を考えているとき、過去記事などを拝見し「ここを深堀させていただいたらタイトルとしてキャッチ―なお話しが伺えるかも!」と思うことがあります。もちそん想定通り、事前に考えていた話題が盛り上がりタイトルになるパターンもありますが、そこに引っ張られずに回答の深堀質問していったときに、どこでもまだはなしたことのないとっておきなお話しをしていただけることがあります。

人は長い時間のなかで膨大な経験をしています。全てを全て覚えてはいないのですが、記憶として脳の中にしまわれているんです。それがふとしたきっかけで扉を開き、「あっそういえばね」といった感じで思い出されることがあるんです。

その記憶の扉をインタビュアーとしてノックできることは、インタビューの種類によってことなりますが、稀でありできた時は鳥肌が立つ感覚です。

記憶の扉をそっと開いてお話しいただけた内容は今までと違う切り口の記事にもなりますし、タイトルになるキャッチーな話題になることが多いです。
そういったインタビューができたときは「いままで話したことが無かったお話までしちゃったよ」「たのしくお話ししちゃったけど、ちゃんと答えられていましたか?」といった感想をいただきます。正直心の中でガッツポーズしています。

まとめ

「聞く」コツは、お話しいただく方に、思い出や、これからチャレンジしてみたい事を、現状のことなどを、安心して楽しくその方のペースでお話しいただくける空気感をつくることです。

言葉数が少ないと不安になる方であれば、「私の話や気持ちや感想」を質問に添えるといいでしょう。

たくさんお話しをしてくださる方であれば、ぽんっとひとつキーワードをお渡しするのがいいでしょう。

インタビューは「人と人が同じ時間を共有する事」「会話であること」を大前提にお話しをうかがえば、きっと素敵な時間となるとおもいます。

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