ボイスチャットからVRChatへ

私はここ最近、VRChatをやるようになりました。

VRChatを知らない人に簡単に説明すると、VR内でのチャットです。参加者は思い思いのアバターを身にまとい、「おしゃべり」をします。
チャットルームは「ワールド」と呼ばれていて、3Dモデリングやプログラムを駆使して、ユーザーがかなり自由な空間を作り出せ、把握できないほど様々なワールドがあります。
立方体のオブジェクトが置いてあるだけの殺風景なワールドから(オブジェクトやギミックが少ない部屋は「軽い」のでそれもまた需要が大きくあるのです)、ゲームができるワールド、風景が美しいワールド、飲み屋街のようなワールド、落ち着いた部屋のワールドなど様々で、ちょっと見て回るだけでもかなり時間がかかり、全貌を把握するのは不可能っていっていいほどです。
(VRヘッドセットを使わなくてもVRChatをプレイできますが、説明は割愛します)

チャットツールは様々なものがあります。私はネット歴はそれなりに長いため、パソコン通信のチャット、CGIのチャット、IRC、icq、メッセンジャー、スカイプ、LINEなどそれぞれの時代で体験し面白さを味わってきました。また、ゲームをしながらのチャットも楽しんできました。
私が思う、VRChatがユニークな点はVRにあります。VRのChatでVRChatなのである意味当たり前なのですが…。

VRは最初の入り口としては、ゲーム機の延長、ビデオプレイヤーの延長というあたりでしょう。
もちろんそれらは、今までに味わった事の無い世界を体験させてくれる物です。
私はOculus Quest のコントローラーを手にしたとき、ゲーム機のコントローラーの歴史が頭を駆け巡りました。この話は別の記事で書くかもしれません。
そういう意味ではVRはゲーム機の延長なのです。

しかし、私は、VRの深いところはコミュニケーションと自己表現にあると感じました。
その両軸にあるのが、VRのSNSとも言えるVRChatと、VTuberになる場所を提供する、バーチャルキャストです。(類似のサービスも含みます)
(バーチャルキャストについてはまた後日言及したいと思います)
つまり、VR世界でのSNSと、「配信者」「Youtuber」です。

VRChatでは、主に音声でコミュニケーションをとります。それだけ聞くと、ボイスチャットとさほど差が無いように感じます。
しかし、ここに「よくできたVRのコントローラー」が加わる事により、手振りが加わります。(お高めなVRヘッドセットは体の動きもトレースします)
この「身振り手振り」が加わる事がものすごく大きなポイントです。
手を振ったり、ピースサインをするだけでも大きなポイントですが、機を許した相手の頭を撫でたり、撫でられたり、スキンシップをとることができます。残念ながらVRChatでは、アバターを触れたときにコントローラーのバイブ(振動。いわゆるデュアルショック。VRのゲームではバイブを利用して物を触る感覚が再現されている事が多いです)が反応しません。なので、「ふり」をするだけなのですが、慣れてきて没入感が進むと、本当に触れている気分になってきます。
もう一つの大きなポイントとして、「触れる感覚」にも繋がってきますが、VRChatでのVR空間でパーソナルスペースを無意識、意識双方の面で感じるようになります。これは、相手がしゃべっている方向や距離によって聞こえ方が変わる仕組みも大きく関係してきますし、「触れるほどの距離」というのをVR空間で感じる事でもあります。つまり、機を許した相手との距離が近くなりがちになるのです。もちろん近すぎると相手のアバターを突き抜けてしまいますし、ちょっと離れた方が全身見えて良いという時もあります。
先に「主に音声でコミュニケーションをとる」と書きましたが、しゃべらなくても、コミュニケーションがとれるのです。
前述の二つほどは大きくない物の、もう一つ、やや大きな要素として、「様々なワールド」があります。
“(心理的)距離が近い人”と一緒に色んなワールドを巡るだけで、「想い出」になるのです。そして、身振り手振り、スキンシップを交えたコミュニケーションを取るのです。
もちろん、見知らぬ人と井戸端会議的に雑談するのも面白いですし、言葉があまり通じない外国人と身振り手振り交えて話すのも面白いです。
そして、色んなワールドを巡り、「空間を共有」するのです。
そこにはまる人は、「依存すると危ない」と付け加えないといけないほど「幸せに満ちあふれています」。
多小余談的になりますが、私がVRChatをはじめる前まで謎だった事に「VRChat内で寝る人(not寝落ち)」という話があるんですが、「パーソナルスペースがある」というのを自覚したのと、寝るためのワールドの心地よさを感じた今では、「VRChatで寝る」という行為はよく分かってしまいました。

ひとつ、追記的に付け加えておくと、VRChatは、まだ、「サービスの黎明期」の楽しさと優しさに満ちあふれています。チャットやSNSの黎明期にも繋がる感覚です。チャットやSNSの用にすさんだ面が強くなるとどうなるかはまだ分かりません。「入り込む感覚」が強い分、拒絶反応も強くなる可能性もあると思っています。
それでも私は優しくありたいと思っています。同時に既存のSNSでも。

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