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【雑記】インプットあれこれ 2021/5/25

感想行為についての雑感

 
 ファンコミュニティ内での感想戦のような経験をせずに生きてきた人間なので、感想というと壁に向かって独り言をブツブツ呟くものだと思っているフシがあるのですが、自戒の意味も込めて。ちなみに初見感想の話ではないです。

 例えばジャンプは毎週買ってるしメギドもちゃんとイベントを完走してるんだけど、この分野では自分よりも深い感想や考察をしている人は多く見かけるので自分の頭で考えるより専門家の意見を読みに行くみたいなところがある。
 実際、鬼滅や進撃も同じパターンで「わざわざ自分が口を開く必要もないかな……」となってしまったり、熱心な人の感想と被ってしまうと自分が言いたかった感想が尻すぼみに消えて行ってしまう……いや、めちゃくちゃ楽しんでるんですけどね。楽しんでるんですが、熱が引いていくようなアレを感じてしまうのでよくない(感想が飛び込んでくるTLを構築したのは自分なのでそれもいけないんですが)。
 特に「これは絶対に〇〇!」みたいな、まるで答え合わせをしているような言及に対しては注意深く立ち回らないといけないなあ、とシンエヴァの時には強く感じたので他人の感想に寄り掛かりすぎないようにしたいですね(この話は以上です)。


最近読んだもの

少年のアビス 4/峰浪 りょう
 1巻から4巻まで一気読みしました。熱い。熱すぎる。確実に状況は悪い方向へ向かっているのに、この気持ちはなんだろう。一体誰と心中するの? それとも生きるの? ここから逃げるの? 目まぐるしく変わる状況と明らかになる真っ黒な真実が怒涛の勢いで押し寄せてきて興奮がとまらない。少年を巡って生と死と愛と性が吹き荒れ、どす黒い渦が全てを飲み込んでしまう。ああ、これがアビスか。
 都会から来た女に愛と性と死を教えてもらった少年が郊外の街で燻ってるヒロイン達(男含む)の自殺スイッチを次々と押していく漫画で、一見すると暗くてつらい作風なはずなんですけど、初っ端から詰んでる状況から全く快方に向かわずひたすら堕ちていく感覚にだんだん麻痺していって、逆に病みつきになってしまう。「生活する分には(車があれば)不自由しないが、人間関係が閉鎖的で順応できなければ地獄」のような地方の郊外描写が死ぬほど解像度が高い。マジでやめてほしい。
 黒瀬くんが都会の女から教えてもらった言葉とテクで次々とかどわしていく(言い方)のも大概なんですが、それ以上に溜め込んでた毒を見開きで一気に吐き出すヒロインたちの方が百倍ヤバいので、一周して被害者に見えてしまうのが面白い(嘘です。本当はどっちもめちゃくちゃ怖い)。
 特にチキチキ心中エントリー者の中で一歩先んじている(ゴールに近づいてはいない)柴ちゃん先生はちょっと質感がすごすぎて、ここ最近の漫画の中で一番インパクトのある引きだった。ヤンデレというか、この人はプレデターだと思う。捕食者。絶対にヤバい。


ウマ娘 シンデレラグレイ 3/久住 太陽,杉浦 理史,伊藤 隼之介
 面白すぎて一瞬で読み終わってしまった。中央に舞台が移りネームドキャラもどんどん増えるが、あくまでオグリキャップが主人公であり、物語は立ち止まることなく先へ先へと進んでいく……いやでもちょっと早くない?レース回もマキバオーみたいに3~4話くらいかけてペースダウンしてもいいのよ? さすがにそれは我儘か。
 ウマ娘ってレースにライブ、学園生活などギチギチに要素詰め込みまくりなコンテンツなので描く上での取捨選択がマジで大変だと思うけど、そんな中で「このコミカライズは一体何を中心に据えるのか?」の答えのひとつがオグリキャップの日本ダービー出走の可否なのだろう。ラストの引きではオグリが日本ダービーに出走しているような構成だけど、よく見ると勝負服ではなくゼッケン付きの体操着なのでなかなか手の込んだミスリードの予感がする。
 しかしアニメ版でのサイレンススズカのように、史実とは異なる展開を匂わせているので油断できない。何しろ「この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にも分からない」のだから。


ギガントマキア/三浦 建太郎
三浦 建太郎先生の訃報を受け、せめてもと思い手に取ったギガントマキアですが、めちゃくちゃ面白い。そして癖(ヘキ)がつよい。遥か未来の地球、謎めいた少女、異形の民族、火を噴くのタコの怪物、そしてプロレス!特撮的巨人化からの特撮的大迫力バトル!そして特撮的プロレス!ページの隅々まで行き渡る圧倒的画力に震撼する。どん詰まり一歩手前の世界を明るく照らすような主人公コンビに励まされ、世の中そう捨てたもんじゃないと思わせる良さが詰まっていて、ポストアポカリプスを題材にしながら一貫して未来への希望を失わない作風は作者の強い意志を感じる。一巻で終わらせるには惜しい広大な世界だけど、想像もつかない未来を示唆する終盤の語りは美しい。


アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風/神林長平
 あまりにも難解。「意識とは言語である」「時間も感覚も共有しない非人間的意識との意思疎通」「機械意識が保有する機能としての人間」ひとつひとつが膨大な文字数をかけて説明、描写されているものの、正直3割も理解できているか自信が無い。
 しかし、そんな哲学的な応酬が零、特殊戦と雪風の共生に至るまでの途方もない道筋であったのだろう。第三者による主観視点、内面をつまびらかにする地の文、そして人間性を解体する言語と意識の概念。文学作品でしかありえないメタフィクショナルなギミックの数々に、うめき声しか出ない。いや、参った。
「侵略者と異星でドッグファイトバトル」なんて話はとっくの昔に次元の彼方へ過ぎ去った。もはや話の筋道も着地点も予想もつかない領域に入っており何もかもが分からないのですが、その訳の分からなさに思考の楽しさ由来のアドレナリンが打ち勝っていて、つまりめちゃくちゃ面白い。今まで働かせていない部分の脳をガンガン刺激されている感じ。いかに浅はかな理解でAIとか人工知能のような機械知性を知った気でいたのか思い知らされた。
 雪風は戦闘機にあらず、異質な知性体であり、目的を共にする共生存在である。壮絶な読書体験に打ちのめされる。すごい。すごすぎるよ雪風。


(終わりです)

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