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ライディング・ホッパー #2

承前


ライディングギア:大崩壊後に普及した外骨格型パワードスーツの総称。重機や建機では立ち入れない地域の作業用に開発され、その踏破能力から現在では自動車に変わる移動手段として広く受け入れられる。用途に応じてカスタマイズが可能で、災害地域の復興作業用に始まり、コンテナを掲載できる輸送用など人々のインフラに欠かせない存在となる。二脚タイプから派生し様々なバリエーションが誕生している。


廃墟と化した新ヨコハマランドマークタワーを遥か下に見ながら、ワタルは身を捻った。つかの間の浮遊感はすぐに重力落下へと変わる。翼をもたない者をまるで引きずり下ろすように、下降速度が上昇する。

バシュン!

ギアの背部スカートから尻尾のようにスタビライザーが展開し、ギアの脚部が大腿部に格納された。荒れ狂う気流を身に纏うい、きりもみ回転しながら地上に向けて落下してゆく。

機体の節々に展開されたエアロやウイングによって極限まで空気抵抗を無くし、流星のように地上へと落下してゆく。内臓が喉元へせりあがってくる感覚を飲み込み、バイザーのディスプレイに浮かぶ座標を睨む。

《降下体勢へ移行完了。気象観測データに基づき目標ポイントへの機体制御を開始します》

計器の一つがランダムに点灯し、流暢な喋りで合成音声が発した。同時にマップ上にガイドラインが表示される。

「うん、頼むよトレミー」

姿なき相棒に促され、彼の乗ったギアは重力の井戸の底へと加速していく。


【#3へ続く】

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