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部隊の引き継ぎ

アフリカ、ニジェールの空港に到着。飛行機を降りた瞬間から大気の熱、灼熱の陽射しに襲いかかられた。ここの空港から前哨基地までは翌日の朝、輸送機で行くらしい。その夜は割り当てられたテントに宿泊することになった。テントの中は10人分の鉄パイプの簡易ベットがあり、なんと冷房がガンガンに効いていた。その夜は寝袋を出さずに眠っていたが、朝方3時頃寒過ぎて起きてしまった。そして寝袋を取り出してまた眠りについた。それくらい冷房はガンガンに効いていた。

スペイン空軍のC-130輸送機に搭乗し、前哨基地へ向かう途中とてつもない尿意に襲われる。ボトルのミネラルウォーターが飲み放題だったので、水を飲み過ぎた。しかしボーイングの旅客機と違って見渡してみてもトイレなんてありそうになかった。それに機内は満員で人1人通れる通路は無かった。仕方なくあと何時間かかるか分からない到着を待つ。すると、同じく搭乗していた中の1人が立ち上がり人々をかき分けコクピットの方へ向かっていった。そいつも相当我慢していたんだろう。乗務員が指定した場所は、皆んなから丸見えの所で伝声管の様な小さい小さい小便器だった。まわりがざわつく。これは確かに勇気がいる(笑)が、そいつは何も動じず爽快に用を足す。それを見た俺も痺れを切らしコックピットの方へ向かうことを決意。すると周りからも数人、列ができる程その便器の前に集まった。なんだお前らもかとホッとする。笑

席に戻り数分後、機長による機内放送があった。今から戦闘空域に入るのでベルトをしっかり閉めるようにとのことだった。乗務員は防弾ベストを付けヘルメットを被りだし物々しい雰囲気をかもし出したので、この時に「遂に自分は戦場に来たんだ。」と実感した。と、輸送機は急旋回、急上昇急降下をし始めた。これがまた人生で体験した事がないGのかかり方で、対空攻撃を避けての事らしい。自分を含め周りの顔が真っ青になっていた。震えて手を合わせ祈っている者もいたし、失神してしまっている者もいた。とてつもなくカオスだった(笑)笑えない。

前哨基地に到着し、仮の住まいを割り振られる。小さなプレハブで4人でひと部屋だった。冷房も効いていてマットレスのあるベットで、ひとまず安心する。早速、武器の受け取り、弾薬の割り当てを受け24時間いつでも応戦可能に。武器庫など無くて四六時中自己管理となる。作業や食事の際は必ず最低1人は監視の目を置いた。さらに敵の侵入や攻撃の際のアラート、警報の手順や集合場所の説明を受け、止血帯は常に周りから見える場所に掛けておくことを命じられた。さらにトイレやシャワーの水を制限するよう硬く命じられた。ここでは水は貴重であり、有限なのだ。飲料水に関しては、いたるところにコンテナ冷蔵庫があり、ボトルのミネラルウォーターが好きな時に好きなだけ取って飲める。そのミネラルウォーターのメーカー名は「Diago」と言った。飲料水は制限はなく、無料だった。当たり前だがこれは地味にありがたいことで、フランス本国ではボトル一本を40サンチム(50円くらい)から1€(130円くらい)の間で自費で買っていたので、それを考えると飲み放題は嬉しかった。まだこの時は二度とtiagoなんか見たく無くなると知る良しもなしに。


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