2020年6月1日から六月なんですよ

しんじられる? 半分おわりました。今年。
速かった。すぎさった時間は戻らない。
だから振り返らない。

本当はただ、
覚えていられないだけなのですが。

今日はTwitterで流れてきた動画を観ました。
デモをしても変わらないと嘆く黒人男性。
はじめは親子の話なんだと思ってた。
でも他人なのでした。
俺は三十一歳で、四年前にもデモに参加した。
全く同じことを繰り返した。毎晩。
でも何も変わらなかった。
だからお前が変えてくれ。
って十六歳の男の子に訴える動画。

自分が彼だったらどう感じただろうか。
詰め寄る大人たちを情けない、と感じただろうか。
自分がなんとかしなければ。と思っただろうか。
ただただ困惑しただろうか。
あの夜彼は、眠れただろうか。

Stay highの動画を見てたら泣けてくる意味が分かった気がする。
有色人種にフォーカスされた画面。
日常にフォーカスされた動画。
それが貴重に感じるのだ。

小さなころ、少女漫画が、アニメが嫌いだった。
白い肌の目の大きい髪の色素の薄い女の子たち。
幼くて愚かでけなげな女の子たち。
これがよいものとして与えられる世界を
この手で亡き者にする。時代遅れのごみ屑にする。

中学生になって漫画を描き始めたとき、女の子の素肌に濃いスクリーントーンを貼った。エキゾチックで美しく思えた。でもそれも、漫画の中で中東の女の子がジプシーとして登場するからで、私は私の目が濁っていると思った。だから、女の子の肌に切れ目を入れて、そこから無数のコードを生やした。腰にバーコードを書いた。顔は描けなかった。厚い前髪を流して、なにか言いたげな口元だけを描いた。

三年になったころ狼の毛皮をかぶって白目を剥いて叫んでいる女の子の絵を描いた。もう顔は隠さなくてもよくなっていた。その代わり、黒目は焦点を結んでいなかった。

なにか方法を考えてくれ。
何かいい方法を。

お前が。

さっきみた
あの男の人のことを思い出す。
私も自分の子供に同じことを言わなければならない。
なにもできなかった。なにもかわらなかった。
私はずっと、息の根を止めるべき相手の顔を知っていたのに。
黙っていた。沈黙していた。気がつかないふりをしていた。

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