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さがす

監督:片山慎三
出演:佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也、森田望智ほか

指名手配犯を見つけたんだと話した夜を境に忽然と姿を消した父、原田智(佐藤二朗)を探し始める娘、楓(伊東蒼)。父の足取りを追い日雇の建設現場に行くと同じ名前で働いている若い男(清水尋也)に出会うがその男は指名手配のポスターに載っていた男だったー


「岬の兄弟」(18)で評価を得た片山慎三監督商業映画デビュー作。
父を捜す娘、指名手配犯、父の話と3パートで映画は構成されている。
映画の情報を全く入れず、予告編も見ずにAmazonPrimeにて鑑賞。
コメディ調で始まり、スリラー、サスペンス、人間ドラマとジャンルを飛び越え物語は進んでいく。

娘のパートを見て関西弁は映画のリズムをテンポよく進めていく一つの力になると思った。親子のやりとりは軽快でユーモアにあふれていている。西成で手配犯を追いかけるシーンも素晴らしくてポン・ジュノ監督の「吠える犬は噛まない」を思い出した。マジックハンドでマスクを外したり楓の可愛らしいけど少し抜けているところもペ・ドゥナのように見える。

殺人犯のパートは離島を拠点に日雇い労働をしていて、自殺願望がある人たちをネットで誘い犯行を重ねたりと実際に日本で起こった事件を混ぜこぜにモチーフにしている。自殺願望がある女性役で森田望智がでていたけどエンドロールまで気が付かなかった。

親子関係が逆転し、ただのダメ親父だと思っていた父は実はもの凄い業を背負っておりそのサイクルから抜けられずもがく姿は切なかった。人間のどうしようにもない部分と闇の部分をこれでもかと見せつけられる。

露悪的だったり残酷な描写も多く見る人を選ぶ映画だと思うがシナリオの構成とディティールが緻密で印象深い映画だった。また俳優陣の誰も彼もが役にはまっていて、佐藤二朗はこんなにいい役者だったのかと気づいた。伊東蒼もこれから有名になるんじゃないかと思う。


ネタバレ
殺人犯と犯行を重ねるうちに父親は感覚が麻痺し、最終的に計画殺人を犯し欲しかった卓球場を手に入れる。映画はここで終わると思ったが、昔使っていた犯行を繰り返そうとする。怪物を追う内に怪物になってしまった父に気づき警察に通報する娘。卓球をしながらそれを打ち明けるシーンが恐ろしかった。



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