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最強の営業はコンペに持ち込ませない

先月ご提案していた大きめのWebサイトリニューアル案件を受注したのですが、このクライアントさんは今回で2回目のご発注。1回目は5社コンペで採用いただいて、今回はご指名でご相談をいただいておりました。

実は、このリピート発注が本当に本当に嬉しくて、それは僕が営業を徹底的に学んだ前職の社長が話していたことを、今の自分が実践できたからなんです。

そんな話を。


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前職で僕を雇ってくれていた社長は営業のプロ中のプロで、カンカンに怒ってるお客さんのところに行っても、相手を笑顔にして商談を終わらせるだけでなく、なんとそのまま新しい案件の相談をもらってきたりしていました

もちろん、お客さんの前で土下座をしたり、袖の下からスッと何かイケないモノを渡しているわけではなく、普通の温度感で普通に会話のキャッチボールをしているのですが、どんどんその場が和やかになっていき、最後は社長の思い描いていた場所に着地しているんです。

とんでもない決めゼリフもなければ、アツイ想いを語ることもない。でもお客さんの心は確実に動いている。武士的にいうと刀が鋭すぎて素人は切られたことすら気づかない、みたいな感じです。


僕も経験が浅い頃、商談に同席していてもその刀の切れ味が全く理解できず「わあ、なんか知らないけど、いい感じに話まとまったなあ〜」ってホワホワしてました笑

僕がテレアポで獲得した商談も、面白いほど受注につなげてて、まじで営業の神様みたいな人でした。


そんな尊敬する社長は、当然コンペにも強く、新規の取引を獲得するために10社近く参加するコンペも必ずといっていいほど勝利していました。

あ、補足でご説明すると、僕が所属していた会社は、決して大手広告代理店(系含む)とかネット系の大手制作会社とかではなく、10名以下の名も無いスタートアップベンチャーでした。

だから、名の知れ渡った有名な会社が集まったコンペでも「え、この人たち誰?」みたいなことはザラでしたね笑


話を戻すと、コンペの勝率も異常に高く、そのカラクリがどこにあるのかをいつも隣で探っていました。

先の話の通り、社会通念上それはないよね、みたいなことは一切やらず、お客さんにとってどんな選択がベストなのか、を徹底的に考え、どんなことを求め、それに対して何ができるか、をピンポイントで全て刺していくようなプレゼンの下準備とプレゼン後のフォローにそのキモがありました。

Webサイトをリニューアルしたい目的は何で、今はどんなことが課題で今後何を求めているのか、そしてクライアントの社内の体制やフェーズはどのような状態か。プレゼン後はどのように社内で検討され、誰が決裁をするのか、など。

採用に至るまでのプロセスを全て把握し、それらを条件に合わせていく提案内容とフォローを行う。

これが、圧倒的な勝率を誇るプレゼンのコツでした。


あるとき僕は社長とある案件のコンペを受注し、そのキックオフの帰りの電車でこんな会話をしました。


僕:今回も鮮やかに勝ちましたね、すごいっすねほんと。

社長:いや、違うねん、浅見くん。そもそも、今回のようなコンペに持ち込ませないことこそが最強の営業やねん。

僕:え、どういうことですか?

社長:そもそも敵を土俵に上げず、コンペをすること自体お客さんのメリットにならないことを説得するねん。

※ちなみに社長は関西人です笑


なるほど、僕はそこでとてつもないことに気づきました。社長がこれまでシレっと受注してきてる案件は、そもそもコンペにもさせず、ご指名で発注をもらっているものばかりだったんです。

当然、「お客さんにコンペをさせない」というのは、力技でねじ伏せたり嘘をついたりして説得しているのではなく、その労力対効果やコンペよりも信頼できる会社と深く話し合った方が今の段階では適してますよ、というお客さんに寄り添った提案をしてそのように持っていっているのです。

その上でコンペの必要がある場合はやってもらう。

つまり、そもそもコンペが始まる前からその勝負は決まってるんですよね。マジすごいな。


確かに、案件が大きくなればコンペを実施して発注業者を選定するというのは多くの場面で行われているものですが、その必要性が真にあるか、といったらそうでない案件もたくさんあります。

それらをちゃんと俯瞰して理解した上で、お客さんと話して説得する。これがコンペに持ち込ませない営業術でした。


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僕も独立してそろそろ5年。

この営業術をちゃんと間近でみて学んできたからこそ、今めちゃくちゃ楽しく案件をやらせていただけているんだなって思っています。

フリーランスでも小さな会社でも、本当に営業は大切です。

もちろん飛び込みしろとかテレアポしろってことじゃなくて、ちゃんとお客さんの立場になって、その人にとってなにが一番役に立つか、それを徹底的に考えてあげることが営業です。

ぜひ、苦手意識を持たずに、そんなコミュニケーションにチャレンジしてみて欲しいなと思います。



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