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スマホでOK!ちょっとの工夫で差がつく宣材写真 秩父みんなの宣伝部 #10

この記事は、埼玉県秩父で活動するクリエイティブ会社「浅見制作所」がローカルラジオ「ちちぶエフエム」でお届けする“聴いて試してPR!秩父みんなの宣伝部”をテキストにしたものです。

全12回を通して、PRの基本的な考えからブログやSNSの活用法、発信術まで、地方の事業者さんにお役立てできる情報をお届けします!

第10回は「スマホでOK!ちょっとの工夫で差がつく宣材写真」についてお届けします。

聞き手:ちちぶエフエムパーソナリテイ 伊藤美裕紀

目に見えないものをイメージしてもらうには

伊藤:
前回は「魅力の伝え方」、前々回は「魅力が伝わるキャッチコピー講座」としてお届けしましたが、今回は写真のお話です。前回までは、主に言葉や文章で伝える方法についてお話しました。

浅見:
伝える相手や伝える側によって異なるので、具体的な答えがない内容になりましたが、「定型文がない」っていうことに気づきましたね。

伊藤:
定型文がないからこそ、どうやって魅力を伝えるのかを考える必要があって、面白い部分でもあるのかなと思いました。「これをやれば間違いない」ということは、他と変わらないっていうことにもなりますよね。

浅見:
「味自慢」「こだわりの味」とか。誰でも言えちゃうじゃないですか。

伊藤:
こだわってない店はないですよね。

浅見:
大事なのは、味をどう自慢できるか。「20時間煮込んだ鶏ガラを使っています。だから、味が自慢です」だと、すごそう! ってなるし、イメージできます。味自慢だけだと、第三者が聞いたときにイメージできないんですよ。

伊藤:
具体的に。

浅見:
そうですね。特に数字が入っているとわかりやすいです。数字って客観性のあるものなので。よく、定量と定性って言いますけど、定性は感覚。「たくさんの人が集まりました」とか。でも、それだと何人かわからない。「今日のイベントは500人の方にお集まりいただきました」だと、「おおー!」ってなるじゃないですか。

伊藤:
あの場所に500人も来るなんてすごいってなりますね。

浅見:
仕事でもそうですよね。「なるべく早くお願いします」とかね。ここだけの話、僕、「大至急お願いします」って言われたら、やる気なくしちゃうんですよ。大至急ってなんやねんって。

伊藤:
いつまでか言えやって(笑)。

浅見:
至急の「大」ってなんやねんって。

伊藤:
そうですね(笑)。急ぐに至ってて、もうすでに急いでるのに、大って。でも実際、何時までか聞くと、そんなに急いでなかったりするんですよね。

浅見:
そう。大至急が何分後なのか、何時間後なのか、何日後なのか、人によって変わるじゃない。それは、誰もがわかる定量、ものさしで伝えないと共有できないですよね。
とはいえ、何でもかんでも数字にするってことではないんですが。

伊藤:
「5,000人のお客様に来ていただきたい」は言う必要ないですもんね。「多くのお客様にご来店いただけるよう、準備してまいります」とか。

浅見:
そうそう。「5,000人」は目標ですからね。しっかり使い分けていきましょう。

言葉で伝えきれないことを、写真で伝える

伊藤:
前回の復習をしたところで、今日のテーマは「スマホでOK!ちょっとの工夫で差がつく宣材写真」です。

浅見:
宣材写真じゃなくても、写真はすごく大事だというお話ができればと。先ほどまで数字の話をしましたが、目で見て「行ってみたい!」とか「おいしそう!」とか「かわいい!」と感じてもらえる視覚の情報ってすごく強いじゃないですか。お店の情報やおでかけスポットを伝えるために写真は欠かせません。

伊藤:
写真はスマホによって、ものすごく身近な存在になりましたよね。機能や性能もどんどん上がってますし。でも、撮れるけど、一眼レフじゃないとダメかなとか、素人だと難しいなとか感じている方も多いかもしれませんね。

浅見:
そうですね。今日はそんな疑問も解消できるような回にできればと思います。
まずスマートフォンでいうと、今は1億総カメラマンですからね。一眼レフはもちろんきれいに撮れますが、スマートフォンでも充分です。画像の細かさである解像度も上がってますし、精度も高い。気軽に撮れて、数秒でSNSに投稿できますしね。

伊藤:
すぐですもんね。

浅見:
それだけ写真が身近な存在になっています。たとえば、旅行雑誌を見るときは写真を見て「いいなあ、行ってみたいなあ」と思うし、料理の写真があれば「おいしそうだなあ」と思います。それって、文章だけではなかなか伝わらないんですよ。

伊藤:
たしかに。飲食店に入ったときも、写真から選ぶことが多いです。

浅見:
色やリアルなものがそのまま写っている。「なんとか風のなんたらを添えて」ではわからないけど、写真だと伝わる。言葉だけだと人によって受け取るイメージに差が出るかもしれないけど、写真だと、より実物に近い情報を届けられるんです。

何を伝えたいのかを考えて撮る

浅見:
では、まずは「よい写真とは何か?」っていう話をしましょう。伊藤さんは、よい写真ってどんなものだと思いますか?

伊藤:
おいしそうに見えるのはいいんですが、おいしそうに撮りすぎて現物と違うのは違うというか。詐欺とは言わないですけど。

浅見:
まったくその通りですね。よい写真は人によって定義は違うけど、宣材写真でいうと、ちゃんと伝わることと、詐欺だと思われないことです。つまり、そのままの魅力がちゃんと伝わる写真であることがすごく大事なんですよ。

伊藤:
現実に近いものとして、ちゃんと伝わる写真。

浅見:
そうですね。そのうえで、写真を撮るときに大事なことが3つあります。まずは、心構え。何を伝えたいか? です。

伊藤:
まただ! 心構え!

浅見:
写真だって文章だって動画だって、全部同じですよ。何を伝えたいのか。ちゃんと目的をもって撮ることが大事です。

伊藤:
なるほど。

浅見:
たとえば、この番組を広めるために写真を撮るとします。楽しい番組だと伝えたいです。そのためには、僕と伊藤さんが笑顔で話している写真を撮りますよね。

伊藤:
たしかに。2人の表情がわかる写真ですね。

浅見:
今度は、このスタジオが4人でも放送できる広々とした空間であることを伝えたいとします。この場合はカメラを引いて、表情よりもスタジオ全体が写るように撮りますよね。

伊藤:
表情はメインじゃないと。

浅見:
ですね。何を伝えたいかによって、構図がまったく変わってくるわけですよ。構図がしっかりしている写真は、何を伝えたいのかが明確です。よく使われているのは、画面を9つに分けて、交差する4つの点(下の画像の赤い点)に一番写したいものを持ってくる「三分割構図」です。

三分割法:例
iPhoneの場合、「設定」から「カメラ」を選択し、「グリッド」をオンにするとマス目が表示されます


あとは、写したいものを真ん中にどーんっと置いて撮る、「日の丸構図」。

日の丸構図:例

伊藤:
主役となるものを真ん中にもってくる。

浅見:
他にはシンメトリーといって、建築物を撮るときに使われる構図もあります。そもそも、神社や鳥居などの美しい建築物は左右対称につくられてますよね。

シンメトリー:例

伊藤:
真ん中になる場所から撮ることで、左右対称になるんですね。

浅見:
そうです。意図をもって撮ると、写真は変わります。反対に、何も考えないで写真を撮っていると、ただの記録になってしまうんです。

伊藤:
ということは、記録が必要なときは、そういう撮り方もできると。

浅見:
そう。参加人数やだれが参加していたのかをわかるようにしたいときですね。

伊藤:
目的によって異なる。お菓子のお店だったら、お菓子をどう撮るか。

浅見:
おいしそうに撮る場合は近くに寄って撮る。水ようかんなら瑞々しさを、最中なら中身のあんこが見えるように撮る。ギフトボックスであれば、真上から撮る。

伊藤:
何が何個入っているかがわかるように。伝えたいことによっては、複数枚撮る必要もあるかもしれない。

浅見:
そうですね。何も考えずに撮るのではなくて、目的をもって撮る必要があります。

伊藤:
買う人の目線になって撮ることが大事ですね。

浅見:
そうですね。テクニックはいろいろありますが、根底にあるのは「何を伝えるか?」なんです。

瞬間を切り取る努力を惜しまない

伊藤:
1つ目は、何を伝えたいのか目的をもって撮影することが大事だというお話でした。2つ目は何でしょう?

浅見:
2つ目は、瞬間を切り取ることです。写真の良さって、きれいに撮ることや技術的な面はもちろんあるけど、それよりもよい瞬間を撮れているかが大事なんです。たとえば、ピントが合っていなくてもよい写真って結構あります。

伊藤:
ピントが合っていなくても?

浅見:
もちろん合っているほうがいいけど、ピントが合ってなくても最高の笑顔をした瞬間をとらえていれば、パワーある写真になりますよね。

伊藤:
なるほど。

浅見:
なので、大事な場面を撮ること。そのために準備をしたり、撮影できる場所に行ったり。風景写真だと何時間もかけて撮影します。最高の瞬間を撮るために、できることをしたいですね。

等身大の写真であることを前提に、見やすく加工するのはOK

伊藤:
写真を撮るときに大事なこととして、目的をもって撮影すること、瞬間を切り取ること、についてお話がありました。3つ目は何でしょう?

浅見:
等身大の写真を撮ることです。これは伊藤さんが冒頭で話してくれた通りで、あまりにもきれいで鮮やかすぎると、実物を見たときにがっかりするじゃないですか。昔、写真ではすごく豪華なおせちなのに、実際に届いたら、大変お粗末なものだったっていうニュースがありましたよね。

伊藤:
ありましたね。

浅見:
そういうのは起こしちゃいけないので、あくまでも等身大の写真であることが大事です。お客さんに過度の期待を与えないよう、注意したいですね。

伊藤:
写真を加工すること自体は問題ないんでしょうか? 今だと、いろんなアプリがありますよね。

浅見:
加工自体は全然問題ないです。iPhoneだと、アプリがなくてもできちゃいますから。おいしそうに撮りたいと思って撮影したのに暗くなってしまったら、明るくしたほうがいいですし、リラクゼーションのような落ち着いた雰囲気を出したいのであれば、暗くするのは必要な加工だと思います。

伊藤:
明るくしすぎるとどうなりますか?

浅見:
いい質問ですね。明るすぎると、白飛びといって色が白く抜けてしまう現象が起きてしまいます。

伊藤:
白いショートケーキを白い机の上に置いて撮影したら、同化して見えにくくなっちゃう。

浅見:
そう。スマホで明るさをMaxにすると白くなります。実際にやってみることで、明るさの調整は身につきますよ。
あと、加工でいうと「彩度」。色の鮮やかさですね。基本的には彩度は高いほうがきれいに見えます。空がものすごく青くなったり、花の色が濃く出たり。

伊藤:
蜷川実花さんの写真のような。

浅見:
そうですね。彩度が高いです。実際にそういう写真を見ると、すごいなって思うじゃないですか。テクニックとして、写真をよいものにする方法のひとつですよね。ただ、あまりに上げすぎると、実物との差が大きくなってしまいます。

伊藤:
作品としての写真ならいいけど、来てもらったり買ってもらったりするための写真としては、やりすぎは良くないですよね。

浅見:
なので、明るさにしろ彩度にしろ、ほどよく調整をする。それだけで、写真は映える感じになってくれます。

伊藤:
ちょっとだけで変わる。

浅見:
それでも大変だという方は、フィルターを使いましょう。インスタグラムでもできますよね。

伊藤:
それを使うものありなんですね。

浅見:
いろいろありますよね。食べ物がおいしそうに撮れる「Foodie フーディ」というアプリもあります。ポンっと押すだけで、求める雰囲気を作ることができますから。現実離れしなければいいと思います。

写真を順番に見せることで、追体験させる

浅見:
最後に、写真を複数枚使う方法をお話します。たとえば、お店のイベントのレポート記事などを書く場合、1枚じゃ足りないですよね。そんなとき、写真を順番に見せることで、ひとつのストーリーとして多くのことを伝えられるんです。お店の外観、内観、メニュー、料理、食べるシーン、みたいな感じで。実際にそのお店に行った人の追体験ができるように、全体から詳細になるようにします。どう見せるか、構成を考えるんです

伊藤:
内容も大事だけど、どう見せるかも大事。

浅見:
依田商店さんの「ちちぶ空き家バンク」は、写真の載せ方がすごく上手で。「この先を進むと、あらなんとこんな岩が。入ってみましょう」みたいな。写真にひと言ずつコメントが入っているんです。

伊藤:
そのコメントが求めてる内容だったりしますもんね。

浅見:
これも追体験ですよね。写真の撮り方はもちろん上手なんですけど、それ以上に構成がすごい。何を伝えたいのかが明確なんです。
じゃあ、写真を使ってどのように発信していくのか。それは次回お話したいと思います。

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次回は、「お店の日常を発信してみよう。ブログ発信」をお届けします。

次回もお聴き逃しなく!

話し手:浅見制作所 浅見 裕
聞き手:ちちぶエフエムパーソナリティ 伊藤 美裕紀
書き起こし・編集:(株)リモートストーリーズ 井上かほる

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