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他人を引きずりおろし、他人の失敗を喜んでいたぼく

ここのところ、SNS上にはとっても不機嫌な話題ばかりが広がっています。

大手芸能事務所の社内の話に外野が石を投げたり、炎上商法を賞賛したツイートに寄ってたかってボコボコにしたり。

当事者じゃない外野の人が、返り討ち合わない距離のところから一方的に石を投げている。そんな光景が広がっています。


でも、外野から石を投げる人の気持ち。僕、すごくわかるんです。

僕は、幼い頃から他人を引きずりおろし、同じフィールドにいる人が失敗することを喜ぶ人間でした。

決して自分で努力はせず、人が落ちることで、自分の立ち位置を確保する。そうやって長年生きてきました。


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小学生の頃は、クラス全員で朝顔をタネから植えて、僕より先に目が出たこの朝顔の芽を詰んだことがあるし、音楽の授業では、自分より演奏が上手な子(もちろん僕よりずっと努力してそうなった子)に対して、発表中にちょっかいを出して失敗させたり。

そんなの、幼少期だけの話じゃなくて。

高校生の時は、マラソンがめんどくさくて、周りのみんなに「ゆっくり走ろうぜ」って忖度したり、社会人になっても、転職先で入社時期が同じ年下の子がテレアポに成功すると憎んだり。他人に、失敗しろ失敗しろ…って呪いをかけるかのごとく、他人の失敗をのぞみ、自分が努力をせず、周りが自分と同じ目線の位置に留まることを喜んでいた。


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うーん…改めて、こうやって書いてみると最低の人間だな笑

でも、まさしく今の社会で起きていることって、これにすごく近いと思っていて。世間一般的な「正義」を振りかざし、石を投げる対象を見つけて、人を引きずりおろす。

そうやって、自分の立っている場所を確認して、安心する。それが、石を投げる人たちの潜在的な意識なんだと思います。


さて、自分の話に戻りますが、そんな僕もある時から人を引きずりおろすことをしなくなったんです。むしろ、仲間の失敗を一緒に悔しがり、仲間の成功は一緒に喜ぶようになっていたんです。

なぜ、そうなったのか。それは、ただひたすら、目の前のことに集中して物事に没頭する体験をしたから。


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僕は30歳の時に、全てのキャリア・ノウハウを捨てて、大企業からスタートアップのWebマーケティングの会社に転職したのだが、そこで圧倒的挫折を味わった。毎日毎日、100件以上のテレアポをしても、後から入った後輩たちの方がどんどん成果を出していく。

大企業の時は、周りからちやほやされるほど、社内でうまく立ち回って、自分の立ち位置を確保し評価されていたものの、スタートアップの会社では、自分の力が全く通用せず、1年以上まともな売り上げをあげられない苦労をした。


この時、自分より若い子が後から入ってきても、今までと同じように「頑張らなくてもいいよ」って忖度したり、その子たちの成功を妬んだり、そうやって自分のポジションを確保しようとしていたんだと思う。

でも、総勢10名ほどのスタートアップの会社では、この忖度や他人への妬みが、すぐ明るみに出ちゃう笑。だから僕はやるしかなかった。ひたすら、目の前のやるべきことをやり続けるしかなかった。

そうして2年くらい、やり続けた結果、ふと立ち止まって周りの景色を見たら、全く見たことのないところに立っているのを、今でも覚えている。


きっかけは、僕より先に入っていた先輩から、ずっと「お前は成果を出していない役立たず」って言われ続けていたのですが、ある時それに対して「うるせえ!邪魔するな!」って僕が声を出したこと。

あれ、なんでそんな声をあげられたかっていうと、僕自身がある一定の成果を出し始めていた頃だったから。その声に対して先輩は何も言わなかったし、周りも僕に同意した。

その時初めて、僕は今までの違う景色のところにいることに気づいた。


転職したベンチャーの会社で、入社当初社長に言われたことを今でも覚えている。

「浅見くんは、キョロキョロ周りを見過ぎ。目の前のことに集中しろ。」

僕はこれを言われて、全く実感がなかったし、言われた時にも認めなかった。でも今ならわかる。周りの様子を伺って、自分の努力量や場合によっては相手に忖度して、相対的に自分の立ち位置が確保できるよう、周りを常にチェックしていたんだと思う。

でも、自分がひたすら目の前のことに没頭していると、周りのことには全く目がいかなくなっていたんだと思う。

多分あれ。車を運転してて、スピードをあげるとどんどん視野が狭くなるやつ。あんな感覚なんだと思います。

自分ががむしゃらに努力して結果を出すようになると、本当に周りの人がどうかとか全く興味がなくなる。そして仲間が頑張って成果を出すことに、心の底から喜べるようになった。

さらにもう一つの変化が。

周りから、妬まれるようになりました。過去この自分のような、相対的に自分の立ち位置を確保しようとする者から。

過去の自分から、まるで足を引っ張られているような感覚だった。


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SNS上の不機嫌な話題も、毎日餌食を探して、見つけ次第みんなで石を投げ、自分の立ち位置を確認したりストレスを発散したりしています。

自分の目の前のことには目も向けず、全く関係のないところにせっせと石を投げる。

まじで、非生産的なことが行われているわけですよね。


箕輪厚介さんが話されていたこの件。本当に心底その通りだなって思うんです。

ここまで書かせていただいたような体験が本当に重なるなあと。本当、どうでもいいんですよ。自分たちの周りのことをもっと気にしましょう。

そして、目の前の人、仲間を大切にして、自分はやるべきことをやる。

そうやって目の前のことに没頭していたら、こんな石を投げるようなこと、まじで興味なくなりますから。

そんな世の中になったらいいなあと、本当に思います。

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