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クラウドファンディングで「期待と応援」を裏切るということ

昨今、クラウドファンディングが広がり、多くの方の「夢」が現実になっていったり、今までは資本家しかできなかったパトロンへの支援という行為がコモディティ化したり、とても素敵な時代になったなと思います。

ただ、今日はこのクラウドファンディングでとても悲しい気持ちになった体験についてお話ししておこうかと。

期待や応援を乗せた支援が裏切られないようになることを願って。


期待をして支援、そこからの裏切り

実は昨年、あるプロジェクトに5万円の支援をしたものの、支援後に全く活動報告がなかったり、リターンの履行がされず、ほったらかしにされる、という経験をしました。


そのプロジェクトは、ある地方でコミュニティスペースを立ち上げたいというもの。

そのプロジェクトの母体になっている組織も、地方創生の文脈ではとても有名なところだったので、ぜひ繋がりたいなと思い支援を決めました。


支援額は“5万円”

リターンはそのプロジェクトのFacebookグループに参加したり、現地を案内してもらえたり、プロジェクトの企画書を共有してもらえる、というものでした。


・遠く離れた地方で頑張る仲間と繋がれる
・活動の中身をインプットできる
・同じ志を持った仲間を応援できる

という想いから、決して安くはないけど、その分「期待と応援」を胸に支援させていただきました。


そして、そのプロジェクトは見事にクラファンを達成。スペース作りは動き出したようです。

「期待と応援」を持った僕自身、この成功はとても嬉しかったし、早くその場所に行ってプロジェクトのメンバーと話してみたい、そういう想いが募りました。


ただ、そのプロジェクトは、クラファン達成直後の全配信のお礼のメッセージ以降、全く発信がなくなりました…

まあ、プロジェクトが動き出して忙しくなったんだろうな、と思いつつも、安くはない金額を支援している立場から、少し気がかりでありました。


案の定、リターンの履行期限が過ぎても連絡がなく、こちらから何度かご連絡を差し上げても、全く反応がない状態でした。



リターンの履行期限から半年経った頃、どうやらオープンしたらしそのスペースのスタッフの方と連絡が取れ、ようやくプロジェクトオーナーからお詫びの連絡とリターンの案内についてメールをいただきました。


まあ、でも…もう冷めちゃってるんですよね。こうなっちゃうと。

この冷めた気持ちでリターン履行を受けても、とても複雑な気持ちだなと思い、リターンは辞退しました。


あ、リターンの1つの「企画書共有」だけはお願いします、ってお伝えしたけど、それの返信がなかったな…

1つ補足をしておくと、このプロジェクトオーナーさんはこの流れでリターン履行はしようとしてくれたので、規約違反等ではありません。


普通の買い物とは違うクラウドファンディングでの支援

この一連のことがあり、僕はクラウドファンディングというものの正体をより一層理解することができました。


クラウドファンディングは普通の買い物とは全く違う


単なる買い物のように、「ものや体験」と「お金」を単純に交換するものではなく、支援したお金に「頑張ってほしいという応援」や「つばがりたいという期待」など、“目に見えない価値”が乗っているものだと思うんです。


僕は、物が欲しかったんじゃない、もてなして欲しかったんじゃない。

ただ、プロジェクトの仲間になりたかっただけなんです。

同じ志を持つ人と繋がり、一緒に想いを共有したり、相手の成功を一緒に喜んだり。そういう仲間になりたかっただけなんです。

だから選んだリターンも、Facebookグループでプロジェクトに参加できる、現地を見に行ける、などの形のないもの。


ただ、その目に見えない価値に期待をしてしまったからこそ、情報発信がない、連絡が取れない、というのはとてもとても悲しかったです。


御察しの通り、そういう状態が続くと、その期待も薄れ、熱はどんどん冷めていきます。冷めてしまった熱は簡単には取り戻せないんですよね。恋愛と一緒です。


普通の買い物なら、「物が届かないから返金しろ!」で済むんですが、クラウドファンディングの場合は違う。

期待や応援、仲間意識といったものは、一度裏切ったら簡単には返せないんです。

物やお金を返して済むならまだ楽。裏切った気持ちを返すことはとても難しいことだと思います。


クラウドファンディングは誠意と覚悟のある人がやるべき

そういった意味でも、クラファンは誠意ある行動をする人だけに向いている仕組みだなって思います。


支援者はただリターンが欲しいだけじゃない。支援でそのプロジェクトの仲間になりたい人がほとんどだと思います。

その文脈を理解したプロジェクトオーナーなら「背負った期待や応援」になんとか応えようと、様々な情報発信をしたり活動を伝えていくことをします。

ただ、なんとなく資金集め、でクラファンを活用するような人は、おおよそそのような「背負った期待や応援」に気づいていないのかもしれません。


たったの1円でも、その支援には“必ず”「期待や応援」が乗っています。それがクラウドファンディングというもの。

その「期待や応援」に応え、オーナーも支援者も一体となってプロジェクトを進めていく喜びはクラウドファンディングでしか味わえないものです。

だからこそ、プロジェクトオーナーはクラウドファンディングで1円でも支援を受ける以上はそれなりの「覚悟」が必要だと思います。


プロジェクトを成功させる、という目標に向かって、一緒に船に乗った支援者をないがしろにすることは、単なる仲間への裏切り行為です。


プロジェクトオーナーは、素直な気持ちと誠実な姿勢、だけあれば良いと思うんです。

今回の僕のような悲しい気持ちになる支援者が生まれないといいなって、本気で思います。

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