昇格が働きがいを損ねてしまうメカニズムについて考えてみる
こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。
先日、人事の同僚とあれこれ議論をしていた際、「昇格が結果的に本人の働きがいを損ねてしまうケースってあるよね」という話になりました。
思考の整理も兼ねて、その時の図をnoteにも書き残しておきます。
要約
・働きがいは、内発的→外発的の順に強化ループが回る
・しかし昇格すると、評価プレッシャーが働きがいに対してマイナスにはたらく
・人事評価と働きがいを切り離して考えるとよいのかもしれない
ループ図の見方
【矢印の見方】
「同」‥矢印の前後で増減関係が同じ。増えれば増える、減れば減る関係
「逆」‥矢印の前後で増減関係が異なる。増えれば減る、減れば増える関係
「二本線」‥その影響が遅れてやってくることの意
内発的働きがいループ
最初はシンプルなところから始まります。
・仕事で成果が上がり、顧客が喜ぶ・同僚に感謝される。
・→働きがいを感じる
・→「もうちょっと頑張ってみたい」という貢献欲求が生まれる。
・→また成果につながる。
ループ図にするとこんな感じ。
外発的動機付けループ
仕事の成果が周囲に認められると、成果が周囲の期待値を上回るようになる(「アイツ、思ったよりやるじゃん!」という感じ)。
その結果、人事評価が後から高まります。
目に見えて評価されると、さらに働きがいが高まります。
ここまではいい感じです。
昇格後の評価プレッシャー
しかし、人事評価が高まり続けると、しばらくして昇格がやってきます。
職位が上がると、周囲の期待値が高まります。
期待値が高くなると、”成果の超過分”は以前より自ずと減少します。
人事評価は以前と比べて相対的に低くならざるを得ません。
これが、働きがいループを弱める方向に作用します。
結果的に、
昇格前は活き活きと働いていたのに、よかれと思って周囲が昇格させたら、本人は以前ほど働きがいを感じられなくなってしまう
という状態に陥ってしまう。
もちろん「昇格後の評価プレッシャーが働きがいにどこまでマイナス影響をもたらすか」は人によって差はあります。
しかし、このメカニズムは多かれ少なかれ当てはまるのではないかと感じます。
じゃあどうしたらいいのか?
あまり明快な解はないのですが、人事評価と働きがいの矢印を断つのが効果があるのではないでしょうか。
最初は外発的働きがいループに触発されてもいい。
ただ、その人事評価はいつかは途絶えるということを念頭におき、内発的働きがいループを心の中に持ち続ける。
周囲の人事評価に拘泥せず、価値があると自分が感じたことをやる。
言い換えれば、自分で自分を評価し続けるということなのかも。
いろいろ前提をすっ飛ばして書いていますが、この辺で終わりにします。
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