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古い木造と隣人

全く眠れないじゃないか、わたくし。
21時にお布団に入ったのに、24時近くまでガッツリ覚醒。3時間何してたのさ。はい、YouTube観てました。

一応、睡眠導入剤を飲んでいるのですが(それと一緒に気分を上げる薬も。寝る前に気分をあげるいうアプローチは初めてなので、若干の戸惑いと頭をかすむノリノリのクラブのみなさま。悪い奴はだいたい友達。そんな友達あるかい)、一体どこにいったあの3粒は。ちゃんと仕事して。でも起き上がるとフッラフラなんですけどね。いざ寝ようとするとツンデレ。

そういえば、夢の中なのか現実だったのか、分からなくて3年ほど思い悩んでいることがあります。

今の家に引っ越す前に、住んでいたんじゃないだろうか大きな一軒家のこと。
木造で古くて、1階が大家さんの家、2階には部屋が二つ。その部屋を貸し出しているわけです。
ギシギシと音を立てながら上がったその部屋には、廊下が続きます。
わたしが借りる部屋は手前の部屋。奥の部屋の人は何年も住んでいるそうです。
東京でいう「下宿」みたいなイメージで、もう何もかもが古い。
外に出かけて帰ってきた時には、1階を通らなくてはいけないので、大家さんが出迎えるという形になります。

でね、あまりに古すぎるので、家賃が格安なわけです。
わたしは和室でも全然構わないので、家賃の安さもあってちょっと惹かれました。見る限り大家さんも感じのいいオバちゃん。

でも強烈な作りが一つ。
地下室があるんです。トイレ、バスは個々に分かれているのに、地下室は共同スペース。
なんとなく2つ分分けられているようで、隣人の荷物が端っこに置いてあります。主に本でした。チラッと本のタイトルを読む限りでは、物書きの人っぽい。
部屋に地下室に繋がる階段が設置してあるんですよね。あとはしご。
ちなみに隣人の人は和服でした、太宰治か。

そして、外出する時には鍵をいちいち大家さんに預けないといけないんですよ。
「あら、行ってらっしゃいね」
ニコニコと笑顔で送り迎え、帰ってきたら「おかえりなさい」とそれまたニコニコ。深夜の外出がはばかられる。

そんな古い木造の、でもエントランス的にはしっかりしているような、半分余計なお世話のような、とても不思議な家でした。でも意外と嫌いではない。

今の部屋を見つけるまで住んでいた気がするんですよ。そのクレイジーな木造の家に。
Wi-Fiは確実に繋がっていないだろうな。1階に設置してある電話は、もしかしたら黒電話かもしれません。

そんな奇妙な体験を、とても引きずっているのです。
体験?いや、体験したのかどうかは定かではないけれど。
でも今でも、今の家の家賃を払うときに、この不思議な木造のアパートを思い出すのです。あっちの家賃は払ったっけ?ってな具合で。

なんなんだこれは。記憶にしっかりと刻まれている地下室の匂いと部屋の畳の匂い。
もしかしたら、違う世界線にいきなりお邪魔したのかもしれない。その世界線の入り口がなんなのかは不明だけど、こういうのっていきなり訪れるものなのかもしれない。
デジャブとかうたた寝したときの、あの感覚とは全然違う、もう少し現実寄りなのです。
わたし本当に住んでいたのかな。いやいや、それはないハズなのです。

ちなみに隣人は、小説を完成させたのだろうか。本屋さんに並ぶといいなって願っています。
買うよ、わたしは。