見出し画像

”オンライン配信”でのカンファレンス開催の選択肢とは

本日、at Will Work の4回目となるカンファレンスを開催しました。

・・・こう書くと事実はそれだけ、なのですがこの時期に開催することの意味、そしてどの様に開催するかと言うその方法についてまとめておこうと思います。きっとこれからイベントを開催するか悩んでいる誰かのためになれば嬉しいです。

相次ぐイベントのキャンセル

スペインのMWCの開催中止の報道を皮切りに、国内のイベントやカンファレンス中止の発表が相次いでいます。また、大企業のリモートワークや時差通勤の実施、そしてイベント参加の自粛ガイドライン設定の報道などを受けて、イベント運営者は開催か中止、また延期かの判断を急遽迫られる事態になっています。

私はat Will Work、そしてPlug and Playと2つの仕事をしていますが、2つとも大きなイベントを主催しています。特にこの時期は2月にat Will Work、3月にPlug and Play(東京・京都と2拠点)と3つの大きなイベントが開催される・・・予定でした。

しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎の感染拡大が想定を上回る世界的な影響を及ぼしています。Plug and Play Japanが主催するイベントは、採択スタートアップ94社のうち約半数が海外の企業であり、かつ2000名以上が集まる大規模なイベントとなるため、参加者間におけるコロナウイルスの蔓延等のリスクを完全に排除することができず、参加者の健康と安全を最重要事項と考えて、中止と言う判断に至りました。

at Will Workのカンファレンス、やるべきか否か

at Will Work も私は中止を提言していました。毎回カンファレンスでは何か新しい取り組みを入れるのですが、4回目となる今回は経営者の方々を中心にお招きすることと、規模をぐっと絞って濃いカンファレンスにすることでした。

at Will Work のカンファレンスは200人規模を想定しており、今までのカンファレンスやPlug and Playと比較するとそこまで大規模ではないものの、やはり様々な方がいらっしゃると言うことは安全の確保ができないと考え、中止または延期を提言していました。

実は先週木曜日の定例理事会までは通常通り開催する予定で準備を進めて今した。しかし事態が刻一刻と変化していく中で、本当に私たちはカンファレンスを開催するのかどうか、何より”していいのかどうか”悩む様になり緊急の理事会が開催されました。

そこで決定されたのが「開催はする」しかし「完全オンライン中継に切り替える」と言うことです。

その決定は開催の2日前です。同時に私はPlug and Playの中止決定に伴い様々な手続きとコミュニケーションに追われているところで、事務局を中心として様々な人が準備を進めてくれました。

ちなみにat Will Workは、理事・事務局の運営メンバーが直接会うのは年に片手で数える程度です。基本的にコミュニケーションはMessenger とSlack、たまに電話です。もの凄くたくさんのメッセージが飛び交い、打ち合わせに出ている間に様々なことが検討され、判断を求められるものが次々に提示されて行っていました。私は立場上代表理事ですが、判断できる理事がどんどん判断をしていくので、迷うものや複数人の検証が必要ないものはどんどん決まって進んでいきました。

そして下記の通り詳細が決定しました。

【カンファレンスをオンライン配信にて実施致します】
・当カンファレンスは公式発表のタイムテーブルどおりに開催致しますが、すべての参加者の皆様にオンライン配信にてカンファレンスのセッションを視聴いただく形に変更致します。そのため、会場にはお越しいただけませんので、ご理解いただけますと幸いです。(オンライン配信の閲覧は、チケットをお申し込み頂いた方限定です)
 
オンライン視聴の方法につきましては、当カンファレンス開催時刻の2020年2月20日10:00までに、チケットお申し込み時にご登録頂いたメールアドレスに、カンファレンスの様子をご視聴いただける動画の限定URLを送付させて頂きます。(動画配信はYouTube Liveを予定しております)
 
※動画配信における禁忌事項について
カンファレンス動画に関しましては、転送禁止、録画・撮影や保存の禁止、チケット購入者以外の動画の閲覧はご遠慮ください。禁忌事項に関する違反が発覚した場合には、法的処置を取らせていただく場合もございますのでご注意ください。
 
【カンファレンスの録画映像を期間限定で公開します】
・上記のリアルタイムでのオンライン配信に加えて、カンファレンスの映像を1週間の期間限定で録画配信させていただく予定です。こちらの詳細につきましても後日ご連絡差し上げます。(こちらのカンファレンス映像につきましても、閲覧はチケットをお申し込み頂いた方限定です)
 
※リアルタイム配信はネットワーク環境により、見られないなどの可能性もありますので、その場合は録画配信でご覧ください。一部、リアルタイム配信と録画配信で内容が異なる場合があります。
 

配信の仕組みの種類は?

カンファレンスは有料チケットのため、配信システムはなんでもいいと言うわけではなく、どう制限をかけるのか、制限をかけるとしても手続きが間に合うのか、観やすいのかどうか、次々に検証と検討が行われました。

理想の形としては、公式ウェブサイトに埋め込む形にし、そのウェブサイトにアクセスするのにパスワードを設定し、チケットをご購入いただいた皆様にご連絡する形を考えていました。しかし、YouTube Liveの場合はページに埋め込むためには別途申請が必要で、許可まで1か月程度必要とのこと。今回のタイミングでは間に合わず、特設ページにパスワードを設定し、そこからYouTube Liveにアクセスする様な仕掛けにしました。

ちなみに今日5Fで発表会をされていたメルカリさんはvimeoを使用されていましたね。こちらは埋め込みが可能な様です。また今日は虎ノ門カフェではVENTURE CAFE TOKYO の"Thursday Gathering"もオンラインで開催。こちらはZoomで実施されていました。オンライン配信にも様々なタイプがありますね。

当日の会場、そして配信の様子

本日、会場の様子はこんな感じでした。

画像1

手前にいるのはグラレコのチームです。他に関係者、スタッフ、メディアの方のみが会場に入っていました。

映像は約3種類。登壇者、スライド、そしてその組み合わせです。下記の様な形で表示されます。背景は黒と白、またはその中間から選べるのですが今回白背景のスライドがほとんどだったので、コントラストをはっきりさせるために黒にしました。またスライドが見えやすい様に並べていますが、これも真横にしたり大きさを変化させたり、スライドの中にワイプ(テレビでよくみるスタジオの方の様子が見える様に抜くやつですね)でも表示できます。いくつかテストした結果、この比率と位置(こうすることでどこを見ればいいか迷わない箇所)に決定しました。

スクリーンショット 2020-02-21 0.51.44

スクリーンショット 2020-02-21 0.52.06

オンライン配信でのイベント開催は”あり”か

終えてみた今、確実に「あり」だといえます。流石に2日前からの準備は慌ただしいのでおすすめしませんが、想定以上にスムーズに進行し、大きなタイムラグもなし。もちろん試聴されているみなさんの通信環境にもよるので、一部遅延などが発生することもあったかもしれません。

今回のカンファレンスでは、特にその様な問い合わせがなく、また安定して一定数の視聴数が1日を通してみられたので大きな問題はなかったのではと理解しています。

実際に参加いただいた方からも、初めはライブ配信で残念と思っていたけどストレスなく観れてよかったと言うご意見や、話している人とスライドを両方観れるのがわかりやすかった、実は会場より観やすいかもと言うコメントも。会場でライブでメイン画面に映し出すものを、自宅で観れる様な感覚だったそうです。

では、Plug and Playではライブ配信はアリだったのか。そこは違うのではと思っています。イベントの趣旨と目的が異なるからです。

at Will Work のカンファレンスの様な、セッションが中心のものやメルカリさんの発表会の様に、プレゼンテーションが多いものは有効だと感じています。しかし、Plug and Playの場合は、ピッチが中心であり半分が海外のスタートアップなので、会場にいない場合ご自身で撮影をすることになるのですが、配信される映像のクオリティが一定にならないと言うことが起こります。Plug and Playでもライブ配信は検討しましたが、実施の判断に至らなかったのはその理由からです。

ネットワーキングがブースなどの設置をし、コミュニケーションの導線設計が必要なものは、トークセッションはオンラインで配信をし、コミュニケーション設計はEventHubなどのマッチングツールで会場にいなくても個別にコミュニケーションできる様にする、など複数の仕掛けが必要になってくるかもしれません。

今、イベントは実施について考える

折しも今日、カンファレンスの最中にこんな記事が出ました。

一律自粛は求めないものの、この見解が出たことによって、またこれから状況がまた変化することによってさらに、難しい判断を迫られることもあるかもしれません。

イベントの”ライブ感”はやはり大事です。プログラムの設計や登壇者の方々だけではなく、やはり参加者の方々の存在や反応がイベントを構成する大事な要素であることも今回改めて痛感しました。

でも、”今”だからこそ伝えるべきこと、話すべきこと、そして考えるべきことがあることもまた一つの事実です。今しかできないこともあります。だから、ライブ配信の選択肢についても、イベントを運営されるみなさんにはぜひ検討いただければと思っています。

そして運営をいつもサポートいただいているHotScapeの前野さんがこんなまとめを早速書かれていました。今だから必要なこと、できることを考える参考にぜひ。私たちの経験が次に繋がるといいなと思っていますので、オンライン配信を検討される方やご質問などあればいつでもご連絡ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?