見出し画像

「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」

「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」展
山種美術館




タイトルを見てください!そう!アニマルパラダイス!!♡もふもふにまみれたいのと、ビヨンセ級に生きとし生けるもの全てを尊ぶ精神でいたい遠藤2020は、動物が描かれた作品をこよなく愛しているので、新たな推し動物作品を見つけたくて行ってまいりました。

近代京都画壇、東京画壇の錚々たる画家たちの作品が一堂に介していて、19世紀〜20世紀にかけての日本画の静謐で実直な美しさを体感できるという点でも大変見応えがありました。


わたしはとにかくいっぬが大好きなのですが、今回の展示では西山翠嶂(すいしょう)の《狗子》という作品に描かれた2匹のいっぬに全力で癒されました。1匹が上目遣いでこっち見てて、1匹が寝とる。か、かわえぇええぇ…。もふもふ。

先日ディズニーの「わんわん物語」実写版を最初の部分だけちょっと見たのですが、犬同士が話したりするための間合いとかキャラクターの表情をつけるために人間っぽい演技加工が入ってたりして、そういうのええねん、犬は犬のままの動きやからええねんって思いそっと消したのですが、アニメーションの方のレディとトランプはむちゃくちゃ大好きやし愛くるしく感じたことを思うと、絵で表現される動物にはファンタジーと割り切れてる部分があり、「愛しい」と感じる部分がリアルの動物に対して感じる部分と全然違うのかもしれへんなあと感じました。

遠藤の推しの長沢芦雪のいっぬも、そもそもいっぬかどうかもわからんポージングと顔面してるけど、たまらんかわいいし、キャラクターと見るか、生物として見るかの違いを脳みそが分けて捉えるようになってるんやなぁと思いました。

そういう意味で、絵に描かれた動物たちっていうのはうまいへたかわいいぶさいくによらず、愛さずにはいられない魔法みたいなんがかかってんにゃろか?と思いましたが、会場内にあった奥村土牛の言葉に「は…!」としました。


「鳥や動物を描くに、どういう点が一番むづかしいかというようなことを時に尋ねられる事がある。しかし何処がむづかしいの、何処が容易だのというようなことはないと思う。総て生物の生きてるように見せよう見せようと力めて描くよりも、描く前に、鳥なら鳥、花なら花にしみじみとした愛と画心を覚えて、その気持ちでもって描いて行けば、技巧の上で稚拙であっても、いい味のものが出来るものと思っている。その心持ちが何よりも大切なのではないかという気がする。(「写生の事など」「塔影」10巻11号 1943年11月)」

この文章と考え方素晴らしすぎませんか?実際土牛の描く動物の絵はうまい?かな?どう?かな?って感じの絵ばっかりだったのですが(失礼)、総じて愛らしく、ぬくもりを感じ、絵の前でしばらく立ってじっくり見入ってしまう求心力があるように思いました。

画家というのはすごい人たちだと、この文章を読んで改めて感じたのですが、「しみじみとした愛と画心」という想いを筆に乗せることができるんですよね。
むしろそうでない絵に魅力や奥深さは感じられないわけで、魔法とかそんな抽象的なものではなく、「愛」が動物の絵に込められているから見てるこちら側もそれを愛しく感じるんやなぁと。
「いい味」という考え方も凄く好き。

そう思うと、本展では家を動物園化してしまうくらい動物大好きな画家が多く、だからこその温かい空気感なのだとおおいに納得しました。

ちなみに土牛がアンゴラ兎を描いた絵がたっまらんもふもふで、もふもふ〜〜〜〜!!♡ってなりました(語彙力)



そして以前この山種美術館で速水御舟の「炎舞」を見たのですが、その時の展示内容が素晴らしく、また御舟の美への価値観も憧れでしかなく大感激し、そこからまじで御舟のことが大好きになり、遠藤の推し画家として堂々と名乗り挙げるまでになっているのですが、本展ではそんな御舟の「昆虫二題」という対になる2作品「葉蔭魔手」と「粧蛾舞戯」が見れます…!!!!!!!

もう、、、、、、、、最高っっっっ…!!!!!やっぱり彼には見えたらあかんものが見えてるし、「絵に想いを乗せる」のレベルが呪術的過ぎて、ぼーっとしてたらぐっと引っ張られて突き落とされてしまいそうになるので、こちらも御舟の絵を見る時は本気で真剣に向き合っていかなければいけない(萌子)。

様々な形、色をした蛾が炎の中心に誘われるがごとく舞う様子と、繊細な糸で何重にも張り巡らされた蜘蛛の糸がつくる濃厚な世界の対比の素晴らしさよ…。明と暗、金泥とプラチナ泥といった技術的な対比から生まれる「対の美」にもうっとりを通り越して鳥肌でした。
あぁ、ほんとに大好き、御舟。。大満足。。


そして、竹内栖鳳の「班猫」は徽宗皇帝の猫をモチーフにしているようで、その眼差しの魔的な側面にぞくっとしました。

あと、小林古径の「夜鴨」では、鴨が飛んでる下に薄い楕円が描かれていて、これはなんやろ?とおもったのですが、月なんですね…!!!
水面にうつる月の上を青い羽の鴨が飛んでいる。あまりのロマンチックさに卒倒しそうになりました。この絵めちゃくちゃ良かったです。



というわけで、本展では犬、兎、猫、牛、フクロウ、鶴、鳥、狐、虫、魚などほんまにいろんな動物作品が展示されており、疲れた心を癒されにこの展覧会に行かれるのも良いのでは♡と思いました。
は〜かわいかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?