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1ページに満たない映画感想2015年②<ヨーロッパのシュールなアニメーション>

ムーミン谷の彗星(2010年/マリア・リンドバーグ/フィンランドほか)

豪華ムーミン。
北欧俳優陣の声の出演が最高です。
まず、ナレーションのマックス・フォン・シドーが、冒頭から北欧の澄んだ空気感を作り出してくれます。ムーミン親子は、スカルスガルド親子がそれぞれ演じているのも良い。声もなんだか似ているように聞こえました。特に息子アレックスの声はとても特徴的なので(と言うか好きなので)、ムーミンというよりアレクサンダー・スカルスガルド様の冒険に思えてきてしまいます…。
スニフにはマッツ・ミケルセン!スニフ感というかマッツ感しかなかったのですが、あれはかなり高音を出しているとみた。
とにかく声の出演が豪華で、北欧好きなら間違いなく楽しめます。
アフレコ現場を覗いてみたい….!

フィンランドって素敵な映画が多いなあ。
ムーミンは世界中で愛されているけど、こうして北欧の作品として、北欧の俳優さんを出しているところも、故郷への愛を感じました。

☆2015年3月4日鑑賞



アリス(1988年/ヤン・シュヴァンクマイエル/スイス)

シュヴァンクマイエル映画祭で見てきました。アリス最終日ということで、満席。私は補助席という名のパイプ椅子で見ました。すごい人気。しかし90分パイプ椅子は疲れるね…

物語は"あの"アリスなのですが、どこか不思議な世界観でした。
シュヴァンクマイエルのアニメーションと聞けば、わかる人はわかるかもしれませんが、シュールでグロテスクなファンタジーという感じなので、まずアリスは可愛いんだけど清潔感は0で汚い!(笑)カエルの舌のリアルな感じとか、なんかグロいというか、どうしても汚い印象を受けました。
といっても不快という訳ではなく、そういう世界って感じ。

アリスの話って結構アレンジされているから、元々どんな話だったのか忘れている気がするけど、赤の女王とか帽子屋とか白ウサギとか、登場人物たちはしっかり出てきました。
この映画はアニメというか実写とコマ撮りの組み合わせのようで、良い意味でチグハグ感・不安定感があり「子供が見ている不思議な世界」に迷い込んでしまったような、見る人の気持ちを"ざわざわさせる魅力"があります。

シュヴァンクマイエルのアリス、一見の価値あり

☆2015年3月6日鑑賞 @シュヴァンクマイエル映画祭2015(渋谷イメフォ)



クーキー(2010年/ヤン・スベラーク/チェコ)

そりゃもちろん可愛かった。ちょっとトイストーリー的な感じなんですかね?(トイストーリー見たことないけど)
少年オンドラと、そのお気に入りのぬいぐるみクーキーの絆を描いています。

パペットアニメーションは、さすがアニメーション大国チェコということもあり、見応え抜群です。クーキーの顔は変わらないはずなのに、嬉しそうに見えたり、悲しそうに見えたり。大好きなオンドラに会いたいという気持ちは、パペットでも人間でも同じ。オンドラなどの人間のシーンは実写である本作は、そのあたりの感情表現が秀逸だなあと感じました。

クーキーはなんとか戻って来れたけど、ゴミとなってしまった他のぬいぐるみたちのことを思うと、なんだかやるせないですね。

どうなる、クーキー?

☆2015年8月27日鑑賞


★余談〜大好きだったぬいぐるみを寄付しました〜

私は子供の頃はぬいぐるみ類が大好きで、ポケモンとかゆるっとしたキャラクターのぬいぐるみを買ってもらうと、嬉しくずっと遊んでいました。旅行先に連れて行ったり、車に乗せてみたり、どこか感情を持つはずのないぬいぐるみに、何かしらの感情を持って接していたように思います。
顔があり、手足があるぬいぐるみを、単なるモノとして見ることができなかったのです。

大人になり、子供の頃に遊んでいたぬいぐるみが箱に入れられているのを見て、懐かしい気持ちになると同時に、「ここで箱に詰められているより、遊んでくれる持ち主のところへ行った方が幸せなのではないか?」と思いました。

そこで、思い立ったのは寄付という方法。
「いいことシップ」というサービスがあるのですが、送料のみ自己負担すれば、世界各国の子供たちへぬいぐるみを届けてくれるというものです。大好きだったぬいぐるみが、また新たに必要とされる存在になれば良いなと思い、2017年に寄付をしました。

「クーキー」という映画を見て、どこか自分の子供の頃と重ねてしまったようにも思います。この映画を見たのが2015年。そこから2年ほど経って寄付をしたぬいぐるみたちが、世界のどこかで元気にしていたら嬉しいな。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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