魔性の子

こんにちは、あゆみーるです(^^)/

今回は、平成初期のホラー小説十二国記シリーズの「魔性の子」です。

みなさん、十二国記という物語をご存知でしょうか?

私は小学生の頃にアニメを通してこの作品に出会いましたが、幼いながらにとても魅了されました。この頃から、苦難の道でも逞しく生きていく女性像が、私の心にあるぶれない軸になっています。今回の本は、その作品の原作であり、「エピソード0」(泰麒の日本でのお話し)です。

どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が……。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。  ーー公式より

ファンタジー要素をもちつつ、どこか気味の悪い雰囲気もあり、ジャンルとしてはホラー小説と分類されています。欧米のホラー小説に比べ歴史が浅い本邦のホラー小説ですが、その先駆的作品です。


以下、ネタバレ含みますので、苦手な方は「まわれ右」をしてください。


よろしいですか?


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では、お読みください。


さて、大好きな十二国記シリーズですが、その一番の魅力というのは、やはり登場人物の人間くささだと思います。ここでは、教育実習で母校に戻ってきた広瀬の視線で物語が進んでいきます。十二国記では、日本と十二国の世界とがあり、十二国の世界がメインなのですが、今回はその世界の人物ではなく、あえて日本の教育実習生から見た泰麒を描いており、その独特な雰囲気を巧く表現しております。その泰麒とは対象的に、泰麒をとりまく家族・クラスメイト・教師は実に人間らしく理解の範疇を超えるものに対してそれぞれの反応を示します。人間ってこうだよな、と納得すると同時に我を返りみます。私はこんなふうに人に対して接していないだろうか、私の行動は相手にどういう影響を与えているのだろうか、というふうに。

作者はこういった表現が非常に巧いです。そして、どんどん魅了されていきます。物語が進むにつれて、状況は混乱し恐怖が増していきます。しかし、泰麒だけは清いままで変わることがありません。人間とは別の(神)獣であるという事実が誇張されていきます。ここでは、獣と人間の対比に注目です。人間が人間らしくふるまうほど、互いの違いが際立っていきます。読んでいる私はもちろん人間ですから、人間の浅ましさには共感し、泰麒の清さが眩しく見えます。

この本を十二国記シリーズへの入り口にするのはなかなか・・・わたしもこのシリーズを全て読んだわけではないのですが、個人的には、本編(?)の陽子のストーリーから入るほうがオススメです。

古き日本の「女は家、男は仕事」とひとくくりにされていた時代も終わり、現代では男女平等の名のもとに女性が社会進出して世の中をひっぱっていくことも珍しくなくなってきましたが、ますます、十二国記の強く逞しい女性が光ります。共感するかたもいらっしゃるとおもいますし、数々の魅力的なキャラクターを見て、自分も頑張ろうと鼓舞される作品です。

私のつたない文章能力ではうまく伝わるか不安ですが、これは私の人生のバイブルとなっています。すでに人気の作品ではありますが、まだ知らないという方はぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

以上、また次回!あゆみーるでした(^^)/

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