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原子力への投資も、再エネへの投資も、どっちも必要なんですよね。

世界原子力協会という組織の事務局長が、低炭素化に向けてコメントをしています。

3行まとめ

○2000年と2017年ではいずれも低炭素電源の割合は約36%であり、電源の低炭素化は進んでいない
○再エネには巨額の投資がなされてきたが、その効果は小さかった
○パンデミックを経て、低炭素かつ強靭な電源のニーズが再認識され、そのニーズに合致する原子力への投資が今こそ必要である

本当にそうか?

「国際エネルギー週間2020」の発表の中で同事務局長は、2000年に世界では総発電量の約36%を低炭素電源が発電したものの、これは2017年実績とほぼ同じであったと指摘。これは、クリーンエネルギー社会の実現に向けて人々が積み上げてきた努力が、脱炭素化という目的の達成にあまり貢献できなかったことを明確に示している。世界では様々な再生可能エネルギーに巨額の投資が行われた一方、その効果はほんの少しだけだったと述べた。
(記事本文より引用。太字は筆者による)

論拠としているデータ(低炭素電源の占める割合)を見ていないので曖昧な指摘になるのですが、主張の正しさを認めるために、以下の確認が必要です。

○低炭素化がまったくされていないわけではない
低炭素電源が占める割合は増えていませんが、低炭素電源による発電量自体は増えています。
以下の図でみると、2000年から2017年にはCO2排出量が1.5倍ほどになっています。

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もし低炭素電源を増やす努力がまったくされていなかったら、低炭素電源の割合は減少(36%→24%)します。
36%から変わってない!全然ダメ!というわけではないですね。

○進まないからダメなわけではない
原文読まないとわからないですが、と前置きをしたうえで。
低炭素電源への投資が思ったよりも効果を上げていないのであれば、だからこそ今から投資をしておかないといけないということです。
そのあたりは丁寧に触れておかないと、分断を煽ることになってしまうので、こうして話すなら気をつけていただきたい&読むときに気をつけたいですね。

低炭素電源への投資は効果が悪い、だから投資は継続しつつ、主力化できるまでは原子力を活用する、という形のほうが現実的だと思いますよ、という主張なんだろうと思います。

こうしたインフラ投資は事前に正解を知ることはできませんし、いつか振り返っても何が正しかったのかを知ることはできません。
非常に難しい問題ですが、地球環境の問題は不可逆なところまで進んでしまう可能性もあり、議論を尽くしている時間もないかもしれません。(あるかもしれません)
答えが正しいかどうかはさておいて、せめて正しいプロセスで道を選びたいですね。

ご覧いただきありがとうございます! 知りたい内容などあればご連絡くださいね。