#14 クライアントの立場でレポーティングをしよう

営業部の荻野くんがクライアントである商業施設の本社から『アプリクーポンの集計をしてほしい』という依頼を請け、どのようにまとめたら良いかと相談に来た。

早速、荻野くんから依頼内容をヒアリングする。

私「クライアントからの依頼は何なのかな?」
荻野くん「えっと、先日リリースされた先方の自社アプリで配布しているクーポンの集計です。」
私「集計というのはどれくらい使われたかとか?」
荻野くん「そうですね。全国のテナントさんのクーポンがどのくらいお気に入りとかに追加されて、うち何回使われたかです。」
私「アプリの管理画面を見たことがないからわからないのだけど、そこでは他にどんなことが見られるの?」

当社の若手は一問一答タイプが多い。本来なら誰かに報連相をする場合は5W1Hを意識しまとめてきておいて欲しいところで、何度か教えたのだが抜け漏れが多くて、結果都度聞いたほうが早く、本人の考えてないところに気付いてもらうことができるので、今は1回目の相談は時間をかけて一問一答をすることにしている。

荻野くんの知っている情報を根気強く聞き出す。

私「クライアントさんはその集計をもって何をしたいの?」
ここが目的だ。同じアプリクーポンの集計でも立場によって目的は異なる。

テナントさんであれば、クーポン内容がどれくらい効いたか(売上に繋がったか)が気になるだろうし、本社でもアプリを開発する部署であればUI設計の見直しのためのレポートが必要になったり、ユーザー登録数を増やすための数字が必要になるだろう。

今回のクライアントはテナントさんの売上アップを支援する部署だ。

この事をあらためて整理して、ステップにわけて荻野くんに説明をする。

私「クライアントさんはアプリクーポンを活用して、テナントさんに売上を上げてもらいたいんだよね。と言うことはアプリクーポンに参加したテナントさんとしてなかったテナントさんがどれくらい売上が違うか比べたいよね。」

荻野くん「なるほど。でも、うちは売上データをもらっていないので比較は出来ないかと」

私「だったら、継続的なデータ分析の提案をしよう。その中でこういうレポートをしてテナントさんのモチベーションを上げたいので、アプリだけのデータではなくPOSデータが欲しいと伝えてみよう。」

後日、売上データがブランクになったサンプルレポートを作成し、荻野くんとともに先方のマネージャーに『テナント様売上アップのためのアプリクーポン分析』提案。見事受注した。

荻野くん「Bossさんすごいです!売上データもらえるなんて思いませんでした!!これってうちの会社初ですよね???」

私「そうだねーおめでとう!目的が相手のゴールと合っていれば話しは聞いてもらえるし、お仕事にも繋がるんだよ。だから、頼まれたことをただやるのではなく、本質を掴むことを忘れないようにね。」

荻野くん「はい!ありがとうございます!」

私「これかスタートだからね。売上とクーポンのデータから何を読み取って、クライアントのゴールに向かう地図を描くことが次の仕事だよ。」

荻野くん「わかりました!またわからないことがあったら教えてください!」

全く結果は出ていないけれど、荻野くんが嬉しそうで本当に良かった。
そして、クライアントからは「そういう分析は思いつきませんでした。是非。」と言われたのも嬉しかった。

マーケティングのフレームワークはたくさんある。しかし、マーケターはゴールに向かうためにどのフレームワークを使うか選択し、本当にそれで良いのか疑い、ときにはカスタマイズをし道具として使わなくてはいけない。

今まで事業主側として、コンサルタントして色々な案件を担当させてもらったが、日々勉強だな感じる。

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