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厳しい検閲官な私/ピアス「ローズ」

AYTURKの作品は手作り。
手作りですから、作り手により違いも出るわけです。
それが手作りの良さではあるけれど、
作り手によって完成した状態が全く異なるのは、これは問題。

ですので、AYTURKではモデル1つに、担当1人が基本です。
人気のシリーズは、2人以上で担当することもありますけど。
効率は悪いけど、完成した作品の良さをより大切にしています。

そして長さや色間違えなど、簡単な確認ミスによる間違えは修正。
修正できなければ、残念ですが再作成になります。

長いラリエットで、数センチの違いは、モチーフの数が正しければちょっとオマケでOKとしています。
でも、ネックレスの数センチは大きな違い・・・やり直しです。
厳しい検閲官な私・・・です。(いじわるな小姑みたい・・・)

再作成になったときの、皆の落胆は相当ですけど、
ここは譲れない、AYTURKの品質管理。
厳しいけれど、クオリティーを下げることはしません。
それが何よりも大切なことだから。

でもね・・・時にはオマケもします。

例えば、新人さんの初めての作製。
もちろん、試しづくりをクリアーした技の持ち主ですけど、それでも初めてのお仕事ではやっぱり間違えも出る。
そんな作品は「トレーニング中」としてアウトレットでご紹介させていただいています。

AYTURKの「アウトレット」は、
他にも作りは良いのに、サイズ間違えや色間違え、モデルの変更など、
正規シリーズとしてご案内は’できないものをご紹介しています。

間違えは出ないことがベストだけど、
間違いでもやっぱり私たちが作った作品です。破棄などできる分けもない!
・・・そんなアイテムが時々登場します。

キレイに仕上げられるのは、おばあちゃんだけ!

長年の人気モデル「ローズ」のピアス。
AYTURKのオープン以来、ハバおばあちゃんに作成をお願いしていました。
でも、ハバおばあちゃん、昨年の夏くらいから体調崩してね。
作るよー!とは言ってくれるのですけど、なんか辛そうで、
担当を変えなくてはと、トゥーオヤの担当者数名に「ローズ」のモチーフの試しづくりをしてもらいました。

でもね・・・私が満足する仕上がりにならなかった!

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曲線の組み合わせで作るモチーフです。
でもそれは、手によって変わる。
曲がり具合が製作者によってだいぶ違う。

ほとんど直線になってしまう人も多く、何度か試し作りをしても、カワイイ薔薇にならなかったんですよね。

シンプルに見えるけど、難しいモチーフでした。
適当に作っているようで、長年の感覚によるところが大きいのですね。

・・・ということで、新規の担当を作ることは、しばらく断念。
これは、もうハバおばあちゃんのモデル!と決めました。
ハバおばあちゃんも、徐々に体調も戻ったようで、作製も以前のスピードでキレイな仕上がりです。

新しい作り手がいないオヤ

この問題「ローズ」のモチーフに限らず、
オヤ自体が同じ危機に瀕しているとも言えます。
作り手はどんどん高齢化し、次の作り手が少なくなってきています。

オヤは母から、娘へと受け継がれるものですが、
この時代、家事の合間に娘とレース編みをしながら過ごすことも、無くなりつつあるのでしょうね。
田舎で専業主婦率の高いカッパドキアでもですから、都会はもっとだと思います。

「母から娘へ」から「友達から友達へ」

AYTURKは友達の繋がりで成り立っています。
製作担当が友達を呼び込み、ご近所さんを呼び込み、
仲間で技を伝授したり、教えてもらったり、新しいモチーフを開発したり。
こうして、私たちの作品は誕生しています。

オヤの伝統の「母から娘へ」ではありませんが、
伝統をつなげているんですよ、私たち。

伝統技に限らず、
失ってから気づくのではなく、
いつでも、全てのものに、
その大切さを見出せるようでありたいと思います。

伝統技も、AYTURKのメンバーも、家族も、トルコでオヤに出会ったということも。その全てが大切・・・なんですよね。

大切なものを忘れずに、メンバーとこれからもがんばります。

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