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二音と進路指導室を出たわたし達

二十歳になった年から毎年、中学の部活同期と三人で遊んでいる。思い出話、近況、話す内容は大差ないけど、あの頃の自分は確かに存在したのだと確認ができる日。遊ぶ日はいつもミモザの日。

中1の頃、職人肌な友達につけて貰ったあだ名。嬉しくて勝手に応用して、部活同期にも同じようなあだ名をつけた。
ゆきちゃは、良くも悪くも自分に正直。幼稚園が一緒だった。入学してクラスが一緒になって、部活も一緒で、自然といつも一緒に行動するようになった。パートはサックス。バリトンとアルトを吹いていた。当時から言ってたけど、ゆきちゃを色で例えると、"どっ濃いピンク"。わたしをはじめ、数々の同期がスカートめくりの被害にあった。口も悪い、手癖も悪い。嫌になる事が多かったけど、同じくらい笑い合った関係でもあるので、切っても切れないって多分こういうことなのかもしれない。
あすちゃは、当時わたしの中で一番なりたい理想像だった。美人さんで、文武両道で、地頭もよい。パートはトランペット。あすちゃの音質が、一番だいすき。発する言葉をオブラートに包めないのだと自他共に言われていたけど、直接刺しにくるからこそわたしはあすちゃが好きだった。気遣い屋さんだからこそ、刺しにくる関係性は貴重だと勝手に踏んでいた。1年生の終わりから卒業まで、在籍中のステージ4列目は、わたしとあすちゃの凸凹コンビが中央にいた。昨年結婚した時は嬉しさと寂しさが半々だったなぁ。
そしてわたしの3人。奇数だけどお互いが程よい距離感あるから、二等辺三角形にはあまりならない。正三角形みたいな感じ。

ディズニーシー、浅草、原宿ときて、今年は鎌倉。海が見たくてリクエストしたけど当日は雨。海岸散歩は飛ばして、早速ご飯を食べに稲村ヶ崎へ向かった。日曜日の江ノ電といえば激込みだと思っていたけど、ここでもコロナの影響なのか、余裕で座れた。ガラガラな車内で、車窓を眺めながらぽつぽつ近況を話したり、写真を撮ったり。ゆきちゃはなんだかいい匂いがした。香水?もともとメルヘンな感じ似合ってたけど、最近ことさらにはまってる。あすちゃは知り合ってから今までの中で1番雰囲気が柔らかくなった。きっと旦那さんのお陰なのだろう。ちょっと寂しい。

辿り着いたご飯屋さんは、どうやら卵かけご飯が有名らしい。それぞれ定食を注文、勿論オプションに卵をつけた。黄身と白身を分けて、白身をメレンゲ状にする。店員さん曰く、早い人は2分で、ゆっくりな人は15分くらいかかるとのこと。その話を聞いて、3人とも同じ結末を想像したし、結果はその通り。昔から器用なあすちゃとゆきちゃはあっという間にふわふわに、不器用の代名詞と言っても過言ではないわたしは、ぺしょっとした泡になった。充分美味しかったので個人的に満足。ゆきちゃは白身のボリュームがすごくて、黄身がお茶碗から溢れていた。なんて光景。。
お魚分け合いっこして食べた。わたしはエボダイ、ふたりはさばみりん。どっちも美味しかった。

満腹になって元気が出て、鎌倉へ戻って小町通りを歩きながら甘味処を目指した。こんな雨の日にも、着物を着て歩くおんなのこたち、強い。雨空に人の少ない観光地、薄灰のような暗さのある景色の中に、着物の華やかな色合いはとても映えていた。どんぐり共和国、ゆきちゃおすすめのお団子屋さん、豆屋さん。お昼あんだけ食べたのに、全然いけた。不思議。

甘味処は駅から少し離れたところにあった。高級住宅街を進み、銭洗弁天の近く。20人くらい並んでいたけど、わたしたちもかまわず並んだ。吹部が集まると口合奏、自然に始まらない?しかもリズム隊と主旋が揃ったもんだから。いうてもわたしほぼ裏打ちだけど…。ゆきちゃはアルトサックスを自前で持ってる。けど楽譜は中高合わせて思いっきし捨てたようで。
楽譜無くてどうしてるの?ソロ譜買ったの?と聞くと
指が覚えてるもん
と当然なように答えた。ゆきちゃのそういうとこ、実は中学当時から、結構好きだよ。譜読みはわたしが面倒見たけど。M8、ニューサウンズ、コンクール曲、覚えてるもんだなぁ。あの列の中で多分1番騒がしかったね。

1時間半くらい寒空の下できゃっきゃ騒いで、お店に入れた頃は閉店時間が迫っていた。3人一緒の白玉を頼んで食べた。お花がひとりひとつ、お盆に乗ってきた。種類が分からなくて、ゆきちゃのお友達の花屋さんに写真送って教えてもらった。わたしのお花は白いカーネーションだった。花言葉は『純粋な愛』『愛の拒絶』。真反対な言葉を持ってるのは、母をなくしたこどもたちがつけていたお花だったかららしい。知らんかった。真反対な言葉を持ち合わせているのが、どこかしっくり自分に当てはまった。天邪鬼なんだなきっとわたしは。

お店から鎌倉駅までの帰り道、閑静な高級住宅会の中を合唱しながら歩いた。完全に中学の時のノリ。伴奏も、リズムも、歌も、全部歌うの。式典で歌った市の歌を馬鹿笑いしながら歌って帰った。夕方にうるさくしてごめんなさい。懐かしくて楽しくて、1日なら中学時代に戻ってもいいなと思った。そのテンションのまま居酒屋行って、この春から関東に帰ってくるあずまさんと電話して、また遊ぼうねと言い合って、1日が終わった。

すきだし嫌いだし、会えなくなったらそれはそれで寂しさがある。ただでさえ語彙力低いのに、この関係性と気持ちに名前なんてつけられない。でも、きっとこの先もこうやって会ってくんだろうな。




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歩けよ乙女。日々の備忘録、等
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